六甲山登山で活用したい「トレイルステーション神戸」が新神戸駅に誕生!
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    2023.08.30

    六甲山登山で活用したい「トレイルステーション神戸」が新神戸駅に誕生!

    山小屋風のかわいい造りと人工芝の緑が目を引くトレイルステーション神戸。予備知識もなく見れば、ショップなのか案内所なのか若干分かりにくいが、六甲山登山に特化した案内所だ。

    六甲山最高峰(標高931m)を頂にして、東西およそ30キロに山々が連なり、尾根沿いの縦走路は50キロ以上にも及ぶ六甲山。その縦走路に交わる形でいくつもの登山道が張り巡らされ、神戸などの市街地からもアクセス抜群。

    それでいて豊かな自然が残ることから、関西屈指の人気登山スポットとして知られている。明治時代に日本で始めてレジャーとしての登山が始まったのも、ここ六甲山ということを知る人も多いだろう。

    2023年7月22日、JR新神戸駅1階に誕生した「トレイルステーション神戸」(通称「トレコ」)は、そんな六甲山の登山をサポートするための拠点。神戸市が進める「神戸登山プロジェクト」のひとつとして開設され、「神戸の財産である『登山』をより楽しめる取り組み」の発信基地としての役割を担う。では具体的にどのような活用方法があるのかを紹介しよう。

    六甲山登山に便利な6つのサービス+αを提供する

    新幹線の改札から出口や地下鉄への乗り換えルート上にあるので、新幹線を利用して神戸に来た人にも目に付きやすい。

    トレコがあるJR新神戸駅は神戸の玄関口のひとつでありながら、実は六甲山の代表的な登山口としての顔も持つ。ここから山側へ徒歩15分ほどで「日本の滝百選」の布引の滝、さらに足をのばせば山頂から「1000万ドルの夜景」が望める摩耶山(標高702m)などへの登山道が続く。

    また六甲山系の概ね中間地点に位置していることから、東西どちらの方面の山に進むのも便利。それもあってか駅の出入口には、ビジネス客や観光客に混ざって、デイバッグを背負ったハイカーたちの待ち合わせ姿も目にする。

    まさに六甲山の登山拠点にふさわしいロケーションに位置するトレコ。同施設が掲げる主なサービスは、以下の6つだ。

    ・登山情報の発信
    ・登山用品レンタル
    ・グッズ販売
    ・ガイドツアー
    ・荷物預かりサービス
    ・フリースペース

    さらにこれらに加えアウトドアグッズを利用した防災アイディアなどの講座や様々なイベントの開催も予定している。

    六甲山やアウトドアを知るスタッフから最新情報やおすすめルートをゲット

    店長の石井洋之さんは神奈川県出身で幼い頃から山と親しみ、大学時代にはワンダーフォーゲル部に所属。日本アルプスなどの山々を踏破してきた。6年ほど前から神戸にある本社勤務となり、六甲山にも意欲的に足を運ぶ。

    トレコに常駐するのは、神戸市から委託を受けた登山・アウトドア用品店「好日山荘」のスタッフが中心。「スタッフは六甲山や登山用品の知識を身につけているので、初心者からの基本的な質問にはしっかりお答えできます」と語るのは店長の石井さん。自身も気象予報士の資格を持ち、店内のパソコンで最新の天気図を元に、天候に関するアドバイスを行うこともある。

    「まちと山が非常に近いのが六甲山の特徴。駅から歩いて10分ほどで自然林が広がる環境はめったにありません。しかもルートが数多く、遊び尽くせないほどバリエーションが楽しめるのが魅力ですね」。

    石井さんが語るように、登山道が網の目のように張り巡らされた六甲山だけに、すべての道を把握するのは至難の業。時間が許す限り六甲山へ通うという好日山荘スタッフらが発信する最新情報は、実に貴重だ。初心者でなくとも入山前に立ち寄り、情報収集に利用する手はない。

    もちろん新神戸駅を起点としたおすすめルートの紹介も行う。「初心者向けに約2〜3時間のコースを紹介しています。今の季節なら新神戸を起点に、布引の滝〜市ケ原〜再度山〜大師道で下山し、元町駅をゴールとする日陰の多いコースがおすすめです」。六甲山を全く知らない人にとって、季節や体力に合わせたコースの提案をしてくれるのは心強い。

    六甲山の登山道を紹介する地図も販売している。「山と高原地図 六甲・摩耶 須磨アルプス」(1,210円)、「六甲山系登山詳細図」(1,320円)。

    装備に心もとない初心者には嬉しい登山用品レンタル

    レンタルできるキャラバンのトレッキングシューズは大きめのサイズがアッシュ(手前)、小さめのサイズがデザートサンド(奥)の2色が用意されている。

    初心者にとって登山の装備をすべて完璧に揃えるのは、予算的にもなかなかハードルが高い。あるいは旅先の神戸で「ちょっと六甲山を歩いてみたい」という旅行者もいるだろう。そんな時に便利なのが登山用品レンタル。トレコではトレッキンシューズ、レインウエア(上下セット)、ザック、トレッキングポールの4アイテムを、それぞれ一日550円でレンタルすることができる。

