目指せ、ゴミ0生活! お笑い清掃団が行く
焚き火の「灰」がスゴイ理由
清掃団・団長
マシンガンズ・滝沢秀一さん
芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。著書に『ゴミ清掃員の日常』など多数。
清掃団・ハンドメイド部
こじらせハスキー・橋爪ヨウコ
サッカー歴27年のスポーツ芸人。ぐんま特使。現在、BE-PAL.NETでヒマラヤ・オートバイ紀行「でけぇ山を走りたい! 38歳女芸人がヒマラヤツーリングに挑戦した理由」連載中!
清掃団・力仕事担当
こじらせハスキー・ドイツみちこ
筋力トレーニングで体脂肪率15%。ボディビル『NPCJ』世界大会で9位に入賞。現在、女相撲に挑戦し数々の大会に出場している肉体派お笑い芸人。
日本では古くからバイオマス燃料を社会の中で循環させてきた
薪ストーブや焚き火など、木や枝葉などから作られる生物由来のエネルギー源「バイオマス燃料」。再生可能な持続循環型社会(SDGs)のエコなエネルギー源として注目を集めている。
このバイオマス燃料を、社会の中でうまく循環させてきたのが室町~江戸時代。要となったのは、商品的価値が高かった焚き火の副産物「灰」である。
当時、木や草を燃やして出る草木灰は広い用途があり全国に流通していた。
農家は草木灰を肥料として使った。草木灰はカリウムを含むアルカリ肥料。土壌の酸度を調整し、根や茎を丈夫にして実付き・花付きを良くした。
紺屋(染物屋)は藍染めの媒染剤として灰汁が欠かせなかった。ほかにも陶芸の釉薬、紙漉き、酒造り、絹の精錬、一般家庭では食品のアク抜きや、食器・衣類の洗剤として重宝され、灰の利用は広範囲にわたった。
灰で循環型社会 SDGsを目指す
この時代の燃料は薪である。そのため一般家庭では大量に灰が出た。今なら灰は「捨てるゴミ」と考えがちだが、当時はお金になる「貴重な資源」だった。各家庭では灰を溜める甕や小屋を置き、その灰を買い歩く「灰買い」という商売や「灰問屋」が繁盛。灰の産業は全国に広がり、各地域が経済的に潤った。
焚き火の薪が灰になり、土に戻るまでの循環が、社会の中で数百年間、機能していたのだ。
「ということは『灰』を上手に使えば、SDGs的社会貢献ができるってわけね」
「捨てないで使おうよ、灰!」
と、清掃団のお笑いコンビ、こじらせハスキー。そこで今回は、キャンプや薪ストーブで出た灰を使って洗剤作りに挑戦した。
作り方は至ってシンプル。水に灰を入れて熱し、上澄みをすくって濾過するだけ。
アルカリ成分の強さによって用途も異なるので、濃度を変えて作り置きしておくと役に立つ。
「灰の威力、びっくりするほどすごいですよ~!」
薪ストーブや暖炉でひと冬たまった灰は、一斗缶などに入れて保管。家庭菜園の土壌改良や洗剤などにして利用する。
大量にたまった灰の利用法を模索する、こじらせハスキーのふたり。簡単に作れて、作り置きできる「灰洗剤」に決定!
灰の活用法
灰で野菜を育てる
緑黄色がたっぷり!
「草木灰」はカリウムを多く含むアルカリ肥料(田畑で野焼きをするのはこの肥料を得るため)。特に木の薪を原料とした「木灰」は、石灰分(酸化カルシウム)の比率が多く、強いアルカリ性を持つ。園芸では石灰肥料の代わりに土壌と攪拌し使用。酸性土壌を中和し野菜の育成を高め、病気や害虫の被害も予防。野菜の根張りを良くする役割もある。
灰で洗剤を作る
灰の洗剤は、濃度別に容器に入れて作り置きしておくと便利。強力なアルカリ洗剤なので、必ずゴム手袋をして作業をすること。アルミの容器は溶けることもあるので使わないようにしよう。
アルミ以外の鍋に水と灰を1対1の割合で入れて熱する。火にかけず、水に灰を入れて数日放置してもOK。
↓
上澄みをすくって濾し布(ガーゼなど)で濾過すれば灰洗剤のでき上がり。「あっという間に強力洗剤が作れますよ!」
↓
濾過した灰洗剤を水で薄めて3種類製作。スプレーボトルに入れておくと、掃除や園芸の害虫駆除などが容易にできて便利。
濃い
濾過した後の原液。頑固な油汚れやしつこい焦げ付き、焚き火の煤などがびっくりするほどよく落ちる。ただし、アルミには使わないこと。
液体を噴霧し、ウエスなどで拭き取ると、しつこい焦げつきもご覧のとおりピカピカ。レンジや換気扇の油汚れなど大掃除で大活躍。
↓
↓
中間
園芸の殺虫剤、殺菌剤として使用。植物の葉面に噴霧すると、アブラムシやカメムシなどの虫除けや、うどんこ病など植物の病気予防に。
薄い
テーブル汚れや台所シンクの水垢とりや食器洗い、シャツの首周りなどの皮脂汚れや黄ばみを落とすのに効果を発揮する(※1)。
※1:汚れのひどいものは落ちないこともあるので注意。
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩
(BE-PAL 2024年5月号より)