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川を渡るか遠回りするか…最後の道のり、最後の決断
実は、ハロルド・アーキー・キャンプエリアから2マイル程度で集落に入ります。集落に入った先には渡渉が、またまたあるのです。遠回りは明らかに遠い。まずは川がどんな状況か確認します。
こんなでかい川、通れるかーいって思わず言ってしまうほどの川幅と深さ。通れるかな?とは全く思わなかったので潔く遠回りします。はぁ…。期待させやがってと怒り心頭です。約9kmほどの遠回り。しかし、今日キャンプ場に泊まれば明日でトレイルも終わりかと思うと多少は怒りも沈められます。
3つほど山を超えると、最後のキャンプサイト、ウィンザーロックス・テントサイトです。
WELCOME TO CONNECTICUT!
1つ目の長い山を過ぎると集落に入りました。集落にある森に入るとすぐに、マサチューセッツ州とコネチカット州の州境が見えてきました。なんの変哲もない普通の裏山です。マサチューセッツ州のホワイトブレイズが終わり、コネチカット州は水色に変わりました。
見慣れたアパラチアン・トレイルと同じホワイトブレイズのままが良かったな…。と残念に思いつつもコネチカット州へ。そして最後の3つ目の山に入る時、突然辺りは暗くなり、雨が降り出したのでした。予報では曇り。雨の表示はありませんでした。
傘を差し、下を向きながら歩いているとようやくテントサイトのマークが見えてきたのでした。
トレイルから少し下ると少し広めな広場があり、そこがウィンザーロックス・テントサイトでした。
すぐにテントを立て、置いてあると水を補給させてもらいました。コネチカット州に入ると、特に水のあるエリアが少なく、こうしてボランティアの方が水を入れて置いてくれるのです。
ありがたく必要なだけ水をもらい、テントを張り、雨をしのいでいました。しばらくするとテントの外で足音が聞こえ、誰かが話しかけてきます。しばらく話していると、笑い声が聞こえ、フライとインナーテントの間から手が見えました。なんと、声の主はポートレイトだったのです。
僕がポートレイトの家に忘れてきた充電ケーブルをわざわざ届けに来てくれたのでした。トレイル最後の日にこうしてまた再会できるとは思ってもみませんでした。
「体調を崩してもこうしてトレイルを半分まで歩ききるなんてすごいよ、マサ」ポートレイトは何度もそう言ってくれたのでした。「また、来年会おう!」握手をして、ポートレイトを見送ると、誰もいないキャンプ場で最後の夜を過ごしたのでした。