筆舌に尽くしがたいフィット感に感動!
まるで火を吹く前のシン・ゴジラのようなこのブーツは、この春に日本上陸するテクニカの最新作で、製品名を「フォージ(鍛造)」という。その名のとおり熱を加えて作り上げる世界で初めてのトレッキングブーツだ。
ご存じのようにスキーの世界ではブーツやインソールの熱成型は当たり前のこと。本作はスキーブーツで培った成型ノウハウとマテリアルを登山靴に応用した意欲作なのである。
具体的にはインソールとアッパーのくるぶし、かかと、そして土踏まずに熱で変形するポリウレタンパネルを埋め込み、ここを80度Cまで加熱し、その後ユーザーが足に履いた状態で外から加圧することで各自の足型にぴったり沿ったフォルムへと成型する。
実際に僕も自分用に一足焼いてみたのだが、成型後のフィット感たるや筆舌に尽くしがたい。特にヒールホールドの高さは既製品にはない抜群のもので、かかとの浮き上がりやくるぶしの擦れがなく、まさに「シンデレラフィット」が味わえた。
この技術は従来の登山靴のフィット感に満足できなかった人だけでなく、足にトラブルを抱えている人にとっても朗報だろう。これからは登山靴も「焼く」時代、オーダーシューズのように「誂(あつら)える」時代なのだ。
上のインソールと下のアッパーのオレンジ色の部分が加熱すると変形する素材でできていて、両者を熱した状態で足を入れ、専用ポンプで外から加圧してユーザーの足の形に成型する。