新潟県佐渡島で登山はいかが?1泊2日で大佐渡縦走ルートを歩いてみた
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    2024.07.19

    新潟県佐渡島で登山はいかが?1泊2日で大佐渡縦走ルートを歩いてみた

    新潟県佐渡島で登山はいかが?1泊2日で大佐渡縦走ルートを歩いてみた
    新潟県の離島、佐渡島。東京から新幹線と高速船を乗り継げば、最短わずか約3時間30分で到着する島には、1,000m級の山々が連なります。

    金北山(きんぽくさん・1171m)や金剛山(こんごうさん・962m)などの山を日帰り登山するのも楽しいですが、今回は「大佐渡縦走」という約23kmのコースを1泊2日で歩いてきました。

    大佐渡縦走の魅力とは?

    1,000m級の山が連なる佐渡島は、隆起してできた新潟県の離島です。起伏に富んだ登山道を歩くことができます。熊、鹿やサルなどの野生動物も生息していないことから、動物に襲われる心配なく安心して登山を楽しめます。

    北緯38度線上に位置し、植物の北限南限が重なっているので、さまざまな高山植物を数多く見ることができます。野生動物による食害被害も少ないため、季節によっては高原はお花畑のようになるのだとか。

    約23kmに伸びる縦走ルートのちょうど中間地点に「ドンデン高原ロッジ」があり、ここは縦走の宿泊拠点にぜひ泊まってほしい施設。ドンデン高原とは、かつて牛が放牧されていた一帯を指し、放牧で形成された高原らしいなだらかな風景が広がります。眼下には両津港が見え、夜になれば日本海を挟み対岸の新潟の夜景を見ることも。

    ドンデン高原ロッジのテント場から見る日の出もまた美しい

    海外のロングトレイルを歩いているかのような、雄大な稜線を望むこともできるのもポイント。振り返ると山の連なりが確認でき「こんなに遠くまで歩いてきたのか!」と達成感も感じられます。

    おすすめの季節は、5〜6月頃。気温も暑すぎず、高山植物を愛でるにはちょうど良い時期でしょう。夏は猛暑になりやすく、冬は積雪もあるため、春や秋が安全に登山ができる季節と言えそうです。

    それでは早速、1泊2日の縦走をはじめましょう!

    <今回のコース>
    1日目:交流センター白雲台→金北山→縦走路分岐→役の行者→天狗の休場→石花越分岐点→マトネ→ドンデン高原ロッジ到着・宿泊(13.6km、約7時間)

    2日目:
    ドンデン高原ロッジ→論点山→芝尻山→金剛山→和木山→大佐渡石名天然杉 (約10km、約6時間)

    ▼1日目 白雲台→ドンデン高原ロッジ(13.6km・約7時間)

    登山口となるスタート地点は、「交流センター白雲台」になります。ここで登山届を出したあとは、トイレを済ませておくとよいでしょう。日によっては佐渡島在住のアウトドアのガイドさんが居て、登山ルートについての情報を教えてくれます。自動販売機もあるので、最後の給水ポイントとして利用するのもよいでしょう。

    白雲台を出発し、まずは金北山を目指します。金北山の頂上までは、なだらかな林道が続き、危険な箇所は特にありません。登っていくにつれて、スタート地点の「交流センター白雲台」がどんどん小さく遠くに見えてきます。途中に防衛基地があり、道を巻いて歩き進めると、金北山の頂上が見えてきます。


    金北山の山頂に到着しました。ここは勝軍地蔵を祭る「金北山神社」があります。神社にお参りをして、佐渡島を見渡して一息つくと良いでしょう。

    金北山を越えて歩いていくと、なだらかな稜線が続きます。「役の行者」、「天狗の休場」、「真砂の峰」、というポイントを進み、笹が茂る道の間もズンズン歩いていきます。

    途中の「ブイガ沢のコル」前後あたりから、ザレ場が出てきますので注意して下さい。

    「石花越分岐」で再び休憩をとったら、「マトネ」「アオネバ十字路」を目指します。道は迷うことがないほど明確なので、景色を楽しみながら、じっくり歩み進めましょう。

    ここまで来れば、「ドンデン高原ロッジ」まではあと一息です! 


