実際、自然の中でのランニングやハイキングが街中や屋内のそれと比較して精神衛生上により良い効果をもたらすことが米国・スタンフォード大の研究(*1)で明らかになっています。
*1. Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation.
https://www.pnas.org/content/112/28/8567
しかし、自然の中に入っていくと良いことばかりが起きるとは限りません。道に迷うことや転倒して怪我をすることはランニングにはつきもののトラブルですが、すぐに助けを求めることができない自然の中ではそのリスクはより高まります。
さらには野生動物に襲われるという可能性もあります。その意味で、北米のトレイルランナーやマウンテンバイカーたちがもっとも恐れる動物はマウンテンライオンです。毎年のように被害が報じられています。
このネコ科の大型肉食獣は南北アメリカ大陸に広く分布しています。つまり日本にはいない動物なので、今ひとつピンとこないかもしれません。今回はそんなマウンテンライオンの特徴と避け方について、クイズ形式で紹介します。
ということで、マウンテンライオンにまつわるクイズ4問です!
【第1問】マウンテンライオンの別名称として正しくないものは?
a) ボブキャット
b) ピューマ
c) クーガ
d) パンサー
幸いなことに、私はまだ野生のマウンテンライオンに出くわしたことはありません。しかし、動物園で金網フェンス越しに至近距離で対面したことはあります。それは、それは、大きく、獰猛そうな「猛獣」だと、私の目には映りました。まさしく、ライオンです。
北米ではマウンテンライオンが一般的な呼称ですが、地域や言語によっては別の名前で呼ばれることもあります。上の4つのうち、「正しくない」のはどれでしょうか?
正解は「a) ボブキャット」です。 つまり、ピューマやクーガーやパンサーも、すべてマウンテンライオンと同じ動物を指します。どの別名称にしても、実際の印象に似つかわしい呼び名だと言えるのではないでしょうか。
ちなみにボブキャットもやはり北米に生息するネコ科の肉食獣ですが、体のサイズはマウンテンライオンの半分ほどです。リンクスと呼ばれることもあります。吉田秋生著の名作漫画『Banana Fish』を読んだ人ならご存知ですよね。
【第2問】マウンテンライオンの主な獲物は?
a) リス
b) 鹿
c) ウサギ
d) 野鳥
南カリフォルニアでトレイルに出かけると上の動物を見かけることはごくごく日常的な出来事です。肉食であるマウンテンライオンが主に狙う獲物はそれらのうちのどれでしょうか?
正解は「b) 鹿」です。サバンナのライオンがシマウマやキリンを追いかけるように、マウンテンライオンも大きなサイズの動物を主食にするようです。
私の近所にあるトレイルでも鹿を時々見かけます。つまりマウンテンライオンが生息していても、おかしくはないということです。
こちらの鹿は奈良に住む鹿のように人懐こくはありませんが、それでも私がスマホで写真を撮るくらいには接近することは容易です。しかし、彼らもマウンテンライオンを見たら一目散に逃げ出します(たぶん)。
【第3問】マウンテンライオンが人間を襲う理由は?
a) 元々が好戦的な動物だから
b) エサと間違える
c) 縄張りや子どもを守るため
d) 人間が出す音を嫌う
本来なら人間はマウンテンライオンが好む食べ物ではないはずです。しかし、実際に人間が襲われる事故が頻繁に起きていることは事実です。前述した、よく鹿を見かける近所のトレイルにも、マウンテンライオンに襲われて亡くなったサイクリストを記念したベンチがあります。
マウンテンライオンはなぜ人間を襲うのでしょうか?
正解は「c)縄張りや子どもを守るため」です。マウンテンライオンは群れを作らず、基本的に単独行動です。そして縄張り意識が非常に強い動物だということです。また、子育て中の動物が攻撃的になることは他でもよく見られる現象です。
【第4問】マウンテンライオンに出会わないために人間はどうするべき?
a) グループで行動する
b) 音を出す
c) 早朝や夕方の時間帯を避ける
d) 上のすべて
マウンテンライオンは待ち伏せ型のハンターです。見えないところから、不意をついて敵や獲物に襲い掛かります。警告はありません。
トレイルランナーやマウンテンバイカーは速く動くため、マウンテンライオンに脅威と見なされる可能性も高まるようです。安全性を高めるためにはどうすればよいのでしょうか?
正解は「d)上のすべて」です。用心に越したことはありません。
ところが困ったことに、私自身はひとりで黙々と走ることを好みますし、それも大抵は早朝の時間帯です。景色はきれいだし、空いているし、涼しくもあるからです。マウンテンライオンから身を守るためには好ましいとは言えない行動パターンなのですが、性格なので仕方ありません。アウトドアは危険を承知で楽しむものだということは肝に銘じようと思います。