手間がかからず楽しめるリユースの方法
清掃団・お片付け担当 柴田賢佑さん 芸能活動の傍ら、遺品整理・ゴミ屋敷片付け員としても活動。プロのお掃除人としてSNSで発信中。書籍『ごみ屋敷ワンダーランド』(白夜書房)発売中。
Tシャツについた黄ばみや汚れの部分に絵を描いてカバー。布用の絵の具にはペンタイプのものもあり簡単に描ける。
清掃団・ハンドメイド部 こじらせハスキー・橋爪ヨウコ サッカー歴27年のスポーツ芸人。ぐんま特使。現在、BE-PAL.NETでヒマラヤ・オートバイ紀行「でけぇ山を走りたい! 38歳女芸人がヒマラヤツーリングに挑戦した理由」連載中!
左はステンシルを使って汚れをカバーしたエコバッグ。右は着れなくなった衣服を裁断して布絵の具で絵を描き、ハンカチにした。
近年、世界的に拡がる「サステイナブル・ファッション」。衣服の生産から着用、廃棄に至るまで環境負荷を考慮したサステイナブル(持続可能)なファッションを目指す取り組みだ。
私たちが身にまとうウェアは、その製造プロセスでCO₂が排出され、大量の水が使われ、廃棄物も大量に出る。この負担を軽減しようと各国が指針を発表。日本も行政が普及のための啓蒙活動を実施してきた。
基本は5R。廃棄物の発生を少なくする「Reduce(リデュース)」、製品を繰り返し使う「Reuse(リユース)」、再生資源の利用「Recycle(リサイクル)」、ゴミになるものを受け取らない・買わない「Refuse(リフューズ)」、壊れたものを修理して使う「Repair(リペア)」。
ところが、環境省が行なった調査(右上表)では、約70%が廃棄ゴミになっているのが現実。リユースやリサイクルする消費者も未だ少ない。廃棄する理由は「手間や労力がかからないから」(2022年環境省調査)。
「ならば、手間がかからず楽しめるリユースをすればいいんじゃない?」と清掃団。そこでおすすめするのが、衣類の汚れを楽しみながら消せる布専用の絵の具やペン、クレヨン。衣類のほつれを縫わなくても直せる布用の接着剤だ。「超簡単で楽しめるリユース。ハマるよ!」
服を手放す手段の分布※1
- 可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄 68%
- 地域・店頭での回収 14%
- 資源回収 8%
- 古着として販売 7%
- 譲渡・寄付 3%
現状は可燃ゴミ・不燃ゴミとして手放され焼却・埋め立てされる割合が最も高い(2022年度環境省調査)。
※1 出典:「令和4年度循環型ファッションの推進方策に関する調査業務―マテリアルフロー―」(環境省)2022年度調査より一部抜粋
アウトドア業界も5Rに着手。写真は廃棄テントで製造したトートバッグ(コールマン「MFYR バケツトート」¥6500)。
描いてみる
衣類の汚れは布絵の具でカバー
布絵の具は2種類。描いた後アイロンをかけて絵の具を定着させるタイプと、乾燥させるだけのタイプ。用途によって使い分けたい。
布用ペン
絵を描くのが苦手な人におすすめ。文字も書きやすく、子供でも容易に描ける。(Shuttle Art/28色セット ¥1,799〜)
布用絵の具
布に絵を描き、乾いたら洗濯ができる布用の絵の具(アイロン不要)。布上での発色がよく洗濯しても色落ちしない。(ターナー/布えのぐ12色セット ¥3,630)
布用クレヨン
一般のクレヨンと同じように布に描ける。塗ったあと、布を上下から紙で挟みアイロンをかけ定着させる。(ぺんてる/ファブリックファン 布描きくれよん16色 ¥902)
あると便利なもの
紙やすりを敷いて描くと布がずれず染み防止に。卵の容器はパレットに、刷毛は大きく描くとき、化粧用パフはステンシルに向く。
作り方
初心者は、まず布用のペンを使って輪郭を描き、中を塗りつぶしていく描き方がラク。
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市販のステンシルシートを布上に置き、化粧用のパフに布絵の具をつけて叩くように色付け。
完成
汚れた部分に絵を描いてきれいに仕上がった。布のほつれた部分は、布用接着剤を塗れば自然な風合いになるのでお試しあれ。
縫わずに仕上がる布用ボンド
針や糸いらずの布用接着剤。ほつれ直し、パンツの裾上げなど、ミシンを使用していた部分を塗るだけで仕上がる。(コニシ/裁ほう上手 オープン価格)
結んでみる
袖なし衣類はエコバッグに活用
着なくなったTシャツなどのウェアはエコバッグにしてリユース。基本は、袖を切って裾を結ぶだけ。縫わなくても作れます!
古着
丈の長いノースリーブ・ウェアはひと巻き結ぶだけでバッグに変身。両刀使いで楽しめる。
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丈の短いノースリーブウェアは裾を房状に切って数か所結ぶ。袖付きウェアは袖を裁断してほつれを布用接着剤で修整し裾を結ぶ。
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完成
エコバッグ代わりに!
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩 協力/鶴田佳葉子
(BE-PAL 2024年9月号より)