能登っ子、はじめてカヌーに乗る! 四万十塾の木村とーるさん立案イベントに密着
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    2024.08.19

    能登っ子、はじめてカヌーに乗る! 四万十塾の木村とーるさん立案イベントに密着

    能登っ子、はじめてカヌーに乗る! 四万十塾の木村とーるさん立案イベントに密着
    元日の能登半島地震で、いまだ道路が波打ち、民家が傾く石川県能登町に、全国からカヌー28艇とSUP15艇が集まった。被災地の子供たちにカヌーとSUPを通して笑顔を届け、故郷の自然の素晴らしさを五感で感じてもらおうと、ガイドカンパニー『四万十塾』塾長の木村とーるさんの呼びかけで、災害支援ネットワーク『OPEN JAPAN』が主催するイベントだ。
    大雨が心配される6月23日、九十九湾園地キャンプ場に能登町と珠洲市から40人余りの子供たちがやってきた。

    水遊びを通して豊かな海を知る!

    奥能登でカヌーにのっと〜2024・6・23(日)

    四万十塾 塾長 木村とーるさん

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    最後の清流・四万十川を拠点に日本中の水辺を案内するカヌーガイド。震災直後から被災地に入り復興支援にあたる。全国のシングルパドラーに声をかけたこのイベントの立案者である。「奥能登の海は 最高なんだぜ!」

    ライフジャケットを身に着けると、大人たちの心配などどこ吹く風とばかりに子供たちは颯爽と海へ繰り出した。ほとんどの子がカヌーとSUPは初体験。近所のおばあちゃんが、子供たちの声に誘われてやってきた。

    「みんなの声を聞くのは久しぶりや。楽しそうやなー子供たち」
     
    近所を巻き込んだ海遊びの始まりだ。最初は強張った表情の子供たちもみるみるうちに笑顔になり、パドルで水をかけ合ったり、海藻を獲ったり、島を回ったり、立ち上がって漕いだり、ついには海へと飛び込む猛者まで! そうか、カヌーってこんな自由な乗り物だったのかと、逆に大人たちが教えてもらう豪快な遊びっぷりに明るい空気が湾内に広がった。
     
    子供たちにSUPを教える地元穴水町在住のガイド清水将太さんは、自宅半分が土砂に埋まり、仕事道具を失った。これまでは自分の生活を立て直すことがやっとだったが、6月に入ってようやく能登島でツアーを再開できたという。

    「僕も同じようなイベントを地元で続けていきたい。小さいころから豊かな自然に親しめば、ここにいるうちの何人かは能登から離れてしまっても戻ってきてくれるかもしれない。僕がそうだったように。海遊びにはそんな希望を感じます」
     
    ひと足先に上陸したとーるさんは、50人前!の石巻焼きそばを巨大鉄板で調理しはじめた。熱源はコールマンのガソリンツーバーナー2台体制。腹ペコの子供たちがとーるさんを囲んでまだかまだかと箸を鳴らす。東日本大震災の直後、石巻を拠点に支援を続けてきたとーるさんからの復興激励焼きそばに、腹持ちのいいおこわも加わって、午後の部へ背中を押す力強いターンとなった。
     
    しかし、天気はさらに急降下。タープの下にいた誰もが午後はクラフトワークショップと思っていた矢先、子供たちは一斉にライフジャケットを着はじめた。彼らのたくましい顔つきが、大人たちの襟を再び正す。海とともに生きてきた能登人のDNAを垣間見る光景だった。
     
    傘をさした大澤融さんが防波堤越しに息子の樹くん(5年生)を見守っていた。カヌーからジャンプして泳いでいる息子の姿を見て、目を丸くしている。

    「海は危ないところだといって育ててきたから、びっくりです。今回の地震で津波が床下まできて、怖い思いをしたと思う。でも、このイベントに自ら行きたいといって楽しみにしていたんです。大雨が心配だったけど、参加できてよかったです」
     
    仲が良かった友達と離れ離れになったり、避難所や仮設住宅で慣れない生活を送ったり、不便な時期がまだ続くけど、海の上ではみんなが笑っていた。
     
    ずぶ濡れの子供たちを盛大な焚き火が、温かく迎えてくれた。

    「鼻水小僧は、どこだー?」
     
    とーるさんがちりがみを手に子供の鼻水を拭き取っている。浜でおこした焚き火で暖をとり、温めたスープを飲んで、海を見ながら語り合い、笑う。能登の漁村でずっと続いてきた営みを、子供たちが当たり前のように楽しんでいた。

    「みなさんの日常には、こんなに綺麗で豊かな海があります。この海があるから、こんな雨の中でも笑って遊べて、友達ができました。これって実はすごく贅沢なことです。また海で遊びましょう。能登が元気になるよう、これからも見守っています」
     
    震災直後から能登でボランティア活動を続けるとーるさんの言葉でイベントは幕を下ろした。海の上から自分の住む街を見た。すると海は暮らしとつながっていた。なんだ、海ってこんなに身近なものだったのか。カヌーがそんな気づきを与えてくれるきっかけになればと願い、9月にもイベントを開催する予定だ。

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    カナディアンカヌー、大きいね!

