どんぐりって食べられるの?
公園の樹木や街路樹としてもおなじみのどんぐりの木、秋になるとたくさんの実をつけ、あちこちにどんぐりの実が散らばっているのを見かけますよね?どんぐりと言えば、子供のころは夢中になって拾った人も多いはず。種類違いのものを集めたり、爪楊枝をさして、コマにして遊んだりした記憶はありませんか?
実はこのどんぐり、遊んだり鑑賞したりするだけでなく、種類によっては食べられるんです!
どんぐりは古代に食料として活用
どんぐりは現代では認知度が低い食料ですが、縄文時代には積極的に食べられていたようです。なぜなら、縄文遺跡の地下の貯蔵庫からは、クリやクルミなどと一緒に蓄えられていたどんぐりが発見されているからです。
その当時の日本は広葉樹林が広がっており、多くのどんぐりが収穫できました。縄文人はどんぐりを石皿とすり石を使ってすりつぶし、ほかの木の実や肉などと合わせて火であぶった後、クッキー状にして食べていたと考えられています。
どんぐりの栄養価と健康効果
栄養成分
どんぐりは種類によって異なりますが、炭水化物、脂質、タンパク質、食物繊維、各種ミネラルが豊富。
栄養価の高い食品です。縄文時代に主食のひとつとして食べられていたという説のにも納得ができますね。
健康効果
どんぐりにはたくさんの効能があるとされています。ひとつは、アンチエイジング効果。ビタミンCやポリフェノールが多く含まれているため、強い抗酸化作用があるからです。とくにポリフェノールはブルーベリーよりも高い含有量です。
もうひとつは、デトックス効果。どんぐりに含まれるアコニック酸は体内に蓄積された有害物質の排出を促します。
さらに、カルシウムやマグネシウムが含まれていることから、骨粗鬆症を予防するのにも貢献する可能性があります。
どんぐりは公園でも目にするような身近な存在ですが、意外にも健康をサポートするスーパーフードなのです!
実際に食べられるどんぐりの種類と味
ブナ属
日本で見られるブナ科ブナ属のどんぐりは主にブナとイヌブナです。実はトゲのある皮に包まれており、収穫期は10月頃。皮の中には2個の実があります。
ブナの実は脂肪が多く、渋みがないため、生のまま食べられます!味はクルミと近く美味。炒ると香ばしくなりさらに食べやすくなります。お菓子のトッピングにも最適ですよ。
栄養が豊富なため、野生動物の貴重な栄養源となっているどんぐりです。
クリ属
ブナ科クリ属のどんぐりは、秋の味覚としておなじみのクリの実です。古くから食用として親しまれており、全国的に自生しています。秋になると棘に包まれた実が落下し収穫ができます。その甘さを生かして、羊羹や栗きんとんなどの和菓子に使われています。
また、山に自生している紫栗(別名ヤマグリ)は一般的な栗よりも実が一回り小さく、甘さが強いのが特徴です。
コナラ属
ブナ科コナラ属のクヌギやコナラは、公園や街路樹として見かける木です。樹木からは樹液が染み出すため、カブトムシやクワガタが集まる木としてもおなじみです。
最も入手しやすいどんぐりですが、どちらもタンニンが多く含まれておりアクが多いため、渋みが強く、生食には適しておりません。食べるためには、鍋に重曹や灰汁と一緒に入れて煮込み、何回か水を入れ替えてのアク抜きが必要です。
シイ・マテバシイ属
ブナ科シイ属、マテバシイ属の食べられるどんぐりは、スダジイとマテバシイです。
スダジイは公園や街路樹としても見かける常緑広葉樹です。巨木になるため、神社で御神木としても扱われることもあります。どんぐりの殻が独特で、熟れると殻が3つに裂ける特徴があります。
