ここもまたタヒチらしい「水上バンガロー」で有名ですが、今回の旅の目的は「のんびりじゃないタヒチ」「アウトドアアクティビティー満載のタヒチ」を満喫すること。
というわけで第3弾はモーレア島のアクティビティーとしては、「もうレア」な登山に行ってきました。
どうも。前々回、前回とガイドがオヤジだったため、オヤジギャクがうつってしまったオーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
謎の黒砂ビーチ、約80mの滝…タヒチのアウトドア的観光スポット【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
【タヒチ旅vol.3】鬱蒼とした長いジャングルを抜けると、そこは絶景!
タヒチ島からモーレア島へはフェリーでわずか30分です。人口約2万人。週末、特に3連休などは海外からの観光客だけでなく、タヒチ島に住む人たちが休暇に訪れ、人の数は3倍になるとのこと。
車も乗る結構大きなフェリーです。
今回の案内役はバランタンさん。この島のトレッキングガイドです。てなわけで「この島での最長のトレッキングってどこですか?」と早速質問してみました。すると「1番目と2番目に高い山は登れないのですが、3番目に高い山に登れて往復6時間の道のり」とのこと。
さらに「明日そのツアーをするんですよ」とニコニコ。…3時間のトレッキングツアーを前にした私の前でその話をするかなあ。まあ、質問したのは私ですが。笑
向かうのは島の中心部。地図でBelvedere Overlook(ベルベテール展望台)と書かれているところです。島の北側からアプローチします。
ピックアップしてもらったフェリーターミナルは地図の右上のあたり。島の北東経由で15キロくらいでしょうか。途中から山道とはいえまあ20分くらいで着くかなあと思っていたのですが…なんとバランタンが運転する車は島の南方向に進みます。
途中のホテルやコテージなどで合計4組8人のハイキングツアー参加者をピックアップするとのこと。てなわけで島をほぼほぼ1周して目的地であるベルベテール展望台に到着したのは、港を出て1時間半後。このあたりがツアーの悲哀です。
ツアーの悲哀と言えばもう一つ。前々回お伝えした「パペノオの谷」に続き、今回もまた私以外の参加者全員フランス人。笑
けどまあ向こうもこっちも母語ではないだけに、むしろ英語で会話しやすいかもしれません。「英語が片言で済みませんが…」なんて…謝るフランス人に人生で初めて会いました。笑
中央に見えるのが標高899メートルのロトゥイ山(Mount Rotui)。その両脇から海が見えるなかなかの眺めです。
右下の赤丸が現在地で。ここから紺色のルートをたどって地図の一番下のほうに向かいます。
我々が進むのは「Le Col des 3 cocotiers trail」で、片道4.3キロメートルで標高差は198メートル。でもアップダウンがあるので標準コースタイム3時間の往復コースです。
いざジャングル探検へ!
