アウトドアの道具って、いろいろありすぎて、何を選べばよいのか迷ってしまいますよね? キャンプ、山登り、自転車、カヌーの旅まで、あらゆるアウトドアの旅に精通する達人・ホーボージュンさんに、よいアウトドア道具と出会う方法、そして道具とより深く、長く付き合っていくコツを教えてもらいました。
【道具選びのコツ1】
道具とはオノレの手足と心得よ。
道具は人の手となり足となって初めて機能する。だからいかに自分の手足に忠実につくられているかが肝心。この登山靴は僕の足から木型をつくり吊り込み製法で作ったもの。「この靴は僕の足であり、僕の足はこの靴だ」そういえる道具を使いたい。
【道具選びのコツ2】
「世界にひとつ」は、思ったよりも難しくない。
たとえばコッへルセットの中身を組み替え、自分だけのセットをつくる。これも立派なカスタムだ。チタン鍋をつくるのは不可能だが、組み替えなら誰でもできる。こうして世界をつくっていこう。
【道具選びのコツ3】
壊れても自力で修理できるモノを選べ。
23年間使っているMSR/ウィスパーライト。何十回とバラし、直し、組み立てた。今ではバッフル一枚、ビス1本まで知り尽くしている。壊れたら自分で直す。これ、野外生活の基本。
【道具選びのコツ4】
自分自身の成長と変化に合わせてアップグレードする。
19年前にフレームをオーダーし、フルトライアスロンの決勝用バイクをつくった。今はシングルギアに改造して街乗りに使っている。これまで5~6回はフルモデファイしている。よい道具とは自分とともに成長できる道具だ。
【道具選びのコツ5】
命を預ける道具は一切の妥協を排してあつらえろ
遠征用のシーカヤックは英国の工房にオーダーした。外洋用のアリュートパドルは、僕の体格と漕力に合わせて北海道の職人に削り出してもらった。「命を賭けるモノ」は、いっさいの妥協を排して誂えるべきと僕は思う。
【道具選びのコツ6】
カスタマイズすることで道具は完成していく。
ハイクアップ用のスノーシューは、スノーボードブーツにワンタッチで着脱できるように改造している。目的遂行のために道具を改造することを躊躇してはならない。
【道具選びのコツ7】
この世にまだないモノは自分で創る。
数年前、パタゴニアを旅するためにオリジナルのソロテントを作った。市場にどうしても納得できるモノがなければ自分で創ればいい。「想い」と「志」さえあれば、なんでもできる。この世はそうやって回っている。
いい道具は、丈夫で、壊れても修理しながら長く使えるから、安い道具を買うよりも結果的にコストパフォーマンスに優れています。ぜひみなさんも、がっつり肩を組んでともに一緒に歩いて行ける「一生モノ」の道具を見つけてください!
◎撮影/中村文隆 (初出:BE-PAL2013年3月号)