マテバシイは日本固有の常緑広葉樹です。主に関東以南の温暖な沿岸域に自生しています。ちなみに、筆者が住んでいる千葉県の房総半島では、少し山にはいればそこら中で見られる木です。
どちらもアクが少ないため食べやすいですが、渋みがあるので生食はおすすめはできません。炒ったり、蒸したりしてから、クッキーやケーキなどの材料にするのがよいでしょう。
どんぐりを美味しく食べるレシピ
どんぐりご飯
どんぐりの香ばしさが味わえる一品です。ブナ・シイ・マテバシイなど、アク抜きの必要がないどんぐりを使用しましょう。
【材料】2~3人分
- 米 2合
- ブナ・シイ・マテバシイなどのどんぐり ひとつかみ
- 昆布 10cm角
- 油揚げ 1枚
- しめじ 1袋
- 酒 大さじ1と2分の1
- 醤油 大さじ1
- 塩 小さじ1
【作り方】
- 油揚げを1cm角にカットし、しめじは石づきをカットした後ほぐす。昆布は乾いた布で拭いておく。
- 米を水で研ぐ。
- 炊飯器に調味料と材料、調味料を入れ、水を3合分の目盛りまで注いで炊飯する。
- 炊きあがったら天地を返して、ざっくりと混ぜて完成です。
どんぐりクッキー
どんぐりのえぐみを抑えて食べられるポピュラーな食べ方です。ココアやほかのナッツ、ドライフルーツなどを加えても美味しく召し上がれます。
どんなどんぐりでも使用できますが、コナラ属のアクが多いものはアク抜きをしてから使用しましょう。
【材料】
- どんぐりの粉 100g
- 小麦粉 100g
- 無塩バター 100g
- 砂糖 60g
- 卵 1個
【作り方】
- 皮を除き、アク抜きしたどんぐりをフードプロセッサーやすりばちなどで粉にする。
- ボウルに入れたバターに砂糖を加え、よく練り合わせる。
- ボウルにどんぐりの粉を加え、小麦粉をふるい入れてざっくりと混ぜる。
- ラップをして冷蔵庫で20分ほど休ませる。
- 冷蔵庫から出した生地を小さく丸め、5mmほどにつぶして平たくする。
- オーブンを180度Cで予熱し、予熱が終わったらクッキングシートに生地を敷いて20分ほど焼く。
- 焼きあがって冷めたら完成です!
どんぐり団子
凶作時や冬の日常食として、岩手県で食べられていたのがどんぐり団子。岩手では「しだみだんご」として知られている郷土料理です。
あく抜きをすると非常に手間がかかるため、ブナ・シイ・マテバシイなどのアクの少ないドングリを使用しましょう。
【材料】
- ブナ・シイ・マテバシイなどのどんぐり100g
- 片栗粉 大さじ2
- 砂糖 適量
- きな粉 適量
- 重曹 小さじ1
【作り方】
- 皮をむいたどんぐりを浸るほどの水に浸け、重曹を入れて一晩放置する。
- 次の日、どんぐりをよく洗い、再度どんぐりが浸るほどの水を入れ、火にかけ15〜20分ほど煮る。味見してどんぐりがモチモチとした食感になったら、火を止める頃合いです。
- 汁ごとミキサーにかけて、ペースト状にする。
- 片栗粉と砂糖をペーストに混ぜてよく練ってから、好みの大きさに丸める。味見して、好みの甘さに砂糖の量を調整してください。
- 蒸し器を使って、10分ほど蒸す。
- 冷ましてお好みできな粉をまぶしたら完成です!
どんぐりを食べることに挑戦してみる?
どんぐりは現代でこそなじみのない食べ物ですが、縄文時代には主食にされるほど食べられていました。栄養成分豊富で、さまざまな効能があるパワーフードです。
種類によってはアクが強く、アク抜きが必要なものがあるので、本記事を参考にしてください。
どんぐりは秋に公園や里山で探せば、すぐに見つけられますよ。ぜひ子どもと一緒に集めて調理してみてくださいね!