だけど悪いことばかりじゃないです。向こうもこっちも外国語である英語での会話。ネイティブの中に放り込まれてまくしたてられるよりもずっとラクです、これはマジで。
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
謎の黒砂ビーチ、約80mの滝…タヒチのアウトドア的観光スポット【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
【タヒチ旅vol.4】旅は相棒。当たり外れがありますが。笑!
さて今回のアウトドアアクティビティーは、パリオリンピックの馬術日本代表「初老ジャパン」の影響で競技人口が急増中という噂があったりなかったりする乗馬です。
「お前、乗馬なんてできたのかよ~」という声が聞こえそうですが、安心してください。初めてです。なぜか「乗ラクダ」は【オーストラリア中央部のアリススプリングス】とか【中東のドバイ】など、合計3回も経験しているんですが。
つまり今回は「体験乗馬」ってやつです。
相棒Aがまさかの…
まずは「相棒」を紹介しておきましょうね。トゥキ(Tuki)、9歳のオス。馬の寿命を尋ねたところ30歳くらいとのことだったので、「じゃあ人間で言うと25歳くらいですか?」と訊いたら「いや、16~18歳ですね」とのことでした。
あとで調べたら3歳馬は人間でいうと17歳くらいとのこと。人間と同じペースで成長するわけではないのでしようね。生まれてすぐに立つし。笑
さてじつは最初から私にこのトゥキがあてがわれたわけでありません。最初に用意してもらった馬についていた「鐙(あぶみ。足の裏を乗せる器具ですね)」に私の靴が入らなかったのです。
で、乗馬ツアーのインストラクターである2人の女性の間で、こんな会話が繰り広げられました。
インストラクターA「う~ん。しょうがないからトゥキに乗ってもらおうよ」
インストラクターB「えっ? トゥキに乗せるんですか? マジですか?」
インストラクターA「だって今から鞍(くら)とか鐙とか付け替えてる時間ないじゃん。他の人はみんなもう準備できてるんだから」
インストラクターB「…わっ、わかりました。トゥキを連れてきます。連れてきますけど…」
インストラクターA「安心して。責任は私が全部取るから」
2人の会話はフランス語なんで全然ジュヌコンプランパ(「わかりません」という意味です。大学で第2外国語にフランス語を選択した私が覚えている数少ないフレーズの一つ。笑)なんですが、インストラクターAの切羽詰まった表情とインストラクターBの不安げな顔つき、そしてまわりを取り囲むフランス人客たちの私に対する「市場に連れていかれる牛」を見るような憐みの目つきからして…いやいやいや、きっと初体験の乗馬への緊張から来る私の単なる妄想でしょう。はい、妄想妄想。
「乗ラクダ」のほうは3回やってますが、彼らは基本的に歩く動物(オーストラリアにも中東にも競馬ならぬラクダレースっていうのがあるのですがわざわざ走る訓練をするそう)。一方で馬は疾走する動物。同じ乗るにしても緊張感が違うのです。
てなわけでトゥキに乗ります。手伝ってくれたインストラクターBさんによると「すみません。じつはトゥキは食いしん坊なんで、ツアー中もしょっちゅう草を食べると思います」。
なんだよ~、そんなことなら全然問題ないじゃんと思ったのですが、その言葉の直後に突然暴れだすトゥキ。振り落とされるほどじゃなかったのですが、さすがに焦ります。
「私、何か嫌なことをしちゃったんですか?」とインストラクターBさんに聞いたところ(彼女たちは英語を話せます)、「嫌いな馬が近くに寄ってくると興奮することがあるんですよ」とのこと。
…げっ、やっぱり問題児か。とはいえ他人…っていうか他の馬のことは言えない私です。
「相棒。オレも昔は立派な問題児だったんだよ~」
まわりには悟られないように日本語で伝えたのですが無反応。まさに馬耳東風。笑 まあ馬にだけ日本語を理解しろというのが無理です。
「トゥキ。オレはユキだ。トゥキとユキでいいペアだね」と今度は英語で話しかけましたが、またまた馬耳東風。まあ、ここの馬たちはフランス語で話しかけられますからね。というわけで。
「トゥキ。ボンジュール」
…大学時代2年間習ったのにこの体たらく。笑
一方相棒Bと相棒Cは…
さて今回の相棒はトゥキだけではありません。
看護師で母親と一緒に参加していたエミさんです。彼女に「お互い写真を撮りあってあとでWhatsApp(メッセージングアプリ。日本でよく使われるLINEのようなものですが海外ではこちらが主流)で交換しない? それとジャーナリストで今回の取材も記事にするんだけど、エミ本人の写真とエミが撮った写真、使っていい?」と提案して快諾を得ました。
こういう写真を撮りあって交換する「相棒」を見つけることが特に一人旅では重要なのは、【ドバドバ!ドバイ旅vol.2】の絶景柵なし屋上ウォークでお伝えした通り。
ツアーは12頭くらいが隊列を組んで道を進みます。リーダーのインストラクターAさんが先頭で、しんがりが乗馬経験もあるということでエミ。で、私とエミが写真交換の話をしたことなど知らないはずですが、インストラクターAさんによって私がエミの前に配置されました。幸先がいいです。
そしてもう一人の相棒がいます。今まで「インストラクターB」として紹介してきたポエイチヘレ(Poeitihere)さんです。
名前はタヒチ語で「Lovely little pearl(かわいらしい小さな真珠)」という意味のとのこと。ここではもう4年間働いているとのことです。
このポエイチヘレがなんで相棒なのか。それは彼女が馬には乗らず、徒歩で隊列の横を行ったり来たりするのですが、基本のポジションは私の斜め前なのです。
みなさん、もうおわかりですね。はい、わが相棒Aであるトゥキを「マンツーマン」…というか「マンツーホース」マークするためです。いや、唯一フランス語を解さない私にマンツーマン対応をしてくれた可能性もなきにしもあらずですが。
そう考えると「自分以外の客は全員フランス人」のツアー、全然悪くありませんな。逆に「ブラボー」です!
