そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。
第32座は、なんと原宿の山です。
第32座目「源氏山」
今回は、JR原宿駅竹下口登山口からのスタートになりました。もちろん、あの竹下通りをそのまま進めば近いのですが、地図を見ると気になる場所がありました。やはり今回もちょっとだけ寄り道をします。
ちょっとだけ原宿の歴史
原宿は、江戸時代以前は鎌倉街道の宿場町で、江戸時代に入ると甲州街道の南にある原宿は、江戸の防衛のために伊賀衆の組屋敷が置かれていたそうです。古くから要所であったのかもしれませんね。
今回地図で気になったのが東郷神社でした。原宿の駅の直ぐ近くにこんなに大きな神社があることすら知らなかったからです。
駅を出て、原宿中学校方向に進むと、東郷神社の北参道の看板が目に入ってきました。しかし、駐車場の機械が設置してあったので、一旦戻りグーグルマップで確認します。どうやらここでいいようです。よく見ると狭いですが歩道のような道になっていました。
坂を下っていくと、左手に神社のような大きな敷地が見えてきたのでした。
どこかで聞いた名前だなと思っていたのですが、東郷神社はあの元帥海軍大将・東郷平八郎命をおまつりする神社です。東郷平八郎命の、至誠(まごころ)は神に通じると、その一生を貫かれた御徳を後世に広く一般に知ってもらうため、神社におまつりしてほしいと国民からの要望と浄財によって、創建された神社なんだそうですよ。
本当に山はあるのでしょうか…
まさか竹下通りから一本道を入ると、原宿にこんなにゆったりとして、木々に囲まれた敷地があるとは思ってもいませんでした。東郷倉、海軍特年兵之碑をこえると、大きくて立派な本殿が見えます。ここから神池方向に歩き、神社を出て、明治通りに出ます。竹下通りを原宿駅方向に歩いて、右手にセブンイレブンが見える道を左折します。通りに入ると、あの竹下通りの人混みが嘘のようです。坂になっていて、MUSTARD SEED クリスチャン教会 東京を左折し、そのまま進んでいきます。突き当りの右側にお墓が僅かに見えます。ここが今回の目的地なのです。
飯尾家のお墓
実はこの飯尾家のお墓に源氏山のキーワードがあります。柵に覆われて現在立ち入ることの出来ない飯尾家のお墓ですが、奥の方に看板が設置してあります。この看板に、源氏山について書かれているのです。看板の書き出しにはこう記されています。「この付近一帯の丘陵地帯は古来より源氏山と称せり。」と。
調べてみると、移住してきた浜松曳馬城最後の城主である飯尾豊前守正純(連龍)の次男の飯尾弥太夫(正宅)がこの地に移り住み、この地を飯尾氏が源氏であることから源氏山と名付けて、江戸幕府三代将軍の徳川家光に申し述べたそうです。だから源氏山だったのですね。
1960年以降、東京のファッションシーンの中心にあり、Kawaiiを世界に戦略的に発信し、外国人も多く訪れる町原宿。そんな一角に誰にも知られずにひっそりとある山。
源氏山と呼ばれた頃の姿、今は全く想像できません。
地名は、その土地の歴史を知るキーワードなのかもしれませんね。
次回は「渋谷区の千駄ヶ谷にある千駄ヶ谷富士」を予定しています。
なお、今回紹介したルートを登った様子は、動画でご覧いただけます。