アウトドア好きでなくても、その名前を一度は聞いたことがあるであろう「メスティン」。キャンパーなら、メスティンを持っている人の方が持っていない人より多いかもしれません。
調理がしやすい上に軽量コンパクト、というアウトドアにもってこいの特徴を兼ね備えています。
多くの人が当たり前のように使っているメスティンですが、本来どんな特徴や魅力のあるクッカーなのでしょうか。最近、コッヘルからメスティンに乗り換えた筆者のリアルな感想をお届けしていきます。
私がメスティンを使わなかった理由
登山ガイドとして活動する筆者ですが、実は今までメスティンを使ったことがありませんでした。
コッヘルで十分
というのも、山では「コッヘル」を愛用していたから。2~3人用のお湯を沸かせるコッヘル(携帯用調理器具)を持っていたため、「お米を炊くか、お湯を沸かすか、袋麺しか食べないからコッヘルで十分。メスティンは必要ない」と思っていたのです。
また、人と登山に行くことが多い筆者には、2~3人用のお湯を沸かせるコッヘルがちょうどいいサイズ感です。
それなりに重量はありますが、蓋を取り皿として使ったり、ラーメンを食べている間に蓋でコーヒー用のお湯を沸かしたりと、使い勝手の良さを感じていました。
また、コッヘルは長持ちする丈夫なギア。今まで買い換える必要もありませんでした。さらにいうと、初めて買った登山用品がこのコッヘルだったので、多少重くても愛着があり、なかなか手放せなかったのです。
そんな中、ようやくメスティンとの出会いが…!
そんな筆者でしたが、最近プライベートの時間が増え、一人で山に登る機会が増えました。
そこで一人用の小さくてコンパクトなチタン製のコッヘルを買おうかと悩んでいたところ、タイミングよく友人からメスティンをプレゼントされました。
「これは運命だ!」と思い、コッヘルを買う前に、メスティンを使ってみることにしたのです。
メスティンを使ってみたリアルな感想
今まで、キャンプで調理をするための便利グッズだと思っていたメスティン。
登山では、「調理のしやすさなんていらない!」と思っていましたが、実際に使ってみると想像以上に便利で驚きました。
今になってようやく使い始めた筆者と一緒に、改めてメスティンの魅力を振り返ってみてください。
調理以外で感じた3つのメリット
まず、調理以外で感じたメスティンの魅力は3つありました。
思っていたよりも軽い
アルミ素材のコッヘルは既に持っているので、次は絶対に軽いチタン素材のコッヘルを手に入れようと思っていました。
しかし、アルミ素材のメスティンを持ってみたところ、想像以上に軽くて驚きました。
筆者の中で、「調理がしやすい=重たい」というイメージがありました。メスティンは、そのイメージを良い意味で裏切ってくれました。
私がもらったメスティンは一般的な一人用のサイズなので、元々使っていた2~3人用のコッヘルと比べると当然軽量です。この軽さは、登山においても大きなメリットです。
パッキングしやすい
四角い形をしたメスティンは少しかさばりそうな印象を持っていましたが、隙間にスポッと入るのでザックの中が広く使えます。
丸いコッヘルと比べると、ストレスなくパッキングできました。
収納がスッキリする
四角い形ゆえに、ストーブとライター、ティッシュやウェットティッシュ、ナイフ、カトラリー、行動食、食後のコーヒーなどが綺麗に収まりました。
さらにメスティンは広くて浅い形をしているので、フタを開けるとどこに何が入っているか一目瞭然です。
調理に使わない時は、小物入れとしても優秀。すぐに必要な物を見つけられるのでストレスなく便利に使えます。
調理のしやすさは?
では、調理の観点ではどうなのでしょうか。
メスティンとコッヘル、お米を炊く工程は同じだけど…
正直なところ、「お米の炊きやすさ」についてはメスティンとコッヘルであまり違いは感じませんでした。
私がもらったメスティンは内側に目盛りがついており、それに合わせて水とお米を入れ、火にかけて炊いていきます。とはいえ、コッヘルに目盛りがなくても指で水分量を測れていたので、目盛りの有無はそこまで重要だと感じませんでした。
また、火からおろした後、焦げないようにタオルで包んで蒸す、という行程も同じです。元々使っていた丸型のコッヘルでも、同じようにお米を炊いていました。
メスティンは「お米を炊いた後」がラク!
ただ、メスティンの良さももちろん感じました。それは、「お米を炊いた後」の扱いやすさ!口が広くて底が浅いので、非常に調理がしやすいのです。
具体的には、炊いたお米を隅々まで綺麗にすくえます。具材を入れたり混ぜたりすることも満遍なくできるので、ストレスフリーです。
筆者が元々使っていた底が深い丸型コッヘルは、長細い形をしているのでスプーンが上手く動かせず、炊いたお米をすくうのが大変でした。
ストレスなく料理できるので、めんどくさがりの筆者でも少し凝った料理を作ってみようという気になりました。
炊き込みご飯を作ったところ、とにかく混ぜるのが楽!多少の焦げつきが気になりましたが、山飯のレパートリーが増えそうでした。
メスティンのデメリット
ただ、メスティンを使ってみて、2つほど気になったことがあります。
食べる時に持ちづらい
一つ目は、食べる時の持ち手についてです。
メスティンは長方形の短辺の方に持ち手がついているので、ラーメンなど重量のあるご飯を食べる時、丸型コッヘルよりも手首に負担がかかる気がしました。
蓋が持ち上げにくい
二つ目は、蓋の持ち上げにくさ。
メスティンの蓋には、基本的につまみのようなものがついていません。そのため、調理後のアツアツの蓋を頑張って開ける必要が…。
今まで筆者が使っていた丸型コッヘルは蓋に持ち手があったほか、世に出ているコンパクトなコッヘルにも大抵はつまみがついています。
一方でメスティンの蓋はつまみなしでピッタリくっついていることが多いので、筆者は自分が使っていたタオルで蓋を持ち上げました。
タオルを使えばほとんど熱さは気にならなかったので、大きなデメリットではないものの、わざわざタオルを取り出す面倒さはありました。
メスティンは山でも使いやすい!
メスティンはキャンプで調理するためのギアだと思い込んでいましたが、間違いなく登山でも活用できることを確信しました。
筆者と同じように「まだメスティンを使ったことがない…」という人も、ぜひ視野に入れてみてくださいね!
クッカーにはそれぞれ特色があり、メスティンだからこその魅力にも気づけるはずです。