「ブッシュクラフト」とは、必要最小限の道具のみで野山に分け入り、できるだけ現地にあるものだけを利用して、自然の中で過ごす野遊びの一種。山岳写真家の荒井裕介さんは、ブッシュクラフトをこよなく愛し、休日のほとんどを野山で過ごしている。
さて、インフラが一時的に崩壊するような災害が起こったとき、荒井さんはどのように身を守るのか?
Q「電気もガスもない状況で暖をとるにはどうする?」
A「自然界にあるものだけで火をおこせる男になれ!」
森に入れば、燃料となる木々は豊富にある。それら自然資源をいかに利用して、火をおこせるようになるかが勝負だ。
自然物のみでの焚き火で重要なのは「火種」の確保。荒井さんが準備したのは、麻ひもとファイヤースターターのみ。ほぐした麻ひもと現地にあったシラカバの皮を組み合わせて、着火剤を作成し、それに火の粉を飛ばせば、あっという間に火がおこせるのだ。
ブッシュクラフト流・焚き火術
STEP1 たきぎを拾う
太いたきぎ用に立ち枯れの木を狙う。立ち枯れしている木なら、斧などなくても簡単に倒すことができる。
焚き付けに使うシラカバの皮を剥ぐ。シラカバの倒木に、ナイフで切れ目を入れると、皮を採取できる。
松ヤニが詰まった「ファットウッド」を狙う。真ん中の色が松ヤニで濃くなっている「ファットウッド」は燃えやすい。
火付きをよくするフェザリング加工。ナイフを使って薪を毛羽立ててあげると、より燃えやすくなる。
STEP2 火をおこそう!
集めた薪は種類別に整理しておく。焚き付け用の小枝や、スギの皮。たきぎは種類別にあらかじめ分ける。
延焼を防ぐために下に木を敷く。ほかに、地面に熱を奪われにくいというメリットもある。
天然素材の着火剤(今回はシラカバの皮とほぐした麻ひも)に火花を飛ばし着火する。
燃え始めは樹皮などから燃やす。着火剤に火が付いたら、細かくしたスギの樹皮などに火を移していく。
クロスした枝で空気の通り道を確保。太めの薪をクロスさせ、その上に薪をのせる。空気の通り道を確保すべし。
ふたをして熱を逃がさない。太い薪を投入したら、シラカバの皮を被せると、熱が逃げずよく燃える。
荒井裕介さん
本業は山岳写真家だが、狩猟免許を所持していて、
イノシシ、クマ、シカを狩るハンターでもある。
ナイフ一本で自然の中で過ごす「ブッシュクラフト」の知識も豊富だ。
◎構成/櫻井 卓 ◎撮影/荒井裕介