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フュアハンドのランタンの歴史と魅力
嵐の中でも消えない「ストームランタン」
ストーム(またはハリケーン)ランタンという名でお馴染みの「フュアハンド」。タンク内に組み込まれた灯芯に灯油を染み込ませて灯りを得る、昔ながらの照明器具のブランド。その始まりは1870年代にまで遡る。
ドイツ東端、ザクセン州で配管工場を運営していたヘルマン・ニャーは、近くの鉱石山脈で働く人のためにランタンを作りはじめ、’80年代には独自のランタンを開発。それは、“嵐の中でも消えない”ことから、「ストームランタン」と名付けられた。そして、’93年にその生産工場設立と同時に会社を創設した。
じつは、このストームランタンの元祖については諸説あり、誕生から100年以上経ったいまとなっては、フュアハンドが元祖とは断言できない。それでも、現代のキャンパーがフュアハンドをストームランタンの代名詞のように呼ぶのはなぜか? それは、ほかのブランドにはない、クオリティーの高さにある。
ほかのブランドにはないクオリティーの高さ
創設者のニャーは開発後も、ワイヤーアームを付けてホヤの上げ下げが楽にできるようにするなど、試行錯誤を重ねて改良。
0.3㎜の薄板を加工する高い技術力が生む耐久性に加え、1933年からは、ドイツが世界に誇る耐熱ガラスメーカーであるショット社のガラスをホヤに採用。同時に、燃焼後の温まった空気を燃焼部へ供給するシステムによる、ちらつきの少ない安定した燃焼を実現した独自構造に関する特許を取得。その後誕生したのが、ストームランタンの小型バージョンであるベイビーシリーズだ。また’89年以降、「ベイビースペシャル 276」は唯一のオイルランタンとして作り継がれている。
そしてもうひとつ、特筆すべき魅力がある。それが、2014年秋から同じドイツのペトロマックス社の傘下となった現在も、〝Made in Germany〟を貫いていること。多くのブランドが生産拠点を第三国へ移す中、頑なに自国生産を続ける頑固っぷりが、道具好きのハートをわしづかみにしているのである。
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伝説のストームランタン! フュアハンドの逸品は頑固な作りで頼もしいのだ
フュアハンドのランタンといえば「ベイビースペシャル 276」
フュアハンド
ベイビースペシャル 276 ジンク
いまやストームランタンの代名詞的存在となったモデル。ホヤ上部のインナーチムニーからチャンバーと呼ばれる外枠内を通って暖まった空気が下部の燃料に送り込まれる仕組みだ。わずかな燃料で20時間以上も燃焼する便利さと、Made in Germanyの品質はいまも変わらない。
●燃料:灯油、パラフィンオイル
●サイズ:幅155×高さ265㎜
●タンク容量:340ℓ
●燃焼時間:約20時間以上
●重量:480g
天頂部の笠には、いまも「ORIGINAL NIER FEUERHAND」というエンボスが施されている。
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フュアハンド「ベイビースペシャル 276」の魅力
デザインがお洒落
「ベイビースペシャル276」はデザイン性が良く、またアンティークな見た目から、サイトに一つあるだけでも雰囲気を良くしてくれる。また、キャンプに行かない時でも、家でインテリアとして装飾でき、読書灯などに活用できるのも嬉しいポイント。
取り扱いが簡単
オイルランタン自体の構成部品がそこまで多くなく、理解しやすい構造である事から、取り扱いのハードルは高くない。また、灯芯の交換やメンテナンスなどを考えても、難しい作業ではないため、初心者でも安心して使用する事ができる。
燃費が良い
「ベイビースペシャル276」のタンク容量は340ml。光量の調整具合にもよるが、約20時間の燃焼に値する。1泊のキャンプにおいては、十分すぎるスペックだろう。また、燃料は灯油やパラフィンオイルを使用するが、特に灯油においては、かなりのランニングコスト低減に繋がる。
カラーバリエーションが豊富
とにかくカラーバリエーションが豊富で、自分好みのカラーやサイトの雰囲気に合わせたカラーをチョイスする事ができる。写真のジンク(無塗装)は、どんな状況にもマッチしてくれる。
コストパフォーマンスが良い
デザイン性、機能性、操作性を兼ね備えていながら、コストパフォーマンスが良い。初期投資が抑えられる点も、オイルランタン導入への後押しになる。
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キャンプの夜の雰囲気づくりはフュアハンド「ベイビースペシャル276」にお任せ!
