立ち往生や車中避難……被災時にキャンピングカーを活かす5つのポイント
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    2023.07.19

    立ち往生や車中避難……被災時にキャンピングカーを活かす5つのポイント

    雪道イメージ

    キャンピングカーでの防災を考える

    異常気象や災害が頻発する近年。大雪による立ち往生で、数十時間も車内に閉じ込められるケースも毎年のように耳にします。

    ペットとの同行避難の課題や、車中避難でのエコノミークラス症候群が広く知られるようになり、防災の観点からも改めてキャンピングカーが注目されています。

    しかし、キャンピングカーも万能ではありません。災害時にキャンピングカーを活用したいと思ったとき、どんな備えが必要でしょうか。バンコンタイプのキャンピングカーユーザーである私が、日頃から実践しているポイントをご紹介します。

    2重、3重にトイレの備えを

    キャンピングカー内装

    フラットなベッドを確保できるキャンピングカー。寝返りも打ちやすく、モデルによっては車内で立ち上がれるなど、同じ姿勢を長く取り続けることによる健康被害を軽減できます。

    しかし、体調悪化の原因としてもうひとつ指摘されているのが、トイレを我慢しようと水分摂取を控えること。とくに女性は平時でもトイレの混雑に悩まされますし、深夜に車外に出ることに抵抗がある人も多いでしょう。

    もとからトイレを備えるキャンピングカーも多くありますが、停電や断水や物流の停止で使えなくなるケースも十分に想定されますから、2重、3重の備えが効果的です。

    ラップポン・トレッカー

    私がクルマに搭載しているラップポン・トレッカーは、大便、小便、ウェットティッシュやトイレットペーパー、生理用品の廃棄に対応する優れもの。

    防臭・抗菌フィルムで汚物をラップするので臭いがもれず、災害現場でも活用されている頼もしいアイテム……なのですが、電動なので停電していたり、落下物などでソーラーパネルが破損したりすれば一気に活用が難しくなります。

    カセット式トイレの場合も、ブラックタンクの処理ができない状況だと連続使用の限界があるはずです。車内トイレが使えない事態に備え、使い捨て簡易トイレなど予備の手段を確保しておくことが大事です。

    簡易トイレ・イメージ

    組み立てると箱形になる簡易トイレもありますが、軽キャンピングカーなどでは床面がなく、着座の姿勢が取れないことがあります。

    「おでかけトイレPOTON(ポットン)」のような薄型トイレを用意したり、開いたバックドアを簡易テントにできるようシートを積んでおくのもいいですね。

    阪神淡路大震災では、水道の停止が最大91日間というデータもあります。公共トイレ×車内トイレ×使い捨てトイレを組み合わせれば、長期化にも対応しやすいでしょう。

    燃料&サブバッテリー残量に注意

    充電イメージ

    燃料は「満タン派」か「ちょこちょこ派」かというのは定番の論争ですが、防災の観点からすれば満タンに近い状態を保っておくことには利点があります。

    東日本大震災のとき、直接の被災地ではない場所でもガソリンの入手困難が長く続きました。ガソリンスタンドでは「1台につき○リットルまで」という計画販売が行われ、開始時間前から先が見えないほどの長い車列を作っては、数時間かけてわずかなガソリンを購入しました。

    いつどこで販売が行われる、という情報を得られない人は購入できなかったり、社用車を使った出張がしばらくの期間すべて中止になったりもしました。

    平時に不必要なアイドリングは控えるべきですが、クルマのエンジンによって生み出される機動力や電気、暖房、冷房が命を救うこともあるかもしれません。

    FFヒーター

    とくに、優れた暖房器具であるFFヒーターは多くの場合、燃料をクルマと共有しています。真冬にFFヒーターを使えないとなると、車中避難はかなり厳しいものになるでしょう。

    また、停電時の貴重な電源になり得るサブバッテリーやポータブルバッテリーは、空になってしまっては宝の持ち腐れ。電気の使えないキャンピングカーは、その強みが半減します。

    レジャーに出かけないシーズンも自然放電するため、定期的な電圧チェックと充電は欠かせないところです。スマートフォンなどのリマインダーをセットして、忘れないようにするのがおすすめです。