とにかく。この2人の相棒がノリもサイコーで…。
安心してください。下品なジョークは飛ばしませんから。ただただ「両手に花状態」と言いたいだけです。
変化に富んだコース!
さて肝心の乗馬。決められたルートを隊列を組んで歩くのですが、コースは変化に富んでいて本当にあきません。
重心を考えて登りの際は前かがみに、下りの際は体を後ろにそらせると良いとのこと。このあたりもポエイチヘレがマンツーマン状態で教えてくれます。
乗馬というと「草原」とか「モンゴルの荒涼地帯」が頭に浮かんで、ハッキリ言って南の島でのイメージがわかなかったのですが、ジャングルを抜けたり神々しい山々に囲まれたりしての乗馬も素晴らしい経験です。
さて最初の予告通り、トゥキは道中まさにしょっちゅう道草を食います。で、ポエイチヘレに「トゥキには好きな葉っぱとか嫌いな葉っぱはあるんですか?」と聞いてみたところ「ある」とのこと。
でもそれはトゥキだけでなく、すべての馬に共通した好みとのこと。下に生えている葉にも好みはあるけれど、特に好物なのはバナナとかパッションフルーツの葉っぱだとか。少し甘みがあって水分も多いのだそうです。
「間違って毒の葉っぱとかは食べたりしないんですか?」と聞いたら、子どものころ母親や年長の馬たちからどれを食べるか教わるらしいです。馬はとても記憶力がいい動物とのこと。
そして大人の馬は草だけなら1日に100キロ食べるそう。もちろん草だけでそれほど食べさせることはできないので、果物や飼料も与えるのだとか。
さて「好き嫌い」というと「食べ物」だけでなく「馬同士」にもあるそう。そして「トゥキは特に好き嫌いが激しいですね」とのこと。…やっぱりそうだったか、トゥキ。
休憩時間(馬の食事時間)にいちばん嫌いな馬が近く来て、またトゥキが少し暴れてポエイチヘレが慌てて引き離しました。
それから隊列の前を歩くメスの馬も好きではないとのこと。ポエイチヘレによると「前に置くとトゥキが彼女を蹴るのでこの順番にしているんですよ」。
なんて説明してもらっているそばからその馬のお尻を噛んで、逆に後ろ蹴りを食らわされているあわれなトゥキ。笑 だったら彼らを離したらいいと思うのですが、すべての馬に好き嫌いがあるから隊列を組むのはそれなりに大変らしいです。
さてツアーにはなぜか人間を乗せない子どもの馬がついてきています。
生後6ヵ月。1歳馬は人間でいうと6歳くらいとのことなので、まだ3歳くらいの幼児といったところでしょうか。さすがにそれだと人を乗せられないのでしょう。
その馬はあちこち動き回るけれども、結局私の後ろ、エミが乗っている馬のそばに戻ってきます。聞けば後ろの牝馬の子どもなのだそう。ということは牝馬が出産したということ。
「競走馬のようにどの馬とどの馬かを決めて…カップリングさせるんですか?」。若い女性相手に言葉を選んで質問するオヤジ。「いえ、知らない間に妊娠しているんですよ~」。へえ~、そうなんだ。。馬だって恋したいよね、きっと。
さてこの乗馬体験、インストラクションも含めて2時間半。1頭と2人の相棒との時間をたっぷり楽しみました。
旅は道連れですね。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
タヒチ観光局
https://www.tahititourisme.jp/
今回の「TAHITI DISCOVERY」ツアーに関する日本語での手配問い合わせ先(ただしツアーそのものは日本語非対応):タヒチ・ヌイ・トラベル
https://tahitinuitravel.com/(サイトは英語またはフランス語のみ)
日本語対応メールアドレス:japan@tahitinuitravel.pf