BE-PAL本誌で新しく始まった連載「Craft Beer Pal」。略して「ビアパル」では、全国各地で盛り上がる「クラフトビール」ブームを追いかけ、そのクリエイティブなビールの世界を知る旅です。
せっかくだから地元の食材も探って、おいしい料理を作って食べよう! というのも目的のひとつ。
旅をするのは、料理人兼フードコーディネーターの蓮池陽子さん。アウトドア料理も得意とする彼女は、無類のお酒好きでもあります。
第1回目の行き先は、静岡県・修善寺にある「ベアードビール」。“おいしいもの”に対しての鼻がいい蓮池さんが、以前から「行きたい!」と目をつけていたクラフトビールです。
創業者は、アメリカ出身のブライアン・ベアード氏。アメリカでビールの専門学校に通い、小規模醸造のビールについて学びました。2000年に沼津で工場を開き、2014年に修善寺に移転。室内のタップルームのほか、屋外で飲める場所もあり、自然派にとって天国のような場所ではないですか!
12種類の定番ビールのほか、期間限定ビールも含めると、常時20種類近くのオリジナルビールが飲める。
迷ったときには「サンプラーセット」800円がおすすめ。3種類を自由に選んでテイスティングできます。蓮池さんが選んだのは(左から)「ウィートキングウィット」、「わびさび シャンパンペールエール」、「レッドローズ アンバーエール」の3種類。
年間で造られるビールは、なんと40種類以上! その多彩さにも驚きですが、ベアードビールの最大の特徴は、その香りにあります。
「フレーバーの柑橘類などは、すべて静岡県産。できるだけ加工されていないものにこだわり、仕込みの水も源泉から塩素を取り除いたソフトな水だけを使っています。また、煮沸の最後の段階で、麦汁に生ホップを入れています。「ドライ・ホッピング」と呼ばれる製法も取り入れていて、熟成中のビールにも生のホップを投入。この作業がホップの香りを豊かにしてくれます」。
とは、奥様のベアードさゆりさん。
グラスに注がれたビールに顔を近づけると、さわやかなフレーバーの香りがします。その香りに誘われて、ひとくち飲めば、喉を通るときの清涼感とともにホップの香りが口いっぱいに充満! これこそがベアードビールの自慢であり、ほかのクラフトビールとは違うポイント。「ビールは喉越し」という概念が「香りを楽しむ」に変わった瞬間でした!
蓮池さんが沼津港の市場で仕入れた食材「桜エビ」を使って、ベアードビールとのおすすめ料理「桜エビのパエリア」を紹介してくれました。選んだビールは「ライジングサン ペールエール」。爽快な柑橘系のホップが甘味のある桜エビを引き立ててくれます。
レシピは本誌と連動でスタートした「Craft Beer Pal」のFacebookで公開中です! ぜひ、そちらもチェックしてみてください。
文=中山夏美 撮影=猪俣慎吾