    非常食やペットフードを積んでおく

    ペットボトル飲料

    食料などの非常時の備蓄は72時間分が目安とされます。現代の日本では、72時間後には何らかの支援が届くとされるためです。

    車内は高温・低温・振動など過酷な環境なので、食料の保管場所としては適していませんが、長期保存可能な非常食やペットボトルの水を積んでおくことは役に立つでしょう。車内に閉じ込められたり、飲食物を購入できなかったりするときのための備えです。

    ウォータータンク

    普段はシンクを使わない私ですが、いざというときに給水所に持参できるなどの利点があると考え、水タンクは積んだままにしています。

    また、ペットがいるなら予備のフードやペットシーツを積んでおくことも欠かせません。ペットアイテムは専用品も多く、なかなか代替がきかないため、人間以上にストックがあると安心です。

    搭載物の重量が燃費に影響するのは悩ましいところですが、自宅に次ぐストレージとして備蓄品を積んでおくことには価値があるでしょう。

    水没や大雪に備えるツール

    レスキューカード

    キャンピングカーに限りませんが、有用性はわかっていても一生に一度も使わない人が大多数のため、購入をためらってしまう緊急脱出用ハンマー。そんなユーザーには、コンパクトな「レスキューカード」はいかがでしょうか。

    水没時や事故の衝突などでドアが開かなくなったときに、窓ガラスを粉砕できるものです。

    本体はクレジットカードほどのサイズ。窓に挟み、指でパチンと弾くだけで硬質の突起がガラスを砕きます。シートベルトカッターも兼ねており、緊急時の脱出を助けます。

    ハンマーに比べてカードタイプには、振りかぶるスペースがなくても使える、非力な女性や子どもでも使える、窓付近に貼っておける、などのメリットがあるとされます。

    また、冬のドライブではシャベルやスノーブラシのほか、盲点となりがちなのが手袋。冬の車外、素手ではあっという間に作業ができなくなります。JAFでも手袋や軍手の用意を勧めています。

    本当の非常時にはクルマを置いていく覚悟を

    クルマのキー

    いろいろな備えを挙げてきましたが、本当の非常時にはクルマを置いていく覚悟も必要です。

    地震など大規模災害時にはクルマを「安全な場所に停め」「エンジンを停止し」「ドアをロックせず」「キーをつけたまま」避難することが原則とされます。

    高価なキャンピングカーですから相当な覚悟がいりますが、もしキーを持ち去ってしまったら、緊急車両の通行の妨げになるなど二次災害、三次災害につながりかねません。

    被災地での防災教室や語りべ活動を拝聴すると、「避難をしぶった」「荷物を取りに自宅に戻った」などのちょっとした行動が生死を分けた実話は枚挙にいとまがありません。

    クルマを惜しんでより大きな被害をもたらすことがないよう、私も自分を戒めているところです。車両保険では台風や洪水をカバーするほか、地震特約がつけられる場合もありますから、一考の余地があるでしょう。

    被災した「たろう観光ホテル」

    東日本大震災で浸水してしまった「たろう観光ホテル」。津波遺構として保存されています。

    自宅とクルマで二段構えの備えを

    大規模災害時には自宅は無事でもクルマが破損、あるいはクルマは難を逃れても自宅が被災、などいくつものパターンが考えられます。

    非常時の持ち出し袋を自宅に、日用品のストックや工具は車内にという二段構えはかなり有効ではないかと思います。

    カセットコンロとカートリッジ

    キャンプ用バーナーなど、電源に依存せず加熱調理ができるギアも重宝しそうです。夏の車内に備蓄するのが心配なガスカートリッジを含め、私は自宅の玄関収納にカセットコンロや非常持ち出し袋などを集約しています。

    東日本大震災を経て、私たちは「明日も今日と同じ日常が続くという保障はどこにもない」という当たり前の事実を知りました。折に触れ、備えを見直してみるのはいかがでしょうか。

    私が書きました!
    フリーライター
    SAYA
    グルメ、トラベル、車中泊、クルーズなどの記事を執筆しているフリーライターです。バンコンタイプのキャンピングカーで全国を巡っています。太陽も昆虫も苦手なインドア派ですが、車中泊×観光の組み合わせに無限の可能性を体感中。車を拠点にした遊びの話題をお届けします。

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