    最後、アスファルトの道を登り切ると、ロッジに到着しました! 

    ドンデン高原ロッジ

    早速荷物をおろして、今晩の宿泊のためのテントを設営します。平らに整地されたテント場は張りやすく、水場も近くにあるのでとても便利です。ここから両津港が望め、振り返ると、金北山などの今まで歩いてきた山々が一望できます。

    「ドンデン高原ロッジ」では、ロッジに宿泊をしなくても、食事(夕食・朝食)やお風呂(日帰り利用の場合500円)の利用が可能です。お風呂で汗を流して、美味しいお食事を楽しみましょう。

    特に夕食はコース料理になっており、オードブルからはじまり、スープ、パスタ、メイン、デザートまで、どれも絶品!(季節によりメニューは異なります)。 

    ”海と土の恵み”オードヴルバリエーションから、佐渡サーモンのエスカベージュ 柑橘の香り、人参と胡瓜のロール、グリーンピースのアスピック、パテ・ド・カンパーニュ、ホタテ貝柱のパイ包み焼き、プティトマトのピクルス。

    クラフトビールやオリジナルのワインなどの販売もあり、ぜひ一緒にどうぞ。

    メインのリブアイビーフステーキ ドンデン高原産イブキジャコウソウの香り〜温野菜、赤ワインソース、ヨモギの香油〜。料理はドンデン高原ロッジ自然リゾート 料理長 飯塚恭弘さんが、季節ごとに提案している。

    翌朝の朝食もボリューム満点で、この山奥でこんなに贅沢をしてしまって良いのかと思ってしまうほど。

    食事はもちろん、夜空や日の出を楽しめる絶好のロケーションなので、縦走の際はぜひ利用をおすすめします。

    ▼2日目 ドンデン高原ロッジ→大佐渡石名天然杉(約10km 約6時間)

    「ドンデン高原ロッジ」では、宿泊者は自由に水場の利用ができます。出発前にたっぷり水を頂いておくと良いでしょう。

    2日目の朝は、8時に出発! ロッジの脇にある「金剛山」への標識のある登山道を見つけたら、ここからスタートします。

    再び高原らしい見晴らしの良い登山道を歩きはじめたら、「尻立山」を経て「ドンデン池」に向かい、「論点山」「芝尻山」へと突き進みます。ここもアップダウンはあるものの、道は歩きやすくて、道迷いをすることはありません。
    鬱蒼と茂った森を抜けたり、高原に出たり、また森に戻ったりを繰り返していきます。


    歩いていると目にすることが多い杉。これが太平洋側で見かける杉とは、どこか雰囲気が異なるのに気づきます。

    直線的なイメージのある杉ですが、佐渡の天然杉は曲線を描くような独特な姿をしています。これは積雪による圧力を受けたり、季節風に影響されることで、幹や枝がマンモスの牙のようなフォルムになるのだと言われています。曲がった枝は地面に接し、そこから根を張って「再生」するのだとか。


    そうこうして歩いていくと、金剛山への分岐が見えてきます。金剛山を経由する場合は、分岐を右に突き進み、ピストンで金剛山を往復してください。

    金剛山は、山伏修行の三山駆け(金北山、金剛山、壇特山)の一山として、佐渡では住民からも親しまれている山の1つ。山頂には赤い鳥居があり、展望もよく島全体を望むことができます。

    ただ金剛山の頂上付近には蟻塚があり、蟻に要注意。足を止めるとすぐさまトレッキングポールや登山パンツにはい上がってきて噛まれる危険もあるので、十分に気をつけてください。

    金剛山をおりて分岐に戻ったら、和木山を越えて、大佐渡石名天然杉遊歩道に向かって、縦走完了です! お疲れ様でした。

    まとめ

    道はどこも適度に整備され、道迷いのないように赤いテープも至るところに貼ってある、とても親切なルート。
    また同じ23kmという距離でも、山の稜線が見えたり、アップダウンが続いたり、振り返ると縦走をしてきた道が見えてくる今回の「大佐渡縦走ルート」は、達成感が半端なかったです!

