最短ルートは登り2時間、下り1時間。コスパ最強の絶景登山
南アルプスの麓に広がる山梨県北杜市白州町。このエリアの湧水は名水の呼び声高く、サントリーのウイスキー「白州」や天然水のCMで目にしたことがある方も多いのでは?
今回は関西から遊びに来てくれた友人に見せたい景色があり、甲斐駒ヶ岳の麓に位置する標高1,660mの日向山(ひなたやま)を案内しました。
登山口は「尾白川渓谷駐車場」と「矢立石登山口」の2か所
マイカーで行く際の登山口は「尾白川渓谷(おじらがわけいこく)駐車場」と「矢立石登山口」があります。矢立石登山口は尾白川渓谷より上まで行けるのですが、やや狭い道を上っていくことと、駐車スペースが限られているので、半分賭けのようなもの。今回は平日でしたが、残りスペースあと1台とギリギリでした…。また、トイレはコース上にないので「道の駅はくしゅう」に寄ってから向かうのがおすすめ。
その反面、尾白川渓谷駐車場は広く、トイレなども整っていて、曜日や時間帯による混雑の影響が少ないので利用しやすいと思います。
登り出しはいつも息切れ…。こんなにしんどかったっけ?
登山あるあるだと思うのですが、ある程度心拍が上がるまでは毎回ちょっと辛い。出だし20分くらいは急いでもペースが上がらないので、世間話をしながらゆっくり歩くのがいい気がします。今回利用した矢立石登山口からの歩行時間は平均的なペースで往復約3時間。日向山も、序盤はぐっと標高を稼ぐのでのんびりペースで進みます。
見渡す限りの明るい緑。ブナの原生林で深呼吸
緩急ありながらも歩きやすい道を進んでいくと、少し平らで開けた場所に出ます。登山道といえば針葉樹の中をしばらく歩いて取り付く山もありますが、こちらは比較的、広葉樹が多く日差しを受けると森全体が明るい緑に。
忙しい日が続くと呼吸が浅くなりがちですが、このときばかりは、大きく息を吸って身体の隅々まで新鮮な空気で満たしたくなります。
春蝉、鳥の声も聴きながら
明確な休憩スポットはないですが、時折、東側の展望が良くなっている箇所があります。足場もよいので、立ち止まっておやつを食べたりちょっと一息。ふと木の幹を見るとセミの抜け殻を発見。自然のものの形は無駄なく美しく感心してしまいます。盛夏の風物詩のイメージのセミですが、春蝉の鳴き声は「ミンミン」でも「カナカナ」でもなく「ギーギー」「ムゼームゼー」などと表現されます。
山頂が近くなるにつれ勾配が緩やかになるありがたさ
序盤の看板で「まだ1/10もきてないの?」と怯んでいましたが、後半、そのカウントも間隔が狭くなるので、絶妙に励まされて登っていきます。どちらかといえば、山頂が近づくにつれ勾配が緩やかになるので、のんびり登山を楽しみたい気分のときは、最高のコースなのです。三角点の前にやや下る場所があり、そこを越えれば山頂はすぐそこ。
はじめて登る人は山頂手前50mで心の準備を
山頂が近づくと足元の土が徐々に白い砂になってきます。ここまでは展望個所も少なくずっと樹林帯の木陰を歩いてきたのですが、いざ山頂に出ると一気に世界が変わります。まるで海のような「天空のビーチ」に出る直前は日向山登山で一番ワクワクする瞬間。
さあ、天空のビーチへ!
風が吹き抜ける白砂の山頂、雁ヶ原
花崗岩が露出したこの場所は一面細かい白砂で、空の青と白い砂地が相まって「水着忘れたー」と思うくらいのビーチ感。
北側は雄大な八ヶ岳連峰と北杜市の街、南側には凛々しくそびえる甲斐駒ヶ岳を望む、何度訪れても感動する絶景。登ってきた疲れ具合と景色の素晴らしさを天秤にかけると、絶景への感動が圧勝なので、疲れが吹き飛ぶとはまさにこのこと。
八ヶ岳を眺めながら食べる「真空ごはん」が最高
この日は天気が良かったので、山際の木陰でランチタイム。この景色を見ながらだと何を食べてもおいしいに違いないのですが、今回はお楽しみがあるのです。
私の働いているCLAMPでも取り扱いがある「真空ごはん」は、湯煎するだけでシェフの味が楽しめる真空冷凍の保存食。長い山行のときは、携行が難しいのですが、日帰りや1泊2日行程にはぴったり。
新メニューの「玉ねぎトマトスープ」が入荷したので早速いただきます。温めるだけでおいしいご飯が食べられて大満足。
フードロス対策を兼ねて作られているものなので、その時々でメニューは変わりますが、現在は「スパイス香る鹿肉カレー」「山椒そぼろ」も販売中。友人は次の山行にカレーを持って行くそうです。
下山するのが名残惜しい…
食事のあとは、滑りやすいところもあるので足元に気を付けながら、もうしばらく景色を堪能。本来は西側に続く登山道があり、錦滝の方を回るルートもあるのですが、このときは林道崩壊のため通行止めとのこと。いつまでもここにいたい気持ちもありますが、じりじりと照り返す日差しが暑くなってきたので、来た道を戻るルートで下山します。
三角点もお見逃しなく
木陰に入ると格段に涼しく、汗をかくこともなく快適。途中の樹林帯の中にある三角点もチェックして、気楽におしゃべりしながらの下山です。
道中には山アジサイの花がたくさん咲いていて、友人がいい匂いがすると教えてくれました。近づいてみると確かにいい香り。優しく少し甘い感じで、一層この花が好きになりました。
帰りには「道の駅はくしゅう」で名産品をお買い物
下山は1時間ほど。クルマを停めた矢立石登山口まで戻ってきたらハイキングの締めに、毎日周辺の大自然から届く、新鮮な旬のおいしいものがいっぱいの「道の駅はくしゅう」へ。お買い物と白州の名水にふれながら、ゆったり休憩もできる人気の道の駅です。
このエリアは南アルプス山脈のミネラル豊富な高濃度強塩源泉から焚き出した「山脈塩」(やまじお)が有名で、その塩を使ったソフトクリームや名産品のお土産物、地元の野菜やクラフトビールも購入できます。よく冷えた「やまじおや 塩サイダー」は、汗をかいたあとの水分補給にもぴったり。
また、こんこんと湧き出る白州の名水を汲むことができるので、スタート前に水を汲んでから行くのもいいですね。
道の駅はくしゅう
- 所在地:山梨県北杜市白州町1308
- 営業時間:ファーマーズマーケット 9時~18時、かもしか食堂 11時~15時(平日)、11時~18時(土日祝日 ※ラストオーダー17時)、カフェコーナー 10時~16時
- 定休日:水曜日(4~11月は無休)、年末年始
- HP:https://michinoeki-hakushu.com/
季節を変えて何度でも登りたい名山
盛夏の青い空も捨てがたいですが、秋には紅葉が美しく、晩秋の落葉した明るい森をふかふかの落ち葉を踏みながら歩くのもまた楽しいもの。県内外問わずファンも多く、季節を変えて何度でも登りたくなる山梨県の名山「日向山」をぜひ歩いてみてください。