虫よけアイテムは、さまざまな種類がありますが、夏といえば蚊取り線香。となると、蚊やりも必要になります。
アウトドアに持ち出すなら、金属製のタイプや腰に掛けるコンパクトタイプなどもありますが、焚き火の炎のように煙のゆらぎを楽しみたいなら、断然「かもしか道具店」の蚊やり豚がおすすめです。
昔ながらの蚊やり豚がキャンプにも人気
キャンプには、コンパクトにまとめた荷物で出かけたいと思う反面、自然の中でのんびり過ごすための愛用品も持参したくなります。そう思う人は多いようで、キャンプに蚊やり豚を持って行くという人もいるそうです。
「男性のソロキャンパーのお客様が多いという印象です。」と、教えてくれたのは、「かもしか道具店」広報の矢田麻里子さん。
キャンプに持って行くからと購入するのは、男性が9割を占めているそう。コンセントなしで、屋外ですぐに使える蚊やりは、キャンプにはもってこいですが、なんといってもSNS映えすることが人気の秘密です。インスタグラムを見ていると、機能美はもちろん、風情があって癒やされるなどのコメントとともに、蚊やり豚の写真がたくさん投稿されています。蚊やり豚は、もちろん、他のブランドからも発売されていますが、「かもしか道具店」の蚊やり豚は、萬古焼製で、質感や色も魅力的です。
萬古焼の蚊やりは閑散期を活用することから誕生
「かもしか道具店」は、三重県菰野町(こものちょう)にある山口陶器が手がけるオリジナルブランドです。萬古焼というと四日市が有名ですが、隣町である菰野町でも古くから萬古焼の産地として栄えていました。現在は、5社と減ってしまう中、山口陶器では、よいものづくりは未来へと繋がると信じ、職人さん一人一人がこだわりを持って、ものづくりを行なっています。道具としての機能へのこだわりとフォルムの美しさへのこだわりが感じられ、使ってみると他のアイテムも試したくなるブランドです。そんな「かもしか道具店」のアイテムは、主に萬古焼で構成されていますが、一言で萬古焼といってもさまざまな種類があり、用途別に違った陶土が使用されています。また、萬古焼全般にいえるのが、耐熱性に優れ、陶器と磁器の間の性質を持つ半磁器に分類されるなど、一般的な陶器より割れにくいという特徴があります。
蚊やりが、なぜ豚の形になったのか、どこが発祥なのかについては諸説ありますが、萬古焼では、江戸時代から蚊やり豚の形状があったといわれているとのこと。なんでも江戸時代に、豚の野生種であるイノシシが「火伏せ(火災を防ぐ)の神」としてあがめられていたため、豚の形状になったともいわれているとか。
また、蚊やりが作られるようになったのは、閑散期を活用するためだったそう。
「萬古焼の土鍋は全国シェアの約8割を占めています。そのため全盛期の頃は、土鍋の製造にかかる夏場から秋にかけて繁忙期となるため、閑散期になる冬から春に蚊やりの製造を始めたようです。」(矢田さん)
閑散期の対策として製造され始めた蚊やりが、この地方の特産として残る所以になったようです。
蚊やり豚のカラーは3色、小振りサイズも登場
「かもしか道具店」では、蚊やり豚のカラーが3色もあります。これは、蚊やりは、インテリアとしてライフスタイルに当たり前のようにあるものとして捉えているため、複数のカラーを揃えているのだとか。インテリアなら複数の色からお部屋にあったものを選びたいですものね。
「萬古焼の産地であるという地域性があるのかもしれませんが、幼いころから家には当たり前のように蚊やり豚がありました。もっとたくさんの色を展開していた時期もありましたが、現在は和洋両方に合わせやすい3色展開になっています。」(矢田さん)
白、黒、グレーの艶消しカラーは、和室にも洋室にも合うだけでなく、緑豊かな山の景色や海辺にも合わせやすそうです。
今年は、こぶりタイプも登場しました。これは、近年の住宅事情に合わせて、小さい蚊取り線香が売られていることから誕生したとのことですが、BBQやデイキャンプなど、短時間のときに活用できますね。しかも、持ち運びやすい。ちなみに、一般的なサイズの蚊取り線香は、約75cm。10cmで1時間程度の燃焼が目安です。ミニサイズは、メーカーによって多少の違いはありますが、約8.5cmの長さがあります。
家に当たり前のように蚊やり豚があったという矢田さんもアウトドアで活用しているのかと伺ってみると、
「キャンプなどで使用するというより、普段、庭先でBBQをしたり、草刈りをしたりするときに、日常的に使用しています。外で使用すると、煙がこもらないのでおすすめです。」(矢田さん)
萬古焼は一般的な陶器より割れにくいというイメージがありますが、金属製と違って割れてしまうリスクはあります。キャンプに持っていくというのは、自宅の庭や縁側で使うよりもそのリスクは高まるかもしれません。それでもキャンプに持って行くのは、写真映えという理由もありますが、情緒や風情を楽しみたいという人が多いよう。焚き火の炎の揺らめきを眺めるように、蚊やり豚から立ち上る煙を、自然の中で眺めていると、時間の流れも違って感じられそうです。ビール片手に、蚊やり豚から立ち上る煙を眺めながら夕涼みしたくなりました。
かもしか道具店
https://www.kamoshika-douguten.jp/