目指せ、ゴミ0生活!お笑い清掃団が行く
清掃団・団長
マシンガンズ・滝沢秀一さん
芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。著書に『ゴミ清掃員の日常』など多数。
清掃団・焚き火担当
ポメラン・手塚ジャスティスさん
お笑いコンビ「ポメラン」のひとり。
焚き火に目覚め、薪割り勉強中。特技はアゴで板を割る。アゴに紙コップを120個つける。アゴでフルーツを搾ってジュースを作る。
エネルギーとしての「間伐材」の利用
地球温暖化の原因のひとつとされる二酸化炭素(CO2)。日本をはじめ世界120以上の国と地域がCO2削減のための『2050年カーボンニュートラル』の実現を目指し動きだしている。
カーボンニュートラルとは、薪などの植物由来の燃料を燃やすとCO2が排出されるが、植物が生長する過程で同じ量のCO2を吸収するので中立となり、地球温暖化に影響を与えないという考え方。一方で石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を使うとCO2が増加。1世帯が1年間化石燃料を使うと、CO2の吸収に40年生のスギ510本が必要になるそうだ(林野庁調べ)。
そこで推奨されているのが、エネルギーとしての「間伐材」の利用だ。間伐材は森林成長の過程で密集化する立木を間引く間伐で出た木材のこと。間伐した森の木々は太陽を浴びて生長し、CO2を吸収。廃棄ゴミとなった間伐材を薪ストーブやキャンプの焚き火に使うことでCO2削減に貢献できるのだ。
ならば、と清掃団焚き火担当の手塚ジャスティスは、間伐材や生ごみを利用したサステイナブルな焚き火に挑戦した。
「廃棄対象の間伐材は自治体によって無料で手に入ります。各地域の役場や河川組合のホームページで情報を発信しているので、チェックしてみてくださいね~」(手塚ジャスティス)
1 間伐材を使用する
間伐で多量に発生するのがスギ材。スギは燃え尽きるのが早いが、広葉樹と併用したり薪の組み方(④参照)を工夫すれば長持ちする。
建築材料にならない低質の間伐材を薪として積極的に使えば森の環境改善につながる。
荒れた森を間伐し整地するイベントが全国で開催。伐採した木は薪として持ち帰れる。
森林の循環。間伐し森林環境を改善→間伐材を薪として利用→間伐した場所に植林し育て、生長した木々はCO2を吸収し温暖化防止に。
2 着火剤に野菜クズを使う
普段捨てている果物の皮や野菜の皮で、油分を多く含んだものは捨てずに乾燥させて保管。焚き火の焚き付けとして役に立つ。
ミカンやレモンなどの柑橘類の皮は、焚き火マニアに人気の着火剤。消えそうな焚き火に放り込むと火力が一気にアップする。他アボカドの皮も火力十分。
3 効率良く燃やす
着火時に火力が弱いと薪に火がつきづらく、薪が炭化してしまうケースも。薪を効率よく燃やすこともエコな焚き火の重要課題。
効率良く着火できる天然の着火剤。タブノキ、竹、マツボックリ、ススキ、スギ皮、麻紐、スギの穂。
枯れ残ったマツの芯材「ファットウッド」は一瞬で火がつき、長く燃え続けるのが特徴。
竹は油分が多く着火や火力アップに適した材料。とくに雨などで湿った薪を燃やすときに効果絶大。
焚き火は事前の準備が大切!
焚き火台の上にスギの穂→竹→間伐材の薪の順番で乗せ、スギの穂に火をつければマッチ一本で点火。薪は針葉樹と広葉樹を併用。
4 薪を長持ちさせる
薪を長持ちさせるには薪の組み方が重要。日本にも古くから囲炉裏、かがり火などで使われる省エネの組み方があるので参考にしたい。
「傘型」「開き型」などと呼ばれている組み方。火の高さを抑えることが
できて、少ない薪で火を長時間維持するのに向くエコな焚き火方法だ。
5 湿った薪は乾かしながら使う
突然の雨などで湿った薪は、表面は湿っていても木の内側が乾いているケースが多い。まずは濡れた薪の樹皮をはいで小割りにする。
湿った薪をそのまま火にくべると大量の煙が出て燃えない。太陽の下で乾かすか火の周囲に置いて乾かしてから燃やす。
6 環境に配慮する
焚き火で余った薪は必ず持ち帰る。侵入性の昆虫や病気などに侵された薪が1本でも放置されれば感染し森全体が危険にさらされることも。
灰は持ち帰りましょう
焚き火は真っ白な灰になるまで燃やし尽くすのが基本。残った灰や炭はキャンプ場指定場所に捨てるか、火消し壺に入れて持ち帰り処理する。
焚き火に近づけたら危険
ガスボンベなどの火気厳禁の容器を絶対に焚き火に近づけたり燃やしたりしてはいけない。
焚き火は乾燥させた天然木を使う。建築用の建材は燃やすと有害な煙が出るので避けたい。
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩 イラスト/かがわの水割(清掃団団員)
(BE-PAL 2024年3月号より)