美味しいビール造りに美味しい水は欠かせない。サントリーのビール工場は<天然水のビール工場>と名づけられているが、この天然水って何?そのこたえは、4月10日にリニューアルされる見学ツアーでわかります!
61年目を迎えたサントリー初のビール工場で
サントリーがビール市場に参入した1963年に開設されたサントリー初のビール工場が東京にある。正式名称は「サントリー<天然水のビール工場>東京・武蔵野」。“神泡”で知られる「ザ・プレミアム・モルツ」もここで生まれた。1989年のことである。
サントリーは、工場名にも入れるほど「天然水」にこだわっている。ビール工場は、この東京・武蔵野のほか、群馬・利根川、京都府・長岡京市、熊本県・阿蘇と計4所あるが、いずれも良質な地下水を採水できることが共通している。
天然水とは特定水源の地下水を原水とし、沈殿や濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行なっていない水のこと。ちなみに水道水は塩素処理されているので天然水ではない。
さて、ビール工場見学といえば、原料の説明を受けて→製造工程の見学→ビールの試飲! の3ステップが定番だ。今回リニューアルされた工場見学「『ザ・プレミアム・モルツ』おいしさ発見ツアー」も、この3つはしっかり組み込まれている。
実際にビール製造しているつくり手たちの思いをムービーで観てから工程見学へ。すると、じゃん! いきなり見慣れぬものが。
麦芽の仕込みで使われるのが水だ。“天然水”のお湯で麦芽を熱すると麦芽中のでんぷんが酵素の働きで糖に分解される。そこにホップ投入。ビールらしい香りと苦味のついた麦汁ができあがる。その後、麦汁に酵母を加えると発酵が始まる。アルコールと炭酸ガスに分解されて「若ビール」が誕生! それを貯蔵してビールになる。
さて仕込み室を出たら、こんなものが。以前使われていた貯蔵タンク。
タンクの中を歩いて次の工程へ。ここで今回のリニューアルの目玉、「官能検査VR体験」だ。
このあと缶詰め、箱詰めのパッケージ工程を見学して、製造工程の見学は終了する。
次はお待ちかね、できたてビールのテイスティングだ。実は今回のリニューアルで、これまで無料だった工場見学は1000円の有料になった。しかし悲しむことはない。
リニューアル前は見学50分、試飲20分だったところ、リニューアルにより見学60分、試飲30分、3杯までと増強されている。そもそも今回のリニューアルの目的は、「サントリーのビールづくりをより深く知っていただきたい。最高の品質をよりいっそう体感していただきたい」ということだ。見学内容の充実で喉は一段と渇くことだろう。
しかも「プレモル」をサーバーから自分で注ぐ「セルフサーブ」体験と、神泡アートが楽しめるのもリニューアルのポイントだ。
天然水のふるさとの森が見たくなる
ビールやウイスキーなどのお酒だけでなく総合飲料メーカーであるサントリーにとって、「天然水の確保は事業の生命線」。以前から水源の保全活動に力を入れている。現在、サントリーは「天然水の森」と名づけて、水源林とその周辺の湿原や草原などで地下水の涵養(かんよう)活動を行なっている。植生や動物や鳥類、土壌、地質の調査から間伐、植林、林道の整備や害獣対策まで及ぶ森づくりだ。
今回訪ねた「サントリー<天然水のビール工場>東京・武蔵野工場」が汲み上げている地下水の水源になる奥多摩や、多摩川の源流である山梨県小菅村の森でも涵養活動が行なわれている。
雨が地に浸み込み、何層もの地層を通り抜けて地下水になるには何十年もかかる。長い歳月をかけてつくられた地下水があってビールは造られる。おいしいビールを飲みつづけられるよう、森の保全についても知っておきたい。サントリーのビール工場見学は醸造見学、試飲の楽しさに加え、水源のことを考えるきっかけになると思う。
●「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー ●所要時間90分●参加費1,000円(税込/20歳未満は無料)●予約制●見学再開日2024年4月10日(水)https://www.suntory.co.jp/factory/musashino/