フュアハンド「ベイビースペシャル 276」の使い方
フュアハンド「ベイビースペシャル 276」は使い方もシンプルだ。
点火の手順
【1】給油
給油は、安全のため、満タンより少し少なめでストップ。10分程度、オイルを芯に浸してから点火する。浸すのを忘れると、芯が焦げてしまうので注意。
【2】 点火
点火の準備には、ワイヤーレバーを下げ、ガラスのホヤ部分を上げる。灯油の場合、着火のときに、少し煤が出る。火がついたら、ホヤを元に戻そう。
【3】芯の長さを調節
つまみをひねって、芯の長さを調節することができる。公式サイトでは、炎のサイズは1.5?2㎝を推奨。芯を長く出すと、その分、炎が大きくなる。
芯の交換方法
ガラスを掃除したり、芯の交換をしたりする場合は、まず煙突状部分を指で引き上げ、ガラス部分を横に倒す。芯の長さを調節するつまみをスライドさせると、芯の部分が取り外せる。
芯の交換後は、使用前に10分程度オイルを染み込ませる必要がある。
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100年以上愛されている最強ランタン!フュアーハンドランタン
燃料のおすすめはパラフィンオイル
オイルランタンとして灯油の使用が可能なフュアーハンドランタンだが、おすすめはパラフィンオイル。灯油はすすが出てるので使用後の清掃がちょっと面倒…という人ほど、すすやにおいがほとんど出ないパラフィンオイルが便利だ。
フュアーハンドランタンの国内輸入代理店、スター商事で販売されている「スターパラフィンオイル 1L」が安心。フュアーハンドランタンを使用する際は、あわせて用意しておこう。
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使用上の注意点
個体にもよるが、燃料の液漏れが起きやすい。タンクのキャップには元々紙製のパッキンが付属しているが、ランタンを傾けたりするとキャップとタンクの接合部分から液漏れが発生する場合がある。
持ち運びの際は燃料を空にする、傾けない様にケースやボックスに入れるなどの対策が必要だ。
また、燃料に灯油などを使用するため、テント内などの閉鎖空間で使用すると、一酸化炭素中毒の恐れがある。使用場所には十分注意を払うと共に、必要に応じて換気対策などを心掛けよう。
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芯の形を変えて、こだわりの炎をつくりだす!
「明かりを灯す」とこと。それは、リモコンひとつで明るくなる時代にあって、キャンパーだけが知る、贅沢な行為なのかもしれない。
なんでも愛好家は、「ウイック」(芯)を特定の形にカットして、“こだわりの炎”をつくりだす、というではないか。聞けば、両端の角を少しハサミで切って、先端を「台形」にしているとのこと。
ここでは芯の形を「通常」と「台形」、さらに「三角」にして火を灯し、その炎の形について検証してみたい。
まずはノーマルの芯で炎を愛でる
まずは何も手を加えず着火してみる。丸みを帯びた形の炎がゆらめいた。なんとも可愛らしいといった炎の表情で、これはこれで風情がある。“ぽっと明かりが灯る”、まさにそんなイメージの炎になった。
芯の形を台形にしてみた
続いて、台形にカットして着火。台形もネット上では支持者が多く、さすがは人気の形だ。美しい! “優しげな二等辺三角形”と表現すればいいのか、その存在感がとても心地よい。「誰もが心に思い描く炎」とは、こういった形なのかもしれない。
芯の形を三角形にしてみた
そして最後は、ウィックを三角形にカット。炎の形は台形に似ているが、その趣はまったく異なり、丸みを帯びず鋭く長い炎がつくりだされた。“かっこいい”というイメージだが、火が長いので、他に比べて明かりの調節がややしづらいのが難点か。
こんなふうにして、自分だけの炎を求めるのは、楽しい。いままで火の形など気にしたことがなかったが、それぞれに違うインスピレーションを与えてくれる。そして『フュアハンドランタン』で「明かりをつける」ではなく、「明かりをつくる」ことの楽しみ。これこそ現代のキャンパーにとって、特に大きな魅力。
フィールドで、ベランダで、部屋にいい時間をもたらす不滅不朽の名品道具『フュアハンドランタン』。深い愛着を感じさせてくれる、頼もしくてうれしい相棒だ。
▼参考記事
ドイツの名品『フュアハンドランタン』に火をつけてみました!
