2004年に初登場した大定番モデル
パタゴニア/フーディニ・ジャケット
トレランやマウンテンバイクなどの激しいアクティビティーはもちろん、旅行や普段使いにも気軽に携帯できる超軽量ジャケット。シンプルなデザインながらフィット感の高いフードを備える。素材には100%リサイクルナイロン・リップストップを使用し、軽度の水分を弾く有機フッ素化合物(PFC/PFAS)不使用の耐久はっ水加工済み。
¥15,950
問い合わせ先:パタゴニア日本支社カスタマーサービス TEL:0800-8887-447
SPEC
●重量=105g
●ファブリック=リサイクルナイロン100%
●サイズ=XS、S、M、L、XL
●カラー=掲載色ほか6色
2002年に登場したときは「トンボ」と呼ばれていた
向こう側が透けるほど薄いこのシェルを初めて見たときの衝撃を僕は忘れない。当時の商品名は『ドラゴンフライ』つまり「トンボ」といった。その名のとおり生地はトンボの羽のように薄く、いまにもスイスイと空中を飛び回りそうだった。
その後トンボは2004年に透湿性と収納性を改善し『フーディニ』と名前を変えた。以来パタゴニアの大定番製品として多くのアウトドアズパーソンに愛され続けている。
最大の魅力は着ていることを忘れてしまうほどの軽さだ。重量はわずか105gしかなく、収納すると掌にのるほど小さくなる。そして着心地がとてもいい。肌ざわりがサラサラしていてナイロン製シェルにありがちな、ペタペタと肌に張り付く気持ち悪さがないのだ。この20年間にはもっと高密度でもっと軽いライバル製品もたくさん登場したが、軽さと着心地のバランスでフーディニを上回る製品はなかなかないと思う。
ちなみに僕は過去に2着フーディニを買ったが、現在はどちらも行方不明だ。あまりにコンパクトになるので、どこにしまったか忘れてしまうのである。この点はくれぐれもご注意を!
ここがスゴい!
掌に収まってしまう優れた携行性
左胸のジッパーポケットにたくし込んでコンパクトに収納できる。持ち歩きやすいようにデザインがよく練られていて、カラビナループも備える。
独自の3本構造のリップストップ
格子状に配置された繊維がカギ裂きの拡大を防ぐ「リップストップ」素材。この格子柄の糸が3本ずつ配置されていて高い強度と独特のハリ感を創出。
フィット感の高いこだわりのフード
フードは簡易的なものではなく、しっかりと頭部にフィットさせながら左右の視界も確保する本格的なもの。アジャストコードで調整ができる。
この春大注目!高強度HPPE採用の登攀用モデル
ティートンブロス/ロックジャケット
その名のとおりロッククライミング用に開発された強靱な軽量ウインドシェル。薄手の生地ながら高強度のHPPEをリップストップ素材に使うことでこれまでにない強さを発揮する。ストレッチ性と通気性は劣るがそのぶん防風性と引き裂き強度が高いので、シビアな状況で頼りになる。腰の内側のポケットに収納できるパッカブル仕様だ。
¥23,100
問い合わせ先:ティートンブロス www.teton-bros.com
SPEC
●重量=100g
●ファブリック=リサイクルナイロン89%+HPPE
●サイズ=S、M、L、XL
●カラー=掲載色ほか3色
こんなに薄いのに岩盤を寄せ付けない
いっぽう、続々登場するウインドシェルの世界にあってこの春注目したいのがティートンブロスの『ロックジャケット』だ。
最大の特徴はリップストップ素材にHPPE(ハイパフォーマンスポリエチレン)を採用して強度アップを図ったこと。通常の20D生地に必要な引裂強度は10N(ニュートン)あれば十分といわれているのだが、この生地はなんと40N以上もあり、堅い岩盤にこすりつけられるクライミング用途にも使用できる。同社の開発テスターで山岳ガイドの水野隆信氏はこの素材について
「狭いチムニー(煙突状の隙間)でガリガリと背中を擦るようなルートでもなんの問題もなく使用できた」と語っている。
実際僕もこの素材を1年以上愛用しているが、藪漕ぎなどのハードな使用にもまったく問題なく使えている。また素材がシボ状で肌離れがよく、汗をかいていてもサラリと着られる点も気に入っている。
面白いのはカラビナで腰に着けた状態のままサッと羽織れること。これは高所クライミング中やSUPのパドリング中でも飛ばされずにレイヤリングするため。現場第一主義のティートンブロスらしいアイデアだ。
ここがスゴい!
下からも開くダブルファスナー
ハーネスの上にも着用可能なダブルファスナー仕様。ダブルファスナーは自転車のライディングや向かい風の中で大きく換気をしたい際にも便利だ。
強靱なHPPEのリップストップ
白いリップストップ部にハイパフォーマンスポリエチレンを採用。国内の有名繊維メーカーが何度もトライ&エラーを重ね完成させた最新素材だ。
腰に下げたまま着用ができるぞ!
カラビナでハーネスやベルトに吊り下げた状態で着用が可能。強風下のマルチピッチの岩壁で、風に飛ばされることなく着込むことができるのだ。
私が書きました! ホーボージュン
大海原から6000m峰まで世界中の大自然を旅する全天候型アウトドアライター。X(旧Twitter)アカウントは@hobojun。
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2024年6月号より)