近年頻発する河川の水害。災害時の復旧拠点として整備された河川防災ステーションの一部施設は、今年から名称を新たにその役割も拡充していく。それがMIZBE(みずべ)ステーションだ!
二ツ井MIZBEステーションの例で見ると…こうなっている!
緊急復旧用備蓄資材、車両格納庫 、ヘリポート、水防センター(施設内)、 道の駅などの地域振興施設 、多目的広場 、駐車場などを備える。
全国各地には「河川防災ステーション」という災害復旧の拠点となる防災施設がある。じつは道の駅など人びとで賑わう施設に隣接するところもあって、知らずに利用していることも多い。広い駐車場やトイレなど充実した施設を持つ河川防災ステーションをこのほど「MIZBEステーション」と名づけ、有効活用してもらう構想が始動した。
これを今年3月に発表したのが国土交通省。同省の水管理・国土保全局治水課の三枝伸太郎さんは今回の取り組みをこう話す。
「目的は賑わいです。休日にはたくさんの人が訪れるような場所になって欲しい。河川防災ステーションは本来、主に災害時に使用する施設です。でもそうした場所こそ普段から多くの人に利用されることで、流域の治水や地域の防災力の向上にもつながります。親しみやすく、覚えやすい名称にすることで、利用者が増え災害に対する意識が高まることも期待しています」
全国の河川防災ステーションの中から条件に合う9か所を登録。今年度から飯山地区MIZBEステーションと山吹地区MIZBEステーション(いずれも長野県)の整備に着手する。
ポイントは、①滞在のしやすさ。広い駐車場や水防センターや休憩できる施設があるか。②地域と連携したスペースがあるか。道の駅や文化教養・体育館、民間商業施設など。③県道や国道に面するアクセスのしやすさ、以上の3つが挙げられる。登録済みの9か所は、すでに地域利用が活況で多くの人で賑わう。
河川敷という拓けた環境を活かし、ウォーキングや花火大会など大人数が集まるイベントや、カヤック体験やシクロクロス大会といったアウトドア利用も多く、外遊びには格好の場所。レクリエーション利用は地域市民の声に対応するというから、アウトドア派は大いに活用したい!
現在、全国に9か所登録
・二ツ井地区 秋田県米代川・三条 新潟県信濃川・増穂地区 山梨県富士川・閖上地区 宮城県名取川・早田地区 岐阜県長良川・佐原地区 千葉県利根川・塚本地区 静岡県狩野川・名張川 三重県名張川・中鳥地区 徳島県吉野川
すでにある施設のなかから条件を満たす場所を今年3月MIZBEステーションとして登録。今後、長野県飯山市と高森町の2か所を整備し新たに設置する予定だ。
平時はレクリエーションやイベントに
災害時の拠点となるよう盛り土などの整備がされるが、その場所は平時、さまざまなレクリエーションの場所として地域で活用可能。川沿いの立地はアウトドアで賑わうこと間違いなし!
飯山MIZBEステーション予定地、道の駅「花の駅千曲川」はアウトドアの拠点に
長野県飯山市の道の駅「花の駅千曲川」は、現在改新中で今秋グランドオープン予定。地場の農産物はもちろん、トレッキングや自転車、カヌーなどアウトドアアクティビティーを体感する拠点となる。数年後には飯山地区MIZBEステーションが整備され、災害時は緊急復旧や水防活動の拠点、平時利用ではキャンプサイトやRVパークなどを新設する案も検討されている。年内にはモンベルショップも開店予定だ!
※構成/須藤ナオミ イラスト/近常奈央
(BE-PAL 2023年7月号より)