湖畔の景色を堪能しながらハイキング
地元コミュニティー密着型のビーチ・パーク!
カナダと国境を接するワシントン州。シアトルは緑と水に囲まれ、「エメラルド・シティー」と呼ばれています。シアトル中心地の北東に位置するマグナソン・パークは、第二次大戦中に米航空部隊の拠点となった元軍事施設という異色の公園。広大な規模を誇り、現在も建物やモニュメントなどにその面影を残します。
湖畔のトレイルやビーチが人気を集め、犬を放し飼いにできる広場やスポーツ愛好家のための設備も整います。湿地帯を進むハイキングも、この公園ならではの醍醐味。なぜなら、野鳥観察にうってつけなのです。
近場で気軽に自然体験
かつては米海軍の航空基地であったマグナソン・パーク。日本による真珠湾攻撃後には西海岸の3大拠点のひとつとなり、大きな役割を果たしました。当時のアールデコ調の建物が今も残り、その歴史的価値に注目が集まります。特にレンガ造りの建物が並ぶ、公園入り口のゲートとコミュニティーセンターの周辺は要チェック。駐車場もあり、市民はここから、さまざまなアクティビティーにアクセスできます。
ハイキングにはここから湖畔のビーチへと向かいます。徒歩では16分ほど。途中にイベント会場やレクリエーション・センター、テニスやサッカーなど各スポーツのコートがあります。ビーチ付近には駐車場が備わり、公園の南を走る車道を通って車で直接行くこともできます。
シアトルの東岸全域に渡る巨大湖、レイク・ワシントンには遊泳可能なビーチが点在しますが、このマグナソン・パークのビーチは人気の高さの割に、いつ訪れても比較的静かで、密集し過ぎることもないため、地元では穴場のビーチとして知られます。木陰が多く、家族や仲間とピクニックをしたり、長時間のんびり横たわったりするにも最適です。ハイキングには、ビーチに沿う遊歩道へ。湖を眺めながらのランニングやウォーキングは爽快そのもの!
湿地帯でバード・ウォッチング
公園は350エーカー(約142ヘクタール)と、シアトル市内でも最大規模。それだけに、見どころも豊富です。たとえば、遊歩道の陸側に、まるで海面に飛び出すサメやクジラの背びれを思わせる不思議な物体が…。一体、何でしょうか? 一緒に歩いていた息子も興味津々です。
「見て、プレートに何か書いてあるよ」
フィン・アートと呼ばれる一群の正体は、現役を退いた潜水艦の主翼でした。重さはそれぞれ1万パウンド(約8000キロ)にもなるそう。壮大なスケールのリサイクル・アート作品です。
「あ、水上飛行機だ!」
湖面には、離水直前の水上飛行機が見えます。そう言えば、レイク・ワシントン北岸に発着場があるのを思い出しました。私たち親子は、その飛び立つ瞬間を目撃。よく晴れたこの日は、遠く南にレーニア山の雄姿も望めました。ウォーキングの途中でいろいろな発見を楽しめて大満足。
体力があれば、別のハイキング・ルートの散策もおすすめ。ビーチ方面から遊歩道を南下すると、ボートの船着き場に突き当たりますが、その駐車場の西側一帯にビーチの景色から一転、鬱蒼とした湿地帯が広がります。
公園のあるサンドポイントと呼ばれるエリアでは100種類もの野鳥が観測できるとされ、この湿地帯もバード・ウォッチングの名所のひとつ。愛鳥家なら、ぜひ足を運びたいスポットです。遊歩道も整備されているので、池の周りなどを散策してみましょう。鳥だけでなく、地域の固有種を含む多様な植物も見ものです。
■マグナソン・パーク
7400 Sand Point Way NE, Seattle WA 98115, USA
https://www.seattle.gov/parks/allparks/magnuson-park
これまでの「シアトルで絶景街ハイク」シリーズはこちら。