FILE48は、代々木八幡神社にあるといわれている富士塚のなぞに迫ります。
第48座目「代々木八幡神社の富士塚」
え?富士塚じゃないらしい?
今回も、僕のTOKYO山頂リストから外れていた山でした。さて、どうしたものかと調べていると、代々木八幡宮のホームページのよくある質問コーナーに、
Q:代々木八幡宮に富士塚はありますか?の問いに、A:代々木八幡宮に富士塚はありません。富士登拝の碑が出世稲荷社の隣にあります。と記載してありました。
また、手島さんの「江戸・東京百名山を行く」にも記載はありませんでした。しかし、再度調べている中で、多くの方が富士塚として記しています。また、登れそうな情報もあります。さて、代々木八幡神社に富士塚はあるのか?その謎に迫ります。
さて行くべし!
今回は、JR原宿駅東口をスタートします。10時を過ぎるころの原宿は多くの人出で賑わっていました。代々木公園方向へ歩いていきます。途中込み合っていたものの、代々木公園の入口付近に差し掛かるころには、日本人の姿が少なくなり、ここでも外国人を多く見かけました。
代々木公園って?
代々木公園は、もともと日本帝国陸軍の代々木練兵場だったそうです。第二次世界大戦以降に、ワシントンハイツ(在日米軍施設)となり、1964年の東京オリンピックでは代々木選手村として一部が使用されたそうです。
オリンピックが終わると再整備され、1967年に代々木公園として開園しました。ちょっと驚いたのは、道路を挟んで隣接している、国立代々木競技場があるのですが、なんと代々木公園には含まれないそうです。
代々木公園をがっつり歩いたのは初めてです!
代々木公園に入り噴水、芝生のエリアへと進んでいきます。こうして目的をもって代々木公園の中心部まで来たのは初めてでした。公園の木々はよく手入れされていて、樹齢の古いものも多く大きな木々が木陰を作っていました。
まだつぼみだというのに早くもお花見?をしている方も多くいました。
ん?なんだ?
代々木公園をすぎると、直ぐに公園があり、「渋谷はるのおがわプレイパーク」と手書きされた看板を見かけました。自分の責任で自由に遊ぶをテーマにしているようで、子どもたちの自由な遊びをサポートするプレーリーダーやスタッフが常駐しているのだそうです。ちょっと不思議な雰囲気の公園でした。
公園を通り抜けそのまま進みました。踏切を渡り坂を登りきる頃、車用という看板と共に分岐があり、そのまま登っていくと、代々木八幡の本殿裏側に着きました。そうです、今回も登山者の僕は、正面からではなく目的地に一番スムーズに入れる道を選択したのでした。
確かに富士塚のようだけど…
裏側には、富士塚があるといわれている、出世稲荷に直ぐアクセスする入口があります。出世稲荷の方向に進み登っていくと、出世稲荷と富士登拝の碑の二方向に道が分かれ(すぐ隣にありますが)ますが、この辺から溶岩を利用した道になり、まるで富士塚のようでした。
山頂に上がると下山ルートの案内板が出ていて、別ルートで下山する所も、富士塚のようでもあります。
代々木八幡神社
代々木八幡宮がお祀りしている神さまは応神(おうじん)天皇=八幡さまです。八幡さまは古くは朝廷や武家からの崇敬をあつめ、国家鎮護、破邪顕正の神と仰がれました。その強いご神徳から「厄除開運」の神さまとして全国で鎮守の神として祀られたそうです。出世や仕事運のご利益があることでも有名で、多くの芸能人も参拝に訪れるそうです。
代々木八幡にあるのは富士塚か否か?決着する
実際に、宮司さんに聞いてみました。
富士塚は、それ自体を富士山に見立てております。当然、山頂にはお社がありますし、中腹にも祠や五合目の印があったりもします。山開きの神事も行います。富士山に実際には登れない方々が、代わりに富士塚を登るというわけです。
元々は近隣に富士塚があり、富士登拝へ出発する際に、お参りをしてから出立していたことから記念の石碑が作られたようです。溶岩のようなつくりがありますが、これは富士講の方々が富士山から運んできて作ったものではなく、戦後、別の方々がお稲荷さんの社とともに整備をする際に作ったものです。
「顕彰碑」(個人の著名でない功績や善行などを称えて、広く世間に知らしめるために建てられる石碑など)が建立されております。お社ではありませんので、石碑に対する神事も特におこなっておりませんとの回答でした。
なるほど、見た目は一見富士塚のようではありますが、中身には明確な差があったのですね。だから、富士塚ではなかったのですね。納得です。
ただ、代々木八幡神社のある場所は、古来、海に突き出た岬の高台で、集落があったそうです。神社の敷地からは縄文時代の土器などが発掘されたそうですよ。ただ、当時山と呼ばれていたかどうかは今となっては知るよしもありませんね。
ご回答下さいました、代々木八幡宮司 平岩小枝さん誠にありがとうございました。
帰り道で気付いたのですが、こんなにご利益のある神社に来たのに、取材ですっかり自分のお願いを忘れてしまいました。だから出世できないのかもしれませんね。
次回は、FILE49新宿にある東大久保富士です。