ファイヤーピストンとはどんな道具?
さまざまな火おこしの道具がありますが、ファイヤーピストンとはどのような仕組みで着火させる道具なのでしょうか。まずは、ファイヤーピストンの仕組みと魅力を解説します。
空気圧を利用して着火する道具
ファイヤーピストンとは、空気を圧縮して発火させる道具です。空気が圧縮されると、圧力とともに温度が高まる性質を利用しており、日本語では『圧気発火器』と呼ばれます。
具体的には、筒状のシリンダーに圧縮用の棒(ピストン)を素早く押し込み、シリンダー内の空気を一気に圧縮します。空気の温度が高まり、発火点に達すると先端に設置した可燃物が発火し、火種ができる仕組みです。
ファイヤーピストンは、東南アジア発祥の道具といわれています。現代では、ディーゼルエンジンなど、身近なところにもファイヤーピストンの原理が応用されています。
ファイヤーピストンの魅力
ファイヤーピストンの魅力は、コンパクトさと手軽さにあります。筒状であり、手のひらサイズの小さなモデルも販売されていることから、荷物のすき間に収納しやすくなっています。
加えて、身の回りにあるさまざまなものを、火種にできるのも特徴の一つです。麻ひもやチャークロスが火種に適していますが、ティッシュペーパーや綿くずなど、誰でも持っているアイテムでも着火できます。
火打石発火法や摩擦法に比べて、操作をマスターしやすいのも魅力です。コツさえつかめば素早く着火できるので、ライターやバーナーを使うのと変わらない労力で使いこなせるでしょう。
ファイヤーピストンの使い方
ファイヤーピストンは、慣れれば簡単に着火できますが、使い方をマスターするにはコツがいります。ファイヤーピストンを使って着火する方法を解説するので、あらかじめポイントを押さえておきましょう。
火口を準備する
まずは、シリンダーの先端に火種となる可燃物をセットします。燃えるものなら何を使っても問題ありませんが、麻ひもやチャークロスが燃えやすくおすすめです。チャークロスとは、綿の布を炭化させたものを指します。
ポイントは、可燃物を押し込みすぎないことです。適度にすき間を作らないと、空気が通らずうまく火が付きません。空気の通り道を確保するイメージで、セットしましょう。
ピストンを押し着火する
可燃物をセットしたら、ピストンを素早く押して着火します。このとき、あらかじめピストンの先端にグリスを塗るのがおすすめです。シリンダー内の密閉性が高まり、より着火しやすくなります。密閉性が担保されるのであれば、他の方法でも構いません。
ピストンを押すときのコツは、体重をかけてシリンダーの先端まで素早く押し込むことです。ゆっくり押し込むと火が付きにくいので、注意しましょう。また、小さな道具に体重をかけるので、安全のため平らな場所で行うことが大切です。
火種を取り出して育てる
無事に火が付いたら、消える前にたき火台に移し、火を育てましょう。火種自体は小さいため、落とさないよう注意が必要です。
まずは優しく空気を吹き込み、徐々に火を大きくしていきます。薪や木に火が燃え移ったら、火おこし成功です。その後は、薪やチャークロスなどの燃えやすいものを足して、火を大きくしましょう。
慣れた手つきでスマートに火をおこせれば、周りからの注目を浴びること間違いなしです。
キャンプにおすすめのファイヤーピストン
キャンプにおすすめのファイヤーピストンを、3モデル紹介します。合金でできた高級感のあるモデルや、必要な道具がセットになっており、届いたらすぐに使えるものなどをピックアップしました。
PSKOOK「ファイヤーピストン」
合金銅でできており、高級感のあるファイヤーピストンです。長さは約12.5cmと手のひらに収まるサイズで、ポケットに入れて持ち運べるほどのコンパクトさを誇ります。
消耗品であるゴムリングと、火種となる麻と綿布が1袋付いているので、1セット買えば長く使えます。多用途で使えるパラコードも付いているので、リュックや服にくくり付けて運ぶのにもおすすめです。
重量は約270gと軽量で、荷物になりません。火おこしのときにスマートに取り出し、周りを驚かせましょう。
- 商品名:PSKOOK「ファイヤーピストン」
American Heritage Industries「圧気発火具キット」
ファイヤーピストンでの着火に必要な道具が、一式そろったキットです。ゴムリング・パラコード・チャークロス・グリスが付属しており、開封してそのまま着火に取りかかることが可能です。
金属製の見た目は高級感があり、周りの目を引くこと間違いなしでしょう。購入者は、チュートリアル動画を見られるのもうれしいポイントです。
自宅で着火の練習をし、キャンプでスマートに火おこしをしたい人におすすめです。
- 商品名:American Heritage Industries「圧気発火具キット」
- 公式サイト:商品はこちら
Fokavic「ファイアピストン」
アルミ合金と真鍮でできたファイヤーピストンです。頑丈な素材でできているため壊れにくく、長く使いたい人におすすめです。デザインは黒を基調としており、高級感を感じさせます。
付属品がないため、可燃物や替えのゴムリングなどは別でそろえる必要がありますが、燃料を現地調達したいサバイバル志向の人には向いているでしょう。付属品がない分コンパクトに持ち運べ、必要なときにサッと取り出せます。
- 商品名:Fokavic「ファイアピストン」
ファイヤーピストンで火おこしをするコツ
ファイヤーピストンでうまく火おこしができない人は、以下のポイントを参考にしてみましょう。ファイヤーピストンでの着火のコツは、いかに小さな火種を大きくするかにあります。
可燃物は少なめにする
火種は大きい方がよいと思い、ついつい可燃物を多く詰め込んでしまっていませんか。火種はすぐに消えてしまうため、自然と詰め込む量が多くなりがちです。
しかし、ファイヤーピストンを使用するときは、可燃物は少ない方が着火しやすくなります。麻ひもやチャークロスが火が付きやすくおすすめですが、燃えるものであれば何でも燃料になり得ます。
身近なものをいろいろ試してみて、自分に合う素材を探すのも楽しいでしょう。
燃えやすいものから火を付ける
なかなか火が付かないのは、薪の組み方や火の育て方に問題があるからかもしれません。火おこしの鉄則は、小さくて燃えやすいものから、大きくて燃えにくいものへと火を移していくことです。
薪を組むときは、まずは小枝や新聞紙を下にセットし、その上にフェザースティックなどの中くらいの燃料を、最後に薪や木を配置します。
ファイヤーピストンで作った火種は、できるだけ下の方に置くのもポイントです。火は上に向かって燃えるため、下に置いた方が他の燃料に燃え移りやすくなります。
まとめ
ファイヤーピストンは、原始的な火おこし方法に挑戦してみたい人におすすめの道具です。コツをつかめば、火打石や摩擦法よりも素早く火おこしができるので、キャンプでヒーローになれるでしょう。
身近にあるものを火種にできるため、ポケットからサッと取り出してすぐに火おこしができるスマートさも魅力です。ただし、使い方をマスターするには練習が必要なため、キャンプ前に自宅で練習するのがおすすめです。
これまでとは一味違うキャンプを味わいたい人は、ぜひファイヤーピストンを手に取ってみましょう。