そしていよいよ登山スタート。…と言いたいところですが、最初のうちは「登山」というよりも、登ったり下りたりで全然標高を稼いでいる感じがしません。
でも退屈かというとそんなことはまったくありません。モーレア島は南緯17度。沖縄本島の緯度が北緯26~27度ですからそれよりもずっと赤道に近い。
そしてガイドのバレンタンが道中あちこちで興味深い話をしてくれます。こういうのがガイドといっしょに歩くトレッキングのいいところです。
モーレア島にはヘビも毒グモもいなくて(ヒアリは入って来たらしい)、「危険な動物は陸ではなく海にしかいない」とのこと。とはいえオーストラリア北部のようにワニがいるわけではなく、島のまわりのビーチは浅瀬なので危険な巨大サメなどが来ることもない(体長1.6メートルほどになるけれども人を襲うことはない「ブラックチップ」などのサメは泳いでいることはある)。
で、何が危険かというとオコゼ(英語で「ストーンフィッシュ」)なのだとか。針で刺さされると腫れるからです。というわけで浅瀬を歩くときは足を上げると踏みつけることがあるので、すり足にするといいとのこと。そうするとオコゼのほうが人間に気づいて逃げるのだとか。
まさに「原生林の中を進む」という雰囲気ですが…じつはこの島、そもそもはシダ類のみが生えていたそう。そこへポリネシア人が約50種類の植物を持ちこんで現在の植生の基礎ができたとのこと。
種を持ち運んだのかと思いきや「苗木」もだそうです。それだけでなくブタとニワトリ、そしてイヌも運んできたのです。それが可能だったのは双胴船のカヌーで二艘の間に床面をつくれたから。
てなわけでちょっとジャングル探検から寄り道して、大海原を渡る旅の話をしましょう。
みなさん、ポリネシア人のルーツはご存じですか? じつはなんと台湾の先住民とのことです。彼らがインドネシアやマレーシアに渡り、そこで混血して生まれたのが現在のポリネシア人なのです。
その後今のポリネシアに到着したのが紀元前950年頃。そこで定住した人たちもいますが、さらに東のイースター島へは紀元後300年頃、北のハワイ島へは400年頃、南のニュージーランドへ1000年頃渡ったそうです。
ものすごい広範囲ですよね。しかも陸続きではなく、どこに島があるかもわからない大海原を移動したのですから、本当に冒険心があふれる人たちです。
ちなみに「タヒチの人たちと、ニュージーランドとかハワイに住むポリネシア系の人たちとは会話は通じるんですか?」と何人かに訊いたところ、「ゆっくりしゃべったら通じないことないかも」という人と「たぶん無理」という人にわかれました。
「こんにちは」という意味の挨拶にしてもタヒチ語では「イァオラーナ」、ニュージーランドのマオリ語では「キアオラ」、ハワイ語では「アロハ」だからずいぶん違いますよね。
ガイドの説明が秀逸で「学び」も多い!
さて大海原からジャングルに話を戻しましょう。
バランタンが手にしている白い実は「キャンドルナッツ」。これを枝の先などにさして火をつけると文字通りろうそくがわりになるそうです。そしてタトゥーのインクにも使われるのだとか。
ちなみにろうそくがわりになるくらいだから脂分が多く、たくさん食べると下剤がわりになるそうです。ポジティブに書いてみましたが、要は腹を下すってことですね。
次にバランタンが手にしたのはワイルドハイビスカスの幹。
3週間水につけ、その後日陰に干して、ロープや腰蓑(モレ)の材料にするのだとか。このワイルドハイビスカスの幹はすごく軽くて丈夫なので、そのまま家づくりに使ったり、伝統的なカヌーとアウトリガー(浮き)をつなぐバーに用いられたりしたそうです。
そんな説明をところどころ挟みながら進みます。こういうのがガイドとのトレッキングの魅力ですよね。
そしていよいよ絶景の目的地へ!
ときおり視界が開けるようになったのは歩き始めて1時間半ほどしてから。標準コースタイムよりも時間がかかっているのは、途中立ち止まっての説明も多いからです。しかもフランス語のあと英語のバイリンガル解説。
そして歩き始めて2時間10分。とうとう目的地に到着しました!
なんだよ、その目的地~。ただの大きな木の下かよ~、あなたと私で仲良く遊ぶくらいしかできないじゃんと思われるかもしれませんが、じつはここからが360度の絶景!
そして南側には先ほども見たエメラルドグリーンの海が広がります。
ここで30分ほどのんびりしたあと来た道をもどります。
「ジャングル探検後の絶景」は日本ではなかなか味わえないもの。次回訪れたときは絶対に6時間の最長コースにチャレンジしたいと思います!
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
タヒチ観光局
https://www.tahititourisme.jp/
今回の「TAHITI DISCOVERY」ツアーに関する日本語での手配問い合わせ先(ただしツアーそのものは日本語非対応):タヒチ・ヌイ・トラベル
https://tahitinuitravel.com/(サイトは英語またはフランス語のみ)
日本語対応メールアドレス:japan@tahitinuitravel.pf