1990年代からのミニバンブームを切り拓いたホンダ・オデッセイは、当時のアウトドア人気ともリンクする。その後も「走れるミニバン」として独自の立場を築いてきたが、近年は正直いって存在感が薄かった……。あげくの果てに、2021年末には製造を担っていたホンダの狭山工場の閉鎖を受けて生産中止の憂き目に。
そんななか、中国で生産されているオデッセイを輸入する形で2023年12月に復活。懐かしくも新しいオデッセイの現在地を解説する。
全車7人乗りになって2列目が快適に!サイズは?
新型オデッセイはデザインを刷新。フロンマスクは日本仕様独自のデザインで、ブラックアウトされたグリルなどで精悍な印象に。このデザイン変更で従来型よりも鼻先が長くなり、全長は4,860㎜となったが、全高は1695㎜と相変わらずミニバンにしては低め。どこか初代をほうふつさせる、スタイリッシュなプロポーションだ。
インテリアでは2列目のベンチシートの設定がなくなり、全車7人乗りに。その2列目は快適性が向上している。背もたれのリクライニングとひざ下を支えるオットマンが電動で調整できるようになり、「アブソルートEX」「アブソルートEXブラックエディション」では本革シートが標準となる。
高級感はアウトドアと直結しないが、そもそも積むことを重視するならホンダにはステップワゴンがあり、オデッセイは家族の普段使いが多いユーザー向け。上質さが増したぶん、家族の理解も得やすいのではないだろうか。
ちなみに「e:HEV ABSOLUTE」には、液体汚れや油汚れがサッと拭きとれるファブリック素材「FABTECT」を採用。あくまでもアウトドアでの利便性を重視するなら、こんな選択肢もある。
低床設計ならではの広い荷室を使いこなそう
とはいえ、新型オデッセイはホンダ独自の低床設計。床下に3列目を収納すれば、荷室は十分広い。開口部の地上高が低く、縦・横ともに1mを超える寸法で、家族4人でのキャンプにも対応する積載能力だ。
そして、新しいクルマであることを実感できる大切な要素が、安全性能の向上。「ホンダセンシング」がワイドビューカメラとソナーセンサーによる最新世代へとアップデートし、夜間の歩行者や右折時対向車検知にも対応しているのだ。普段使いはもちろん、走り慣れない道で遊び疲れたキャンプ帰りのドライバーをサポートしてくれる、心強い機能だ。
パワートレーンは2ℓエンジン+モーターのe:HEVのみで、駆動方式は2WD(前輪駆動)のみ。価格は従来型よりも上がっているが、ホンダらしい「スタイルのよさ」「運転の楽しさ」「家族で遊びに行ける実用性」をバランスよく兼ね備えた新型オデッセイは、長く愛用できること確実。自分のスタイルに合ったクルマ選びこそが、コスパを下げることにつながるのだ。
※写真提供/本田技研
【HONDA ODYSSEY】
- 全長×全幅×全高:4,860×1,820×1,695㎜
- 最低地上高:145㎜
- 最小回転半径:5.4m
- エンジン最高出力:107kW(145PS)/6,200rpm
- モーター最高出力:135kW(184PS)/5,000~6,000rpm
- エンジン最大トルク:175kW/3,500rpm
- モーター最大トルク:315kW(184PS)/0~2,000rpm
- 車両本体価格:¥4,800,400~5,164,500
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