    カナディアンカヌーの構造やパーツ名称などをレクチャーするとーるさん。はじめて見て、触る子供たちは興味津々だ。

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    はじめてのSUPにドキドキー!

    カヌーのほか、親水性が高いSUPも県内外から集まった。大人の力を借りずにひとりで操作する楽しみをより感じられる。

    全国から集まったカヌーとSUP全部で43艇!

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    即席の カタマラン!

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    カナディアン カヌーが!

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    SUPも!

    オープンデッキのカナディアンカヌーに加えて、インフレータブルタイプのSUPも全国から集まった。体の小さい子供でも扱いが容易で、水を捉えやすいシングルブレードパドルにこだわった開催だ。カヌーを連結したユニークな乗り物も!

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    海に面した九十九湾園地キャンプ場のサイトを借り切って開催。テント、タープ類はコールマンの提供品。

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    子供も大人も受付で名札を付け、参加者同士の交流も盛んに行なわれた。交じってカヌー体験する親御さんも。

    Step 1  Ready! 

    あいにくの雨風でも能登っ子はどこ吹く風!

    ライジャケを正しく装着すればあとは自由!

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    体重に見合った浮力を備えるモデルをスタッフが選んで装着。フロントジッパーを閉じ、ウエストとサイド、股下ベルトをしっかり締める。

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    プロのガイドに見守られているという安心感から? 子供たちの好奇心はマックスに! 風の当たらない湾を選んで、自由に海水と戯れた。

    まずはキャンプ場で漕ぎ方や注意点をレクチャー

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    こうかな?

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    「楽しみ だなー」 「雨でも へっちゃら!」

    雨のなかガイドから漕ぎ方を教わる。海へ出るまえにびしょ濡れだが、寒さよりワクワクやドキドキがまさっているようでみんな真剣な眼差し。

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    みんな準備はいいかい?

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    いざ、出艇!

    Step 2  Go!

    水の上って自由!パドルを漕いでどこまでも

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    美しい 能登の海

    海の上から自分の街を見る。はじめての経験に何を思う?

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    海から見る景色、サイコー!

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    みんなで 漕ぐよ~。

    2艇つなげたカタマランは遊び心満載。晴れたら中央デッキでオヤツや昼寝を楽しみたかったのに。

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    息を 合わせて!

    5分も漕げば思うがままに移動できるように。体格や運動神経に関係なく誰もがフェアに楽しめるカヌーは最高。

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    スイスイー

    はじめてのSUPですぐに立てる子供の順応力と伸び代に感服。「目線が高いから景色がよく見える〜」

    地元のSUPガイドもサポート

    サンライズアウトドア清水将太さん

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    子供の 笑顔に感動。

    「このイベントを続けていきたい」と語る穴水町在住のガイド清水さん。足元の自然の豊かさを知ることが、地方を存続させる力になると信じている。

    Step 3  Lunch Time 

    午後もいっぱい遊ぶために!

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    焼きそば ドーン!

    特注の八角形鉄板で焼きそばを調理するとーるさん。腹ペコの子供たちが「ジュー」とソースが焼ける音とにおいに集まった。

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    とーるさん、 ありがとー!

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    恐怖のご飯 おーこわ!

    ランチは石巻焼きそばとナッツ&ソーセージおこわ、トマトスープと豪華。ガッツリチャージで午後は海に飛び込む子供が続出。

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    もぐもぐ、 最高だね!

    開催が危ぶまれる雨風でも楽しい団らんを提供したコールマンの「パーティーシェード」、あっぱれ!

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    美味しかったー!

    焚き火でポカポカに~

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    冷えたカラダが 復活!

    コールマン「ファイアープレイステーブル」に特注ファイアープレートを乗せた四万十塾の焚き火スタイル。子供が温まるのにちょうど良い高さだ。

    焚き火とマシュマロはセットだよね

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    上手に 焼けたよー

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    焚き火でじっくり焼いたマシュマロをクラッカーに挟んでチョコレートをかけたスモアに舌鼓を打つ。「うまっ〜。生き返る〜」

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    もぐもぐ、 ふーふー

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    次回の開催 待ってまーす♪

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    ※構成/森山伸也 撮影/太田孝則

    (BE-PAL 2024年9月号より)

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