備えあれば憂いなし。そんなことわざのとおり、準備は登山を成功させる第一歩。装備品とともに自分のコンディション管理も必要ですが、よりスムーズに歩を進めるためにテーピングを活用してみませんか?
テーピングというと、“痛めた場所を支えるために使うもの”というイメージがあるかもしれませんが、実は身体の動作サポートにも役立ちます。つまり、健康な身体をより効率的に使うためのサポートにも使えるのです。
今回はニチバンの主催するテーピングセミナーに参加し、講師を務めるニチバン契約トレーナーの並木磨去光さんにそのポイントを聞きました。
実は上り・下りで異なる!登山に適したテーピング
登山シーズン真っ盛りですが、ニュースでも登山時の事故や怪我による搬送が毎日日本各地で起きています。
登山では、上りと下りで使う筋肉が異なり、たまった疲労とともに身体のコントロールがうまくできないことから、下山時の救急搬送も増えています。
ここで覚えておきたいのが、筋肉サポートのためのテーピング。
上りと下りではテーピング方法が異なるので、頂上での休憩タイミングで巻きなおし、下りに備えましょう。また、テーピングをすることで上りとは使う筋肉が変わることも意識できます。
「テーピングの効果を強く出したいならば、テープは長めに切ってしっかり引っ張りながら貼ること。もちろん個々人の好みはありますが、まずはそこからはじめて、あとは状態に合わせて調整してください」(並木さん)
上りにおすすめの巻き方
上りの時におすすめの巻き方は、膝の可動域を確保しながらサポートするテーピング。
まずは膝を軽く曲げ、テープを膝下の脛(すね)の外側から内側の靱帯の上を通し、ふとももの外側の方へ少し引っ張りながら貼っていきます。
2本目は膝のお皿の下でクロスするように、脛の内側から膝のお皿の外側を通してお尻の横の大腿骨のあたりまでテープを貼ります。
最後にクロスした部分に対して横になるようテーピングすれば完成です。
下りにおすすめの巻き方
下りの場合は、まずテープをカットするところから始まります。
75mm幅のテープに切り込みを入れ、ふとももの上から膝を囲むように貼ります。
切り込みを入れたテープのYの形になった部分で膝のお皿を挟むように、太ももの付け根から膝下へ、次にすねから膝上へとカットした部分で囲むようにテーピングしていきます。
さらに、膝下でテープをクロスして貼ります。
上るときは大腿骨部分からのサポートだったのに対し、下るときはより負担がかかる膝のサポートを強化したテーピングがおすすめです。
登山時の疲れを予防する足裏のテーピングとは?
登山時の疲れを予防するには足のアーチ部分に支えを作るのがおすすめです。
アーチアップ
足首を90度にした状態で、土踏まず部分を中心にテープを貼り、引っ張り上げるようにしながらクロス貼り。このとき、足の甲の部分まで包むように貼らないと、ずれてしまうので注意しましょう。
簡単にできるテーピングも!
簡易的に行うならば、横に3本テーピングするだけでも効果があるそうです。詳細は、ニチバン「バトルウィン」のHPで紹介されています(https://www.battlewin.com/howto_taping/footback_02/index.html)。
テーピングの効果をアップする巻き方のコツ
目的に合わせて正しくテーピングを行う際に、より効果を得るための基本知識やコツもぜひ押さえておきましょう。
(1)目的に応じてテープを選ぶ
テーピング用のテープは様々なものが出ています。大きく分けると伸縮性のあるものと、非伸縮性のもの。
非伸縮テープは、強い固定や圧迫をするために使用します。一方、伸縮テープは、関節の可動制限や固定、圧迫を目的に使用します。
肌が弱くてかぶれそうな人は、テーピングの前にアンダーラップ(※テーピング前に貼る予備テープ)を使うのがおすすめ。また、1枚でアンダーラップとテーピングの役目を担ってくれる製品もあります。
テープ同士が重なるとくっつく自着性テープの「バトルウィンWグリップ」は、ふくらはぎに巻き上げるだけで、登山などでの脚の疲れ予防にも使用できます。
ニチバンの公式サイトでは、用途や目的別におすすめのテープが紹介されているので、それを見ながら判断してみるのもいいでしょう。
(2)テープは毎日貼り替える
テーピングテープは、スポーツや登山終了後にすぐはがしましょう。
はがすときは体毛の流れに沿ってゆっくりはがすのがおすすめです。粘着力が強く、はがすときに痛みを感じる場合はシャワーをテープの上からかけて、テープと身体の間に水を入れるとはがれやすくなります。
テーピングテープはどうしても身体の動きとともに少しずつずれたりはがれたりしてくるので、きちんと効果を得るためにも毎日貼りかえるほうが正しく効果を得られます。
(3)なるべく自分以外の人に貼ってもらう
できれば、テーピングは自分自身ではなく、他の人にしてもらうのが理想的です。足を伸ばしてぴんと張った状態で綺麗に貼ることは、身体が硬い人だと難しい場合も多いためです。
ただ、状況によっては巻ける人を見つけるのが難しいこともあるので、軽い運動や日常生活には、1人で巻けるセルフテーピングに挑戦してみましょう。
慣れると一人でも上手にできるようになるので、まずはチャレンジを!
正しいテーピングで登山の怪我を予防しよう
このほかにも、ニチバンのテーピングブランド「バトルウィン」のホームページではテーピング方法が動画とともに紹介されています。
登山での怪我や疲労を減らすための準備のひとつとして、テーピングも検討してみてはいかがでしょうか。
まずは正しい知識を身に付けて、次の登山でぜひ実践してみてくださいね。
ニチバン「バトルウィン」
https://www.battlewin.com/
取材・文/北本祐子