日本ではまだあまり知られていない島ですが、実は海もグルメも、そして天文現象や地質学までも楽しめる、台湾屈指のリゾート地なのです。そんな盛りだくさんな要素があるなんて、一体どんな島?本記事ではそんな澎湖諸島の魅力を、4回に分けてたっぷりご紹介します。
台北からわずか50分!台湾屈指のビーチリゾート
「澎湖諸島(ほうこしょとう)」は、台湾本島の西側約50kmに位置する台湾海峡上の離島群。「離島」というと行きづらいイメージがあるかもしれませんが、意外なことにアクセスも簡単。日本から訪れる場合は、まずは羽田空港から、台北の街中にある台北松山空港へ。台北松山空港からわずか50分のフライトで、澎湖本島に到着です。風向きと風速によっては40分弱で到着できちゃうことも。しかも台湾系航空会社2社が1日に計18便も往復しており、時間帯は選び放題!
澎湖諸島は、90を超える島から構成されています。初回の今回はまず「本島」についてご紹介しましょう。
澎湖本島とは、馬公空港のある「澎湖島」から陸路でつながっている「白沙島」と「西嶼島」を合わせたエリアを指します。
今回は、友人ファミリーと我が家の2家族で澎湖にやってきました。宿泊は澎湖本島内にあるゲストハウス「海的女児民宿(Sea Daughter’s Homestay)」。空港からタクシーで10分弱の近さが嬉しい。オーナーは、クラシック音楽鑑賞と読書が趣味の素華(スー・ホア)さん。生粋の澎湖人です。知的で落ち着いた雰囲気の彼女がこだわり抜いたターコイズブルーのテーブルや、天井が高く解放感のある部屋が、リゾートに来た!という気分を高めてくれます。
翌朝は小鳥のさえずりで目を覚まし、旅のスタートから爽快な気分で近くのビーチへ。
同じ島でも表情が異なるビーチ
ゲストハウスから徒歩10分、「隘門(アイメン)」という穏やかなビーチに到着です。美しい白砂が広がるビーチには、大きさも形もさまざまな珊瑚があちこちに転がっています。子供たちは早速「海入ろー!」「砂でお城作ろうぜー!」と海を全力で満喫。親たちは海を眺めてのんびりとおしゃべり。なんとも贅沢な時間が流れていきます。
11時頃、小腹が空いたので、ビーチから海沿いに10分ほどの「及林春(ジーリンチュン)」というカフェへ。
このカフェがまた、なんともおしゃれ!敷地内にはブランコがあったり、パラソルとベンチがあったり。そして、もはやどこまでがカフェの敷地かわからないほど、ビーチと一体化しています。カフェで販売されているのは、パッションフルーツなど南国の果実をたっぷり使ったドリンクと、しっかりとした食べ応えのあるケーキ。海風に吹かれながら飲む南国フルーツのソーダは、日常のストレスをあっという間に吹き飛ばしてくれます。
「隘門」から車で10分ほどの「龍門(ロンメン)」は、「澎湖の穴場」といわれるビーチ。見渡す限りの遠浅の海や、珊瑚と白砂のコントラストが素晴らしい…のですが、なぜかほとんど人がいません。私たちが訪れたときも、広々とした砂浜にいたのはわずか2~3人ぐらい…。
今回、我々に澎湖の島を案内してくれたのは、澎湖在住日本人の小林さん。小林さんに「いつもこんなに空いてるんですか?」と聞いたところ、「そうなんですよ~、だいたいいつもこんな感じですね!」とのこと。この透明感、この静謐さ、日本だったら間違いなく人が殺到しています・・・!ビーチの近くには東屋、シャワー、トイレなどが揃っており、泳ぐだけでなく長時間海を眺めて過ごすこともできます。
アクティビティが体験できるビーチもご紹介しましょう。夕陽を眺めながらマリンアクティビティを楽しめるのは、澎湖本島の北西部「白沙島」にある「小門(シャオメン)」ビーチ。
このビーチの周辺にはアウトドア事業者や海鮮レストランが集まっており、夏は観光客で賑わいます。今回、澎湖で生まれ育った洪三元(ホン・サンユエン)さんが運営する「鯨魚浮漂(ジンユィ フーピアオ)」で、SUPを体験することにしました。体験前の20分程の講習では身振り手振りを交えてじっくりと説明してくれるので、初心者でも安心。
スタッフのみなさんに丁寧に教えていただき、講習が終わったらいよいよ大海原へ。「まずは座って漕いでみて。慣れてきたら膝をついて、大丈夫そうならゆっくり立ってね」という指示通り、段階を踏んで立ってみたら…
息子とともに一枚の板に乗り、ゆっくりとオールを動かします。
親子ともにSUPは今回で2回目。落水することなくやり遂げました!
この「小門」ビーチは澎湖本島の北西に位置しているため、地理的条件を活かした「SUNSET SUP」ができるのが大きな特徴。天気に恵まれれば、あたり一面黄金色に輝く海に漕ぎ出すという幻想的な体験ができます。海上で澎湖特産のおやつを食べるというワクワクタイムもありますよ。
西嶼でふたつの「台湾初」を巡る
澎湖本島の西側「西嶼島」にある「二崁(アルカン)集落」は、台湾で最初に「伝統集落保存地区」に指定された集落。見所は台湾の古い民家で見かける花磚(ホアジュアン)。日本だと「マジョリカタイル」といわれています。
デザインの豊富さとレトロなかわいさで近年人気を集めているマジョリカタイルが、二崁集落内の「二崁花磚館(アルカン ホアジュアングアン)」に大量に展示されています。色使いも図案もさまざまで、長時間見ていても飽きない…!
この二崁集落、観光用に保存された集落ではなく、今でも人が住んでいる「現役」の集落なんです。見学のときには住民の方の生活を妨げないようにご注意を。集落内の民家の壁では、現役のマジョリカタイルを見ることもできます。
街並みを見ていた息子が何かに気がついたようです。「見て!珊瑚!!」と。なんと、石垣がすべて珊瑚でできています。「石垣」ではなく「珊瑚垣」?二崁集落の人々が澎湖の海と共存したライフスタイルを営んでいることが伺えます。
もうひとつの「台湾初」をご紹介しましょう。同じく西嶼島にある「漁翁島(ユーオンダオ)灯台」は、台湾で最初に作られた灯台。
1778年に中国大陸との往来を支えるために石造の灯台が設置されたのが、この灯台の起源となっています。現在の灯台は、1874年にイギリスの技師であるDAVID M.HENDERSONにより建設されたもの。灯台本体に「DAVID M.HENDERSON 1874」の文字がしっかりと刻まれています。
1992年からは観光地として一般公開されています。入口にあるかわいらしいポストもお見逃しなく。
2回目となる次回は、澎湖本島から足を延ばし、さらなる離島へ!船に揺られてたどり着いた先では、あの植物がスイーツになっていた?! お楽しみに!
静岡県出身。一児の母。民間企業、国際協力団体(北京駐在)などを経て、2013年から行政機関で勤務。2023年4月から台湾駐在。夫を日本に残し、「ワーママ駐在員」として小学生の息子と共に台湾で暮らしている。帰国時は主に静岡県内でキャンプ・グランピングを楽しんでいる。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員