ネイチャーライフを豊かに楽しむ良書4冊をご紹介。図鑑から指南書、小説まで、バラエティに富んだ内容の本をお届けする。
BOOK 01
理科系ミンゾク学が明かす新しいカタツムリ研究
『マイマイは美味いのか 人とカタツムリの関係史』
盛口 満著 岩波書店 ¥2,640
身近にいて誰もがその存在を知っているカタツムリ。でんでん虫の歌もよく知られているが、虫の仲間ではない。カタツムリは何者かと改めて問われれば答えに窮する人は少なくないはず。ずばり答えは貝類。カタツムリは、陸に住む巻き貝だ。
本書は人とカタツムリがどのように接してきたかを、聞き取りやフィールドワークによって探るカタツムリ考。カタツムリとは一体なんなのか? 素朴な疑問から掘り下げていく。著者は長年理科教員として歩み、沖縄に居を構えている現在も大学で教える教育者だ。
「カタツムリはヤドカリみたいに殻を交換するでしょ」、「アフリカマイマイは毒があるけど、カタツムリは大丈夫」。教え子である学生たちのカタツムリ談にはクスッとさせられる。
そしてカタツムリを食用としてきた国内外の歴史も繙く。著者が聞き取りを行なった琉球列島の島々では色々に食されてきた。すぐ手に入り、味もいい食材としてよく重宝されていた例もある。またカタツムリは戦時中、日本軍によって食用目的で各地に移入されていたことは興味深い。
ときに害虫扱いされながらも、食、遊び道具、呪術まで多様な形で人との関係性を持つカタツムリ。この不思議な存在の生き物を通じて、未来をも見据える。
BOOK 02
できそうなものに挑戦。ハンドメイド事始め
『自然素材で楽しむ手仕事&クラフト』
農文協編 農山漁村文化協会
¥1980
現在の生活用品の主流は安価で変形しにくいプラスチック製品。かつては竹や藁といった自然素材で手作りされていたはずだが、いま高価な伝統工芸品のように扱われることもしばしば。庶民が日常に必要な品々をどのように作っていたのかを知る術はなかなかない。
本書は、それらの手作り技術を全国各地にいる名人・賢人たちから教わる指南書でもあり、昔ながらの生活の聞き書きという側面も持つ。ホウキやカゴといった日用品から飾り物や門松などの季節の縁起物の作り方、草木染めや柿渋の染色の方法、竹工・木工の章では楽器まで。夏休みの工作にぴったりかもしれない。
BOOK 03
真夏の夜に舞う妖艶な姿を知りたい
『くらべてわかる蛾 1704種』
横田光邦監修・写真
阿部浩志、筒井 学、諸岡
範澄写真・文 山と溪谷社
¥2310
蛾は世界に約7000種、その数は同じ仲間の蝶のなんと30倍近くになるそうだ。本書は日本で見られる成虫を1704種、幼虫は278種を収録。白い背景で配置された数々の蛾の写真は、細部の特徴まで鮮明に見ることができて似たもの同士も一目瞭然だ。中でも冒頭の「色で調べるガの早見表」は、赤、黄、緑、白など圧巻のグラデーション。鮮やかで個性豊かな姿が美しい。
キャンプの夜。灯りにひらひらと集まるのは手のひらほどもあろうかという大きな蛾。さて、君の名は?
BOOK 04
現場はアウトドア!? 野外スキルで謎解き
『満天キャンプの謎解きツアー かつてのトム・ソーヤたちへ』
高野結史著
前田ミックイラスト
宝島文庫 ¥880
BBQ中に起きた児童誘拐、死体が消えるという山、そして別荘地に現われた窃盗団……。北海道の大自然を舞台に繰り広げられるさまざまな不可解事件。刑事の霧谷歩子は、現場でキャンプガイドの天幕包助と出会う。野外でのずば抜けた観察力と高いアウトドアスキルを持ち事件解決の糸口を見つける天幕に、歩子は一目置くようになる。しかし、ある事件で天幕は殺人の容疑がかけられてしまうのだった。アウトドアフィールドで謎を解き明かしていく新感覚のミステリー。
※構成/須藤ナオミ (BE-PAL 2023年9月号より)