そんな塔ノ岳を今回は紹介していきます。必要な体力度もそれなりに高く、難易度も初心者向けではありませんが、ぜひ挑戦してほしい魅力あふれる山です。
また、後半では塔ノ岳において雪景色がなぜ珍しく美しいのかを解説していますので、そちらも併せてぜひとも最後までお読みください。
塔ノ岳とは?
塔ノ岳は、神奈川県の丹沢国定公園内にある山です。日本百名山にも名を連ね、丹沢山の膝元に位置しています。山頂の絶景を目当てに登る人が多く、人気があります。
難易度は中程度。初心者には道のりも長く、最も有名な大倉尾根は「バカ尾根」と呼ばれるほど単調でひたすら登り続けるコースです。はじめての登山には適さない塔ノ岳ですが、景色や登りごたえには定評のある山なので、体力と経験がついてきた頃合いにぜひご検討ください。
また表尾根コースというルートは、大倉尾根より体力が必要ですが、低山とは思えない稜線を見ることができます。大倉尾根に何度か登った暁には、そちらに登るのもおすすめです。
感動するほど美しい塔ノ岳からの景色
私は普段から塔ノ岳など丹沢地域でトレーニングを積んでいますが、一帯で雪景色を確認できるのは1年のうちごくわずか。そのため、雪一面に山が包まれた塔ノ岳や丹沢の景色は美しさと希少性が相まって、感動もひとしおです。
4月になれば完全に雪が解ける塔ノ岳ですが、緑が生い茂った塔ノ岳もまた絶景。富士山を正面に、深く豊かな丹沢の山岳地帯を見渡すことができます。
オールシーズン楽しめる山ですので、見合った装備と体力を携えて、お好みの時季にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
雪の塔ノ岳は珍しい?
塔ノ岳をはじめ丹沢の山塊では、毎年のように冠雪を記録します。しかし、前述したように、その雪の絶景が見られるのは1年においてかなり少ない日数に限られてしまう、かなり希少性の高いものです。積もった雪は数日あるいは数週間で溶け切ってしまいます。
理由は、南関東の天候と丹沢地域の特性にあります。神奈川県など南関東に雨や雪を降らせるのは、南岸低気圧から北へ進路をとる雲域です。南側の沿岸部に位置しているという意味で呼ばれる南岸低気圧ですが、南関東へはこれらから南側の温かい空気が流れ込むため雪は途中で溶け、雨となる確率の方が高くなります。
雪が降るのは、気温の低さや風の強さといった条件が揃う場合です。日本海側から流れる雲にはその条件が揃うことが多いのですが、日本アルプスなどの山々がそのような雲の南関東への侵入を防いでいるため、あまり雪が降りません。
また、標高1,491mである塔ノ岳はいわゆる低山の仲間に分類されるため、標高による寒気での雪の維持はしにくい、という特性もあります。
これらの理由が相互作用を起こして、塔ノ岳の雪景色を希少性の高いものにしているのです。
緑が美しい春の塔ノ岳、珍しい雪景色の塔ノ岳に行こう!
塔ノ岳は、はじめての雪山登山にも向いている場所だと思います。必要な体力度で言うと「中程度」とそれなりに山登りの経験は必要ですが、春~秋にしっかり山登りの経験を積めば登れる山です。また、交通の便もよく、神奈川県の秦野駅からバスで大倉尾根の登山口付近まで行けます。