これまで以上にお客様と価値観を共有し、ともに成長していきたい
――いきなりですが、ズバリ2024年のモンベルの目標をキャッチフレーズにして教えてください。
今年も僕たちは新しい提案をどんどんしていきたいと思っています。とはいえ、それらはこれまでのモンベルの方向性と何ら変わるものではありません。ですからあえてひと言でいうなら、「2024年“も”今までどおりがんばる」、というのが目標となりますね。
フィールドの楽しさを伝えていきたい
今までどおりのモンベルとは、お客様の夢をかなえるブランドであること。僕たちの仕事は商品を作って売ることですが、店舗で接客していると、お客様の夢をかなえる仕事なのだと実感します。これから登山を始めるという方、富士山に挑戦したいという方……。それぞれの夢をかなえるためのサポートをモンベルの商品でする。この柱がブレることはありません。同時に、自分たちが欲しい商品を開発して提案すること、新しいきっかけを提案することも大事にしてきました。そうやってお客様と関係性を築きながら、お客様と価値観を共有し、ともに成長してゆきたいと考えています。さらにモンベルは、フィールドの楽しさを伝えることにも力を入れてきました。
topic.1 今年は「しそう 氷ノ山」(兵庫県)で初開催
シー トゥー サミット
――フィールドの楽しさを伝えてきたといえば、シー トゥー サミットがありますね。
海(カヌー)、里(自転車)、山(登山)を結ぶシー トゥー サミットは自然の循環に想いを巡らせる環境スポーツイベントとして人気となっており、多くの自治体から「開催したい」とオファーをいただいています。今年は、「しそう 氷ノ山」大会(兵庫県)が新たに開催されます。ただ、いかんせん開催エリアにとっては年に1度のことです。できればフィールドを通年楽しんでいただきたい。そこで、シー トゥー サミットのコンセプトをもとに、365日いつでも楽しめるようにと始まったのがジャパンエコトラックです。ジャパンエコトラックの登録エリアでは、いつでも自然やアクティビティーを体験できるよう、ルートの整備や、場所によりカヌー、自転車、ウェアなどのレンタルができるような受け入れ態勢を整えています。2023年12月に登録された神奈川エリアをはじめ、2024年は現在4エリアが新規登録を予定しており、全国的に広がっています。このジャパンエコトラックで整備されたサポート体制を利用してシー トゥー サミットが実施されていくのが、理想的な姿なのではないかと考えています。
topic.2 全国で30か所以上のエリアが登録
ジャパンエコトラック
新登録エリア「神奈川」
無料で便利な公式アプリ
キャンプ場をベースに登山や自転車、カヌーも
――さらに、鳥取県・大山にキャンプ場をオープンするそうですね。
モンベルが手がけるキャンプ場としては、愛媛の石鎚、福岡の五ケ山に続き、正式名称は
「モンベル大山キャンプサイト」。モンベル大山店や大山参道市場の近くに今年4月にオープン予定です。大山夏山登山口も近くにあり、さまざまなアクティビティーのベースキャンプとして利用していただけると思います。大山キャンプサイトでのキャンプをきっかけに、登山やサイクリング、カヌーといった遊びを始めていただけたら最高ですね。
――モンベル大山店、山の駅「大山参道市場」、皆生・大山シー トゥー サミット、ジャパンエコトラック鳥取エリア。そして4月にオープンする大山キャンプサイト。大山はモンベルの聖地ですね。
大山はシー トゥー サミットの第1回開催地であり、ジャパンエコトラックでも第1号ルートが設定されたエリアです。このように大山がモンベルの象徴的エリアになったのは、フィールドの楽しさを伝えたいというモンベルの想いと地元の皆さんがアウトドアで地域を活性化したいという想いがひとつになったからなんです。
topic.3 モンベルが手がけるキャンプ場爆誕!
モンベルの象徴的エリア「大山」登山口に隣接! モンベル大山店
山の駅「大山参道市場」
シー トゥー サミット第1回の開催地
鳥取県大山は、辰野勇会長がかつてヨーロッパアルプスの岩壁を登るためにトレーニングした思い出の山。その縁とアウトドアで地域活性化をはかる大山町の熱意で、ショップ出店やイベントが実現。大山に行けばモンベルがわかる!?
大山キャンプサイトが4月オープン
雨具のメンテを常識にしていく
――新商品の開発、新しいきっかけの提案という面では、“推し”は何になりますか?
ひとつはファンブローベスト。背面にファンを取り付けることができ、夏場、汗をかいたときに、風を送って汗の気化を促進して、涼しく快適にするというベストです。酷暑の中でもアウトドアアクティビティーを楽しみたいという想いで開発しました。ポイントはファンを取り付ける2か所の穴の位置。バックパックを背負っていても風が抜けていくようにショルダーハーネスに干渉せず、かつ左右非対称に配置するという工夫をしました。もうひとつの推しはスーパードライテック。モンベルが独自に開発したドライテックをさらにスペックアップした防水透湿性素材です。
――モンベルは創業当初のハイパロンレインウェアから雨具に力を入れてきた歴史があります。スーパードライテックのこだわりはどこにあるのですか?
世界的に見て、雨具に対する要求がもっとも厳しいのは日本です。だからこそ、モンベルは日本のメーカーとして雨を楽しめる服を作りたいんです。スーパードライテックでは、これまでにない高い透湿性を追求しました。一定レベル以上の耐水圧が担保できていれば、快適さをもたらす透湿性が重要だからです。ただ、ここで課題となるのが撥水性です。とくに環境に配慮した非フッ素タイプの撥水剤は汚れによって撥水性能が落ちやすい。すると、表面に水の膜ができて透湿性能が損なわれてしまいます。それを防ぐためには、洗濯などによるお手入れと撥水剤によるメンテナンスが必要です。アウトドアウェアにはフッ素を使わないという価値観をていねいに伝えるとともに、雨具の定期的なメンテナンスを常識にしていく。2024年は、これまで以上にお客様と価値観を共有し、ともに成長していきたいと思います。
topic.4 2024年話題になりそうなものは?
注目の新製品
ファンブローベスト
¥8,690(ベストのみ)
スーパードライテックレインジャケット
¥22,550
「モンベルはっ水コース」登場
お客様の夢をかなえます!
※構成/鍋田吉郎 撮影/奥田高文
(BE-PAL 2024年2月号より)