ランタン以外にも!フュアハンドのおすすめギア
1880年代に開発されたストームランタンや、現行の「ベイビースペシャル 276」など、ランタンが有名なフュアハンドだが、ランタン以外にもギアを手がけている。
ロケットストーブ並みの燃焼「パイロン」
組み立てサイズはφ36.5㎝×H74cm
本体の組み立ては、まずボトムにプレートを用いて脚を取り付ける。13mmのナットは脚固定用プレートに接着されているので、ここでは指で軽くボルトを締めるだけでいい。
灰受けをボトムにはめ込む。カチッとはめるのでずれない。
本体下部の切れ込みとボルトを合わせて押し込む。付属の六角レンチで増し締めすれば、組み立ては完了だ。組み立てサイズは、φ36.5㎝(三脚幅は44.5cm)×H74cm、重量10.5kg。なかなかのボリュームになる。
二重構造で勢いのいい炎があがる
ロストル(鉄の格子)に着火剤を載せて、薪を数本入れて着火する。ロストルは隙間が多いので、ペトロマックスの着火剤「ファイヤーキット」など幅広のものがいい。
ものの数分でこの通り。今回は薪を4本だけ入れたのだが、何もしなくても勢いのある炎があがる。薪をもっと多く投入すれば、火の勢いはアップ!
勢いのいい炎となる理由は、二重構造になっているため。空気の層が断熱材の役割を持ち、また、煙突効果により強力な上昇気流が発生する。上部の穴からも熱い空気が噴き出し、ただの筒よりも高く炎が上がるのだ。
4本の薪が燃えたあとの灰は驚くほど少ない。
▼参考記事
幻?発売後、即ソールドアウトの焚き火台「パイロン」に火入れしてみた。
二次燃焼する特大焚き火台「タイロピット」
フュアハンド
タイロピット
常設での使用を目的に作られた大型の焚き火台。持ち運びにはやや不便かもしれないが、その分非常に強力な焚き火を満喫できるのが魅力。
●サイズ(約):62.3×34.9cm、
●外径(約):57cm
●内径(約):50.6cm
●重量(約):11.2kg
燃焼能力が高く炎の勢いがスゴい!
ポイントは、外側・内側に空けられた無数の穴。本体はステンレススチールの二重構造になっており、外側下の穴から空気が入って、本体の中を通り、内側上の穴へ流れる仕組み。
これによって燃え上がった炎を上でさらに燃焼する二次燃焼が発生! 煙が発生しにくく、薪といった燃料を最後まで燃やしきってくれる。ゆえに、灰などが出にくいことからゴミを減らせるメリットもある。
また、中央に大きい穴が開いた隆起部があり、ここからも空気が入って上昇気流を起こしてくれる。息やファイヤーブラスターなどで空気を入れなくても、自然に空気が入るので楽に炎が上がるのもポイントだ。
本体の内径は約50.6cmで、一般的な薪を横に入れても問題なく収まる。また、中央の隆起部を支えに支えば、山型に薪を組めやすくなるため、キレイな炎の形にすることも可能! 小さい焚き火台ではできなかった美しい炎が作れるので、映える写真を撮ることもできそうだ。