今回は自然派暮らしを愛する人、旅や田舎暮らしのすばらしさに関心の高い人におすすめしたい作品2本を紹介!
CINEMA 01
累計発行部数600万部の英国小説を映画化!
『ハロルド・フライのまさかの旅立ち』
(配給:松竹)
●監督/へティ・マクドナルド
●脚本・原作/レイチェル・ジョイス『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』(亀井よし子 訳/講談社文庫)
●出演/ジム・ブロードベント、ペネロープ・ウィルトンほか
●新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開中
©Pilgrimage Films Limited and The British Film Institute 2022
定年退職して妻と暮らすハロルドの元に、ホスピスに入院中の元同僚から手紙が。余命わずかという彼女に返事を書くも、投函できないハロルド。ホスピスに電話をかけ、「私が歩く限り、生き続けて」と伝言。目的地まで800㎞、手ぶらのまま歩き始める──。
ハロルドが完全な思いつきで旅に出るまで冒頭10分足らず、なんて素敵な物語の始まり! とトキめく。
のどかな英国の田舎の風景と、てくてく歩くハロルドの姿と。さまざまな出会いがあって感動の再会!? と先読みするが、さもあらず。ハロルドの無謀な挑戦が、何かしたいけど何をしていいかわからない多くの若者らを惹きつけ、旅は大所帯に。やがて、ハロルドの抱える過去が明らかになる。
人生はうまくいかない。思い出すたび、胸かきむしる後悔を持たない人間はいないだろう。名優ジム・ブロードベントの虚飾を排した説得力ある佇まいに、一歩を踏み出すのって簡単!
と励まされつつ大号泣。
CINEMA 02
禁じられた熊狩りに挑み己と熱く対峙
『プロミスト・ランド』
(配給:マジックアワー/リトルモア)
●脚本・監督/飯島将史
●原作/飯嶋和一「プロミスト・ランド」(小学館文庫『汝ふたたび故郷へ帰れず』収載)
●出演/杉田雷麟、寛一郎、三浦誠己、占部房子、渋川清彦、小林 薫
●6/14~MOVIE ONやまがた、鶴岡まちなかキネマにて先行公開。6/29~ユーロスペースほか全国順次公開
©飯嶋和一/小学館/FANTASIA
山形の山間地、マタギ衆の寄り合い。熊狩りの親方から、環境役所が今年の熊狩りを禁止したという通達が。無視すれば密猟として罪を問われる。ただひとり、熊撃ちとしての強い誇りを持つ礼二郎は受け入れない。彼を兄のように思う信行と、最後の熊撃ちが始まる……。
まるでドキュメンタリー。マタギという伝統の継承、村社会の閉塞感や自然への畏怖と共生への願い。そうした多くを映像そのものの力で、これ撮影っていうか登山!?といいたくなる若き俳優の奮闘で見せる。
※構成/浅見祥子(CINEMA)
(BE-PAL 2024年7月号より)