    1点、難点があるとすれば、縦走に必須な交通手段がやや不便であるということ。路線バスなどのアクセスは良いとは言えず、タクシー利用も時期や場所によっては難しい場合があります。マイカーで向かうか、観光協会などに相談するなどして、プランを調整すると良さそうです。各種ツアーや交通についても詳しい「佐渡アウトドアベース」に問い合わせしてみるのも良いでしょう。

    今回歩いたのは、6月中旬。今度は気温が下がる秋頃に同じルートを歩いてみたい、そのように感じずにはいられない最高の縦走でした。

    アクセス情報

    島内の移動はレンタカー、マイカーや、タクシーなどがおすすめです。島内には電車は通っておらず、公共交通機関はバスになります。また両津港にタクシーは原則常駐しているものの、利用の際は事前予約をすると良いでしょう。両津港から、ドンデン高原やアオネバ登山口までの利用の場合、予約を受付けない場合もあるので予約の際に確認してください。

    ・新潟交通佐渡株式会社(バス)
    https://www.sado-bus.com/route/

    マイカー(タクシー)の場合

    縦走のスタート地点と下山口は、車でのアクセスがおすすめです。

    行き:佐渡島両津港→交流センター白雲台まで 約30〜40分
    帰り:大佐渡石名天然杉→佐渡島両津港まで 約50分
    ※大佐渡石名天然杉までは道がやや荒れていることから、タクシーが入らない場合もあるので、タクシー利用の際は事前確認してください。
    ※交流センター白雲台、大佐渡石名天然杉のいずれも無料駐車場あり

    登山ウェアや持ち物について

    1泊2日の縦走をする場合は、テント泊用のギア装備、もしくは「ドンデン高原ロッジ」での宿泊用の持ち物を持参しましょう。

    雨具(上下)、防寒着、ヘッドランプ、地図、携帯電話、簡易シェルト、ソールの減っていない登山靴(スニーカは厳禁)など、登山に必要なウェアと持ち物で大丈夫です。
    ※登山道では携帯電話の電波状態が悪いのでご注意下さい

    佐渡島大縦走データ

    山頂所在地:新潟県 
    山域:佐渡島
    標高: 金北山 1,171.9m(佐渡島の最高峰)

    今回のコース

    コースの距離:約23km(1日目 13.6km、2日目 約10km)

    1日目:交流センター白雲台→金北山→縦走路分岐→役の行者→天狗の休場→石花越分岐点→マトネ→ドンデン高原ロッジ到着・宿泊(約7時間)

    2日目:
    ドンデン高原ロッジ→論点山→芝尻山→金剛山→和木山→大佐渡石名天然杉 (約6時間)

    トレッキングマップ
    https://www.visitsado.com/media/files/pdf/trekkingmap.pdf

     

    ドンデン高原ロッジ自然リゾート

    住所:〒952-0003 新潟県佐渡市椿697
    電話:0259-23-2161
    休館日:11月中旬~4月中旬
    宿泊料金:2食付:8,800円~
    客室数:11室
    駐車場:20台 (無料 予約不要)
    施設・設備:食堂、客室(2段ベッド)、交流研修室、プラネタリウム室(多目的ホール)、浴室、売店、自動販売機、テントサイト
    HP: https://donden-sanso.jp/
      https://www.instagram.com/donden_lodge/

    <問い合わせ>

    佐渡トレッキング協議会 事務局
    電話:0259-23-4472
    HP: http://www.sado-trekking.com/

    古園 麻子さん

    ライター・エディター

    東京在住。編集、執筆、企画プロデュース、WEBディレクション、翻訳などする傍ら、登山や海のアクティビティを楽しみ、最近では武道も学び始める。

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