キャンプに「プジョー」はどう? フランスの洗練をフィールドでも味わおう
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    2023.09.12

    キャンプに「プジョー」はどう? フランスの洗練をフィールドでも味わおう

    近年はこれまでの発想に捉われない、自由なスタイルの新型車ラッシュが続いている。それらのモデルの多くは“クロスオーバー”と表現されており、これまで保守的だったメーカー/ブランドのなかにも影響は及んでいる。プジョーから登場したファストバックモデル「408」もそのうちの一台と言える。試乗を通じてアウトドアでの可能性を探った。

    プジョー 408ってどんなクルマ?

    他社から登場しているSUVクーペよりもロー&ワイドな印象の408。もっとも、全幅は1,850mm、全高は1,500mmと、従来からある一般的な立体駐車のパレットに収まるサイズに留まっているため、都市型ユーザーにはうってつけの選択肢となるだろう。

    フランスメイドのモデルといえば実用に即した堅実さが売りのいっぽうで、デザイン的、機構的に独創性の高い個性派も多い。そのなかでプジョーはどちらかといえば前者、実直なクルマ作りを推し進めてきたブランドだ。

    もっとも、最近はスタイリング面での力の入れようはなかなかのもので、現行ラインナップでいえば508に始まる流麗なボディラインに、ライオンの牙や鉤爪をモチーフにしたアクセントを与えた、ちょっと攻めたデザインが人気を博している。そしてそれをまた一段とアグレッシブに仕立てたのが最新の408というわけである。

     使い勝手に優れるファストバック・クロスオーバー

    プジョー独自の“i-Cockpit”もだいぶ洗練され、ポジションにも違和感を覚えなくなってきた。最低地上高が高められていることもあり、308ハッチバックよりもアイポイントが高く、見晴らしやすく運転しやすいのもいい。

    GTグレードではシート表皮にアルカンターラが用いられ、さらにはマッサージ機能も備わる。

    全長4.7m×全幅1.85mのサイズは中型ワゴンクラスに相当するが、実際の408は幅広くそれでいて若干背が高いファストバックスタイルを採る。ネコ科の動物が背中を丸めて威嚇するようなクラウチングポーズが、これまでのコンサバティブなデザインのモデルとは一線を画していると言えるだろう。先述の牙や鉤爪のモチーフも健在であり、立体感溢れる新しいグリルとも相まって、肉食獣的な獰猛性が強調されたように思う。

    エクステリアはそんな有機的なラインが目立つが、室内は先進感溢れる直線的な仕立てだ。ステアリングホイール上端越しにメーターを見るプジョー独自の“i-Cockpit”の採用はもちろん、物理スイッチを極力減らしたスマートなコクピットデザインは、先に登場している中核ハッチバックの308譲り。

    安全、運転支援、エンターテインメントをはじめとする快適装備の備えはもちろん万全で、デザイン性に溢れながらも実用面での抜かりのなさはさすがプジョーというところだろう。

    1.2ℓエンジンでも楽しく走れる

    首都高を往く408GT。フラットな姿勢を保ちつつ、ダンパーのしなやかな動きが目地段差の継ぎ目などによる不快な突き上げを抑えてくれる。

    4081.2ℓ3ターボを搭載する「アリュール」と「GT」、 1.6ℓ4ターボ+電動モーターのプラグインハイブリッド「GT HYBRID」の3モデルが用意され、今回試したのは一番の売れ筋と目される「GT」。先述のように1.2ℓという小排気量ながらも扱いやすさが光る、プジョー・モデルの中核エンジンである。

    まず、その1.2ℓ3ターボの吹け上がりの軽さが良い。兄弟車でもある308ハッチバックでも同様の印象を抱いたが、組み合わされる8ATの滑らかな変速のおかげもあって、きっちりとエンジンを回して走らせたくなる。エンジンサウンドは決して官能的ではないが、粒の揃った回転フィールが味わえるのは何より運転していて楽しい。

    そのエンジンを駆使しての走りっぷりは、これまでのプジョーの流れを汲んだものだった。408はクーペのような、ハッチバックのような、それでいてSUVテイストも散りばめられたクロスオーバーということもあって、一般的なハッチバックやワゴンよりも最低地上高は170mmと多めに取られ、つまりはちょっとした悪路走行もこなせるようになっている。このことはアウトドズアマンにとっては嬉しいニュースである一方で、重心が高まることによって車両の安定性が損なわれ、運転する楽しみが減るのではという懸念もあるかもしれないが、心配にはおよばない。

    408のデザイン面の印象にも象徴されるように、ボディ上屋の姿勢変化は最小限に抑えながら、ネコのようにひたりひたりとしなやかを伴うフットワークが何より心地いい。つまり、足回りが安定感の高さと乗り心地のよさを両立しているというわけである。見た目の鮮やかさや楽しさが目を引くいっぽうで、走りのパフォーマンスに関しては安心と安定感、心地よさに溢れているのが、なによりプジョーらしい。

    ステーションワゴン感覚で積める!

    前後左右方向とも105cm程度の長さが確保されている、スクエアな形状の荷室フロア。容量は通常時536ℓ、後席の前倒しで最大1611ℓとなる。

    4ドア+リア・ハッチゲートのスタイル、パッケージングは、プジョーが培ってきたハッチバック作りの知見が生かされている。結果、荷室容量は5361611ℓとステーションワゴンの308SWにも見劣りしないスペースを確保。ホイールベースが長いぶん、後席の足元スペースも広く取られてあるから、家族や仲間たちとの移動でも窮屈な思いをさせることはないはず。

    つまり、408は自ら全方位、予想外と謳うように、内外に新しいテイストをふんだんに盛り込みつつ使い勝手のよさや走りっぷりのよさを獲得した一台。どのシーンでも楽しませてくれるキャラクターの持ち主であることは間違いなく、活躍の場はこれまでのプジョー・モデルよりもさらに広がっているに違いない。

    408には写真のGTのほか、PHEV仕様も用意される。別日に試したPHEVは重厚な乗り心地とともにモーターアシストによる力強さが楽しめた。

    プジョー 408 GT

    • ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,700×1,850×1,500mm
    • 車両重量:1,430kg
    • 最低地上高:170mm
    • 最小回転半径:5.6m
    • 駆動方式:前輪駆動
    • トランスミッション:8AT
    • エンジン:1.2ℓ直列3気筒ガソリンターボ
    • 最高出力:96kW130PS)/5,500rpm
    • 最大トルク:230Nm1,750rpm
    • 車両本体価格:¥4,990,000~(税込み)

     

    問い合わせ先

    プジョー

    TEL0120-840-240

    私が書きました!
    ライター&エディター
    桐畑恒治
    1973年生まれ。琵琶湖のほとりで生まれ育ち、学生時代はスキー、スノーボード、サーフィン、釣りなど、ひと通りのアウトドアアクティビティを経験。自動車専門誌の編集記者となって以降はその活動も停滞気味だったが、フリーランス・ライターとなった現在は改めて外遊びを満喫したいと目論む今日この頃。まずは自分自身の相棒(愛車)選びも含めてクルマの魅力を探り、紹介していきたいと思います。

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