【野宿できない独裁国家ウズベキスタン/中央アジア】 余興は闇夜の闇両替え、名物は札束。
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    2018.05.18

    【野宿できない独裁国家ウズベキスタン/中央アジア】 余興は闇夜の闇両替え、名物は札束。

    軽キャンピングカーで、世界半周中の放浪夫婦です。
    稚内からサハリン島へ渡り、シベリアの大地を爆走。モンゴルで道草したのち、中央アジアに入りました。南アフリカの喜望峰を目指す、無期限無軌道ドライブです。
    ガイドブックにない隠れ家的パワースポットや絶景・奇景を見つけ出しては、「マイ秘境」と呼んで喜んでいます。

    写真までチェックする国境

    吹雪のキルギスを越えて、ウズベキスタンに入ります。中央アジアの北朝鮮と恐れられる独裁国家です。都会を避けて、チェックのゆるそうな農村の国境を狙いましたが、スマホの写真までチェックする嫌らしさ。どんな写真がご法度か知りませんが、ハードディスクは不可視ファイルにして隠蔽中です。
    右ハンドル車は禁止との噂が入ったので、バレませんようにと祈りながら、カスタムへ出頭。幸いにもお咎めなし。

    闇両替えは、闇夜の路地裏

    国境から一番近い街は、すでに夜。
    Yukoがひとり、雑踏に紛れて闇両替え屋を探します。40US$の闇レートは、1,000スム札200枚。この札束を街灯のない路地裏で数えるのですから、いつ強盗に襲われるかと手の震えが止まりません。
    翌日、ふたたび闇両替え屋を探してバザールに潜入したYuko。いつまで経っても戻らず、行方不明。誘拐されたんじゃないかと八百屋のおじさんが脅すものだから、ふたりでバザール中を捜索したものです。しばらくして、胸に札束をいっぱい抱えて戻って来ました。
    闇両替えと札束は、ウズベキスタンの名物です。たかが400US$が下の写真のありさまですから、財布が泣いています。

    野宿できない外国人登録証

    ウズベキスタンで面倒くさいのは、外国人登録証と呼ばれるレジストレーション。泊まった宿が発行するので、駐車場に寝泊まりできません。それなのに、多くの宿は外国人の宿泊禁止。宿を探して夜の街を右往左往し、道を尋ねては法外なチップを請求され、宿を見つけても、外国人料金という差別待遇。
    観光客なんですから、もう少し優しくしてくれませんかね。

    警察だらけで、安全な気がしない

    首都のタシケントに入り、トルクメニスタン大使館でビザを申請します。地下鉄の入口に警察官、改札口に警察官、ホームに警察官。辻辻に警察官、すれ違う警察官。安全なんだか、危険なんだかよくわからない圧迫感です。
    軍事施設は写真撮影禁止。たかが地下鉄ですら軍事施設なので、むやみにカメラを出せません。居心地の悪い首都です。

    札束3つもご馳走さま

    街を走る多くの車はDAEWOOとChevroletで、同じデザインです。韓国とフランスの共同統治かと思いきや、双方ともGMなんですね。
    縁をいただいて、某企業の駐在員にディナーをご馳走になりました。お支払いは札束三つ。厚さ四センチ!
    こんな大金で奢ってもらったのは、初めてです。

    ガソリンはブラックマーケット

    ウズベキスタンは天然ガスの産出国なので、多くのガソリンスタンドはガスのみ。地図アプリの「MAPS.ME」で、ブラックマーケットを探しだすと、道路におじさんがぽつんと立ってました。1リットルおよそ80円。オクタン価80です。

    賄賂を請求しない警察官

    警察検問は1日に数回以上ありますが、カザフスタンやキルギスのように賄賂を請求しません。車の保険証書すら調べず、ナンバープレートが汚いと叱られただけ。
    ハイウェイをよく馬車が走っています。ロバだったけれど。

    負のパワースポットは、船の墓場

    船の墓場を目指します。ソ連時代、川から農業用水を取りすぎたため、アラル海が急激に縮小。取り残された船の残骸です。
    現地の宿代が一泊70US$もするので、タクシーを飛ばしました。片道6時間。かつては海と呼ばれた場所で、草を食む牛。ウズベキスタンの負のパワースポットは、地球最大の環境破壊です。

    文武両道のパワースポット

    ウズベキスタンの遺跡は、他では見られない独特な碧色。偶像を禁止したために、凝りに凝った細かな紋様。シンプルながらも圧倒的な迫力です。
    注目すべきは、文武に長けたプフラヴァン師が眠るプフラヴァン・マフムド廟。文武両道のパワースポットとして、お子さんの学業成就にどうぞ。

    汚い車は叱られます

    シルクロードを西へ流れて、トルクメニスタンを目指します。
    ウズベキスタンに勝るとも劣らない独裁国家で、有名なのは初代大統領のユニーク過ぎる政策。メロンが好きだからメロンの祝日とか、金歯禁止とか、ヒゲ禁止とか、いろいろ。
    ビザはトランジットの5日間だけです。汚い車は叱られるというので、3US$で洗車しました。

    深刻な米ドル不足

    深刻な問題がひとつ。米ドル不足です。
    トルクメニスタンの次の国イランは、西側陣営の銀行カードやクレジットカードは使えません。アメリカと断交していながら、命綱は米ドルのみなのです。
    銀行に交渉して、クレジットカードで1,000US$をゲットしました。

    次回は、ユニークすぎる独裁国家トルクメニスタン。
    インターネットが禁止されていると言うし、それよりもなによりも会う人がみな、訊くのです。
    「トルクメニスタンって車で行けるんですか?」

    【ウズベキスタン・ドライブ情報】
    ビザ:要(30日間/US$15)
    車の保険:4US$(闇レート換算)
    レジストレーションカード(外国人登録証):宿で取得
    アウトドアな宿泊:なし
    SIMカード:外国人はBeelineの本店のみ取扱い。外国人登録証が必要(/1GB/闇レートで6US$)
    道路状況:舗装
    最新国境情報:Web site「The Silk Road Travel Guide」https://caravanistan.com/border-crossings/
    取得したビザ:トルクメニスタン(トランジットビザ5日間/特急料金55US$)
    警察官:賄賂なし

    石澤義裕・祐子
    住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。

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