葛飾区・葛西神社にある高さ2.5mの登れる富士山へ【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.86】
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    2024.10.01

    葛飾区・葛西神社にある高さ2.5mの登れる富士山へ【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.86】

    葛飾区・葛西神社にある高さ2.5mの登れる富士山へ【プロハイカー斉藤正史のTOKYO山頂ガイド File.86】
    東京23区内、特に山手線の内側はビル街や飲食店街、住宅街ばかり。そう思っている人が多いかもしれません。でも、目を凝らせば東京都心にも「山」はあります。そんな東京の山の世界を、日本で唯一のプロハイカーである斉藤正史さんが案内します。

    FILE.86は、葛飾区の金町富士です。

    第86座目「金町富士

    今回の登山口は、JR金町駅です

    JR金町駅南口登山口。

    今回の登山口(最寄り駅)は、。JR金町駅南口。またも初めての駅です。

    正直、今回も目的の山までストーレートに行くとかなりの駅チカです。地図を見てルートを考えたのですが、金町駅北口から目指すのが最短です。でも、今回も記事に書けるネタを探しがてら、南口側から少し遠回りをして攻略していきたいと思います。ということで、JR金町駅南口登山口から西に向けて出発です。

    近いようで遠い江戸川土手への道のり

    特になにもないまま旧水戸街道を渡り、ここから先は住宅街です。大きなマンションの前を通り、江戸川の土手方向を目指して歩いていきます。

    高さ制限のバーが掲げられた路地に入ったのですが、高さが2.6mもあるのに結構ぶつかっている様子です。トラックの方はご注意下さい。そして、道は住宅街から金町バイパスの下を歩いていきます。

    結構ボコボコになっている高さ制限のバー。

    地図上では江戸川沿いの道を進みますが、川の上を通る橋があって景色は特によくありません。とりあえず、江戸川の土手に着けばきっといい景色があるはずと期待して、金町バイパスの下をくぐって手に伸びる階段を登っていきます。

    橋のたもとまで行くと、歩道がふさがれて金町バイパスは渡れませんでした。困ったぞと思いつつも、いったん遠回りしていくしかないと覚悟を決め土手を降りていきます。

    金町バイパスに阻まれて土手に行けず…。

    遠回りしたけど川沿に歩くのは気持ちがいい!

    土手を降りると、歩いている人は僕ぐらいなもので、他は自転車の方が圧倒的に多くいました。結構なスピードで自転車を走らせているので注意しないといけませんね。

    土手を登り切ると…道路を挟んだ目の前に今回の目的地、葛西神社の外壁が見えるのですが、入り口が見当たらない。しかも、土手のすぐ下を通る江戸川堤防線を渡れる場所もありません。ふと遠くを見ると信号機があるようです。

    ぐるっと回っていかないといけないようです。グーグル先生は気まぐれで、この連載の山行でもかなりの確率で正面入り口までは案内してくれません。今回も諦めて遠回りすることにしました。旧水戸街道を通って分岐まで来ると、ようやく葛西神社の入り口にたどり着いたのでした。

    遠回りの末に目的地に到着

    葛西神社

    創建は、1185年(元暦2年)。当時は上葛西、下葛西合わせた三十三郷(現在の行政区分では、東京都葛飾区、江戸川区の全域、墨田区、江東区、足立区の一部地域)の総鎮守として葛西三郎清重公の信仰により、香取神宮の分霊を祀ったのが始まりだそうです。

    厳島神社(祭神 市杵嶋姫神)、諏訪神社、稲荷社(祭神 倉稲魂神)、葛西天神社(祭神 菅原道真命)、三峯神社(祭神 日本武尊)、富士社(祭神 木花咲耶姫神)、神明社(祭神 天照大御神)、道祖神社(祭神 猿田彦神)、水神社(祭神 罔象女神)、金町招魂神社と数多くの摂末社(※)を務めています。

    ※摂末社(せつまつしゃ)とは、神社本社とは別に、その神社の管理に属し、その境内または神社の附近の境外にある小規模な神社のこと。

    葛西神社の正面入り口はなかなか重厚な構え。

    この葛西神社、「祭囃子発祥の地」と言われています。祭囃子(葛西囃子)は城東地域(東京東部)に古くから伝わる郷土芸能の一つです。起源について明確に記載された文献は残されていませんが、通説としては享保年間に葛西神社の神官、能勢環(のせたまき)が敬神の和歌に合わせて音律を工夫して和歌囃子として村の若者に教え、御神霊をお慰めしたのがその起源とされているそうです。

    さらに、神社の境内で「金町コカブ」の案内板を発見しました。金町コカブは、明治末期に金町(現在の葛飾区東金町)の長谷緑之助が、下千葉中生というコカブを4月に早どりできるように改良したそうです。当時は、千住市場に出荷され、新カブと言われ高級料亭等に高値で取り引きされていたそうです。その後は金町一帯で広く栽培されるようになり、さらに、東京から全国に広まったカブの品種です。「金町コカブ」は春に花芽が出にくい性質をもっているため、春の栽培がしやすい特徴を生かして、金町周辺では盛んに生産が行なわれていたそうです。

    「金町コカブ」の案内板。

    そして!「千住ネギの産地」の案内板もありました。

    葛飾区北部にあたる金町、水元、新宿地区一帯は、昭和の中期まで千住ネギの産地として全国的にも有名でした。もともと千住付近(現在の荒川区と足立区にまたがる地域)にあった古い「熊手ネギ」や「砂村ネギ」などから選抜改良して、良質な「根深一本葱」を競って作りだし、これらを総称して「千住ネギ」と呼んでいたそうです。中でも金町が生んだ「金長(きんちょう)ネギ」は、その品質の良さから全国的に広く作られたそうです。

    こちらは「千住ネギの産地」の案内板。

    なんだか非常に情報量の多い葛西神社。なかなか目的の富士塚までたどり着きません。

    割愛しますが、葛西神社には他にもいろいろ見どころがあります。そうしたものを眺めつつ、神社の荒川側の奥まで来ると、ようやく今回の目的地、金町富士がありました。

    富士塚はこの先直ぐです。

    金町富士

    いわれや起源はわかりませんでしたが、1906年(明治39)に江戸川の改修工事で一度崩され、1911年(明治44)に新たに築造されたのが、現在ある富士塚だそうです。高さは2.5mとあまり大きくはありませんが、良く整備されています。参道の途中には三合目、四合目などと刻された岩もあり、何時でも登れます。

    金町富士は登れます!

    葛西神社の情報が多すぎて、本来の富士登山が薄味に感じられます。が、いろいろ遠回りもしましたが、長い道のりを歩いてきた甲斐があったなぁと思える良い行でした。

    次回は葛飾区の飯塚富士です。

     ※今回紹介したルートを登った(歩いた)様子は、動画でもご覧いただけます。

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。

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