登り甲斐のある低山…とはこれいかに? いやいや、日本にはそんな山があるんです。低山デビューにもうってつけのおすすめ6山をご紹介。
しっかり登りたい、でも高い山はまだ…という人におすすめの山々
爆裂火口を望む往復14㎞!
北海道弟子屈町
摩周岳(ましゅうだけ)
標高:857m
コースタイム:5時間
アイヌ語で神の山を意味するカムイヌプリとも呼ばれる摩周岳。小規模な成層火山で、摩周湖に聳えている。標高差は311mながら、登山口から山頂までの往復の道のりは約14㎞もあり、とても歩き応え(体力勝負?)のあるコースだ。登山道の始めは走り出したくなるような緩やかな下り道、そして徐々にアップダウンを繰り返していく。山頂からはおよそ1,000年前の噴火で形成されたダイナミックな火口を望むことができる。
終始片側に摩周湖の存在を感じながらの道だが、途中はこんな広々とした草原の風景もある。
コース
登山口は摩周第1展望台にある。そこから風衝草原、摩周・西岳分岐を経て摩周岳山頂の往復コース。西岳(799.5m)登頂も加えるならさらに2時間、約2.6㎞をプラスして考えよう。
龍馬も登った天の逆鉾が立つ
宮崎県高原町
鹿児島県霧島市
高千穂峰(たかちほのみね)
標高:1,574m
コースタイム:4時間
霧島連山の主峰、宮崎県と鹿児島県の境界にあり複数の登山ルートがある。樹林帯を抜けると火山礫が堆積した道になり、火山群らしい荒涼かつ雄大な景色が魅力。天孫降臨の伝説があり、山頂には「天の逆鉾」が立つ。かつて坂本龍馬も妻おりょうと登り、山登りの様子を絵入りの手紙を姉の乙女に送っている。
登山口近くの霧島神宮古宮址。かつての霧島神宮の跡地。噴火で焼失し現在の地へ。現在もここで祭事は行なわれる。
コース
有料駐車場(公共交通機関ではアクセス不可)がある高千穂ビジターセンターを起点にする。霧島神宮宮古宮址前を通り、登山口へ。背門丘を経て高千穂峰山頂を目指す。往路は同じ道をいく。
富士を見るならここで!
山梨県大月市
高川山(たかがわやま)
標高:975m
コースタイム:5時間30分
大月市の秀麗富嶽十二景に選ばれ、360度見渡せる山頂からは美しい富士山を拝める。電車でのアクセスが可能で、隣の羽根子山からトラバースして縦走する楽しさもある。
コース
JR中央本線初狩駅より屏風岩を経て羽根子山から高川山へ。下りは高川山から天神峠、JR大月駅に至ると5時間以上になる。ルートは多数あるので、3〜4時間行程にアレンジもできる。
海も森も楽しめる眺望
青森県深浦町
白神岳(しらかみだけ)
標高:1,232m
コースタイム:6〜7時間
白神山地の主峰。ブナやヒバ、ネズコなど東北青森らしい樹林を抜け、稜線に出ると日本海が眼下に広がる。ブナ原生林の眺望はもちろん森と海が共演。海抜0mからもトライ可能だ。
コース
標高200mの駐車場が起点。隣接の休憩所から登山口はすぐ、二股ルートをいく。マテ山を経て十二湖方面との分岐を山頂へ。JR五能線白神岳登山口駅から駐車場までは3㎞、徒歩も可能。
奥多摩の自然を満喫
東京都青梅市
高水三山(たかみずさんざん)
標高:755〜791m
コースタイム:4時間
高水山、岩茸石山、惣岳山の3つの山を総じて高水三山と呼ぶ。沢あり、岩あり、森ありの里山魅力が詰まった小さな縦走コース。駅を起点に歩き始められるところも手軽でいい。
コース
JR青梅線軍畑駅か御嶽駅、どちらも起点にできる。軍畑駅からでは高源寺(徒歩30分)を目指し砂防堰堤近くの登り口から。常福院、高水山、岩茸石山、惣岳山を経てJR御嶽駅に至る。
登った後は温泉へGO
群馬県安中市、長野原町、高崎市、長野県軽井沢町
鼻曲山(はなまがりやま)
標高:1,655m
コースタイム:5時間
鼻のような山容が特徴で大天狗と小天狗ふたつの山頂があり、山頂からは浅間山を望む。登り口はいずれも標高1,000m近く。道中の霧積温泉は森村誠一の小説『人間の証明』の舞台。
コース
登り口は金湯館無料駐車場。駐車場のホイホイ坂より登り始める。約30分で金湯館、登山道をそのまま進み、十六曲峠との分岐を鼻曲峠方面へ。鼻曲峠から山頂(大天狗、小天狗)までは約10分。
※構成・写真/須藤ナオミ
(BE-PAL 2023年11月号より)