キナウル・スピティの旅8
カザの街から車で1時間ほど南東に進み、街道から外れて少し北に行くと、ダンカルという村があります。17世紀頃までは、この一帯にスピティ内の政治的な機能が集中していたと言われています。
この村を囲む岩尾根の上には、12世紀頃に創建されたと伝えられる僧院、ダンカル・ゴンパがあります。「どうしてそんなところに?!」と思わず聴きたくなるような険しい場所に屹立するゴンパの姿は、本当に壮観です。僧院の内部は現在撮影が禁止されていますが、昔ながらのバターランプの灯りの中で、古い壁画や仏像を見学することができます。
ダンカルには、村から歩いて3、40分ほど登った高台に、ダンカル・ツォと呼ばれる聖なる湖があります。標高が高いので歩いて登るのは少し大変ですが、澄み切った青空の下で静かに水を湛える湖は、一見の価値ありです。
チベット文化圏には、中にお経の入った筒を回すとお経を唱えたことになるというマニ車というものがあります。ダンカルの村で見かけたのは、流れ落ちてくる水の力で回り続ける、水力マニ車。これでもご利益があるそうです(笑)。
ダンカルからさらに少し北に入ると、ラルンという村があります。人口は4、500人ほど。モザイクのような段々畑を持つ、美しい村です。