    トレッキングシューズはキャラバンのC1_02S。ゴアテックスなので水に濡れても安心だ。「キャラバンの代表的モデル。日本人の足型にあわせた形状と比較的柔らかなソールで誰でも履きやすいのが特徴です」と石井さん。サイズは22.5〜29センチが揃う。

    ミレーのザックは男女別にそれぞれ容量25L。日帰り登山にはちょうどよい大きさ。

    トレッキングポールはLEKIの伸縮式と折りたたみ式の2種類。特に折りたたみ式はカーボン製で一本250g〜の軽量型で上級者にもおすすめ。レインウエアはマムート。これもゴアテックスを採用し、十分なスペック。初心者はもとより上級者でも試してみたいアイテムが並ぶのが魅力的だ。まだ利用頻度は少ないとのことで、現時点ではいずれも新品同様の状態のものが多い。「試着や試用する感覚でご利用していただいてもいいかと思います。気に入ったらぜひ好日山荘でお買い上げを(笑)」。

    「あったら便利!」「買い忘れた!」、そんな時に助けてくれる販売品コーナー

    様々なアイテムが並ぶ販売品コーナー。この時期(夏)に一番の売れ筋商品が天然成分100%の虫除けスプレー。

    レンタル用品の隣に並ぶのが販売品コーナー。アルファ米やフリーズドライの食品、サングラス、虫除け関連グッズ、水筒、帽子など、登山時にあれば助かるアイテムが揃っている。先ほど紹介した六甲山の地図も人気商品だ。こちらのコーナーは季節により商品は入れ替わる。

    一人や初心者でも安心して楽しめるガイドツアー

    店頭の掲示板以外にもInstagramで最新のツアー情報の発信をしている(写真/トレコInstagramより)。

    標高1000mに満たない六甲山ではあるが、登山道は入り組んでいて、そのルートは200とも300あるとも言われている。そのため道迷いなどのトラブルは毎年のように発生している。市街地に近いという安心感もあり、多くの人が軽い気持ちで山に入るのも事実だ。ただ土地勘のない旅行者や初心者にとって、単独行は不安であり危険も伴う。そんな時はトレコ主催のツアーに参加するのをおすすめする。

    初心者やファミリー向けのツアーはもちろん、ガイドがいるからこそ安心して参加できるナイトツアーなど、多彩な内容のツアーを展開している。申込みはトレコのホームページから可能だ。

    荷物を預けて身軽に六甲山を楽しんだあとは、フリースペースでくつろぐ

    屋外用冷風機で下山後の火照った体を冷やしていく登山客もいるとか。冷風機は9月末頃まで設置予定。

    トレコではスーツケースなどの荷物も、大きさに関わらず一日550円で預かってくれる。場合によっては大型のコインロッカーや駅の手荷物預かりよりもリーズナブルな価格設定。ただし日をまたぐことはできず、出し入れは営業時間内に限られているので注意が必要だ。

    神戸ウォーターの量り売りは、500mlまたは備え付けの紙コップ一杯108円。冷水と温水の両方を提供できる。

    誰もが気軽に利用できる4人掛けのテーブル席、同じく4人ほど座れるベンチをフリースペースとして開放している。登山前の装備のパッキングや登山後の休憩に重宝しそうだ。テーブル席でお弁当を食べることもできる。

    注目がカウンター横に設置された神戸ウォーターの給水器。水筒などを持参すれば、その水を量り売りしてくれるサービスを実施している。六甲山の麓の地中深くから汲み上げた口当たりまろやかな神戸ウォーターは、神戸開港時には世界の船乗りからも絶賛されたという味わい。「下山後に冷たい水で喉を潤すお客様も多いですよ」と石井さんもその人気ぶりを語る。

    オープン以来、登山前の朝や下山後の夕方に、足を運ぶ登山客も徐々に増えつつあるトレコ。「トレコを集合場所や解散場所に設定してもらい、ここが目的地となるような存在にしたい。そしてもっと登山客が集える場所にしていきたいですね」と意欲を語る石井さん。

    六甲山登山の新しい窓口としてデビューしたトレコ。安全に登山を楽しむための支援拠点だけでなく、六甲山の希少な自然環境を再認識できるきっかけの場として存在感を増していくことにも期待したい。

    トレイルステーション神戸

    住所/兵庫県神戸市中央区加納町1-3-1 JR新神戸駅1階 TEL/080-7049-5867
    営業日/
    月・木~日曜日、祝日(12月~2月は金~日曜日、祝日)
    営業時間/8:30~17:30(12~13時はカウンタークローズ)(12月~2月は9:00~16:00)
    URL https://kobe-rokko.jp/toreko/ 
    Instagram @toreko.kobe

    私が書きました!
    ライター/カメラマン/編集者
    藤川満
    大雪山山中での勤務、札幌の情報誌編集長などを経てフリー。現在は神戸を拠点にして、六甲山の茶屋の酒を目当てに登り、時に仁淀川や四万十川まで足をのばしカヌーで川を下る。全国各地の低山にも出没し、下山後の地酒に目がない日本酒党。「にっぽん百低山 吉田類の愛した低山30」(NHK出版)の執筆・写真・編集担当。

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