11月3日、木星がマイナス2.9等星の明るさに
夕方、東から昇ってくる木星が、11月3日に衝(しょう)を迎えます。衝とは、惑星が地球を挟んで太陽の正反対に来る瞬間のことです。衝を迎える前後の惑星は地球と距離が近く、とても明るく見えます。
11月3日の木星の明るさはマイナス2.9等級です。恒星の中でもっとも明るい星はおおいぬ座のシリウスですが、それが約マイナス1.5等級です。夜中の空ではシリウスを凌ぐダントツの明るさなのです。
夕方に昇って来て、夜明けに沈むので、ひと晩中、観察できます。しかも今年は昨年より天高く昇ります。一番高くなる3日の23時半ごろには70度ほどまで上がります。
見上げるほどの高さで、ずっと見ていると首が痛くなるでしょう。しかし望遠鏡で観察するには最高の条件です。惑星の見え方は空気の透明度や気流に大きく左右されます。地平線から離れているほど影響は小さく、観察しやすくなります。くれぐれも天頂プリズムを忘れずに。4つのガリレオ衛星も見られるでしょう。
西の方角には土星も出ています。衛星の数で激しい争いを繰り広げている木星と土星。それぞれに望遠鏡を向けて、衛星の観察にもトライしてみてください。もっとも、土星の衛星はガリレオ衛星と比べるとずっと小さく、小型望遠鏡で観察している限りは、木星の圧倒的勝利になるでしょう。
今年もキラキラ!冬の星座の季節の到来
この明るい木星は、おひつじ座の足元のあたりにいます。
おひつじ座は黄道十二星座のひとつ。みずがめ座、うお座と、比較的地味な黄道星座が続いてきましたが、おひつじ座はその2つと比べればまだ見つけやすい星座です。
星座絵では頭部のあたりに並んでいるオレンジ色をした2.0等星のハマルと2.6等星のシェラタンが目立ちます。このほかの星はほとんど見えませんが、この2つの星を見つけられれば、おひつじ座を捉えたも同然です。今年は足元に木星を抱えていますから、おひつじ座を見つける絶好のチャンスです。
そして11月になれば、夜ふけの空に冬の星座たちが昇ってきます。
ぎょしゃ座、おうし座、オリオン座、ふたご座、こいぬ座、おおいぬ座……、1等星を有するきらびやかな冬の星座の訪れです。
夜中には、おおいぬ座のシリウスが昇ってきます。木星の圧倒的な明るさが確認できるのではないでしょうか。
木星はしばらく、おひつじ座のあたりにいますが、来年はさらに高く昇ってきます。2024 〜25年にかけてが一番高くなります。木星は約12年かけて太陽を一周し、この高さになるのも12年周期になります。しばらく明るい木星を見上げる季節が続きます。
構成/佐藤恵菜