テント内やサイトを照らし出すランタン、外メシ作りの熱源となるストーブは、どちらもフィールドワークの必需品。その進化の過程を知ると便利な最新道具だけでなく、ちょっと手間はかかるけど味わい深い昔ながらの道具も使ってみたくなるはずだ。
ランタンLanternの歴史とは
液体燃料からガス、充電式へ。進化著しいフィールド照明
アウトドアという言葉さえも耳慣れなかった1980年代は、まさしく日本のアウトドア黎明期。当時、キャンプといえば登山に伴うテント泊のことで、夜間の照明として使っていたのはヘッデン(ヘッドランプ)とキャンドルが主流だった。
そのころ欧米では、すでにマントルを発光体とした液体燃料の加圧式ランタンが当たり前に使われていた。それどころかスウェーデンのプリムス社では、’30年代からすでにLPG(液化石油ガス)製品の開発を始めていたのである。
欧米に後れをとっていた日本で、おそらく最初に注目されたランタンは、コールマンの赤ランタンだろう。それは、ホワイトガソリンを燃料とし、点灯すると直視できないほどの明るさを発揮。ヘッドランプのような局所照明ではなく、サイト全体を照らし出してくれた。
やがて’90年代になると、より手軽に使えるOD缶やCB缶(液化ガス)を燃料として使うランタンがキャンプ照明の主役にのし上がってくる。
そして2008年、米国のブラックダイヤモンドが小型のLEDランタンを発売したのを機に、LEDを光源としたランタンが続々と開発されるようになった。それも乾電池電源から、充電式へと、あれよあれよという間の音速進化を遂げた。
1893
フュアハンド創設
1901
コールマン創設
1906
ストーンブリッジ社が折りたたみ式キャンドルランタンを開発
米国のチャールズ・H・ストーンブリッジが開発した折りたたみ式でボディーは真鍮製。
1910
ペトロマックス社が世界初の加圧式灯油ランタンを開発
1914
コールマン初のアウトドア用ランタンが誕生
屋外で吊り下げて使えるハンドルが付いた、アウトドア仕様の「アークランタン」。
1933
フュアハンドがベイビースペシャルシリーズを発売
1880年代に開発された、嵐でも消えない灯油ランタンを小型化したシリーズが登場した。
1973
キャンドルランタンでお馴染みのUCO創設
ガラス製ホヤをスライドさせると、コンパクトになるキャンドルランタンの先駆モデル。
1989
フュアハンドのロングセラー「ベイビースペシャル 276」生産開始
現在、フュアハンドブランド唯一のオイルランタン。いまなおドイツ国内で作られている。
1994
ヘッド同士を合体して持ち運べる画期的ランタン&ストーブ「MLB」誕生(プリムス)
ランタンとストーブをコンパクトに携行でき、バックパッカーや2輪ツーリストに人気を博したモデル。
1996
世界初の自動点火装置付きガソリンランタン発売開始(コールマン)
大光量のチューブ状マントルが採用され、明るさ、使い勝手ともにバツグンのモデル。
2001
SOTOが、マントルではなくプラチナ発光体を使ったランタンを開発
世界初のマントルのない「G-メタルランプ」。リフレクター付きで風に強くコンパクト。
2008
ブラックダイヤモンドがLEDランタンの先駆けとなるモデルを発売
宇宙船をイメージしてデザインされた「アポロ」。3本の脚は折りたたみ式でコンパクト。
2010
LEDランタンがキャンプ照明の主役に!
このころから、ガソリンやガス燃料からLEDランタンが続々と開発されるようになる。
2020
レトロなデザインのランタンが人気を博す
「レイルロードランタン」をはじめ、ベアボーンズがノスタルジー満点なランタンを連発。
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