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    2018.06.11

    最新ソロテントをリアル旅人ホーボージュンが徹底テスト!

    起きて半畳、寝て一畳。ひとりに必要なスペースとは一畳ほど・・・そう、ソロテントのような大きさだ。登山やバックパッキング、キャンプインフェス、バイクツーリング、あらゆるアクティビティの基本となる大きさ。自分だけの部屋、自分だけが使うものだからこそ、とことん選び抜きたい。2018年最新モデルを中心に合計8張を、テーマ別に対決形式にしてホーボージュンがテストした!

    全天候型フリーライター
    ホーボージュンさん

    テントを背負い世界中をさすらうアウトドアライター。自らのオリジナルテントをプロデュースするほどのテントマニアでもある。

     

     

     

    ROUND1 自立式ドーム対決!

    ソロテントの基本形ともいえる自立式ドーム。登山から自転車ツーリングまで幅広く使われている。ここではドームの基本構造を踏襲しつつ独自進化を遂げた2モデルを検証しよう。

    軽量化を追求した足元トリム型
    ザ・ノース・フェイス/ストームブレイク1 
    ¥23,000
    問 ゴールドウインカスタマーサービスセンター 0120-307-560
    https://www.goldwin.co.jp/tnf/

    軽さとシンプルさを極めたドームテント。ベーシックなドーム形状を台形に細く絞ることで軽量化を達成。耐久性を犠牲にしなくてもここまで軽量化できるという良い見本だ。

     

    ザ・ノース・フェイスストームブレイク1

    出入り口は側面(長辺 側)に設けてある。開 放感と換気性能に優れ るだけでなく、前室ス ペースが広く取れるの もメリットだ。

     

     ソロテントの大定番がクロスフレームのドームテント。2本のフレームを天井で交差させることでペグダウンしなくても自立するようにしたものだ。この構造はどの方向からの風に対しても耐風性が強く、重量も軽いため登山用テントのスタンダードともなっている。

     その自立式ドームテントの可能性をさらに推し進めたのが、ザ・ノース・フェイスのストームブレイク1とMSRのエリクサー1この2張だ。どちらも今年の新作で、ザ・ノース・フェイスのストームブレイク1はドームテントを「より軽くする」ことに、MSRのエリクサー1は「より広くする」ことに注力している。

     まずザ・ノース・フェイスは、足元の部分を大胆にトリミングし、床の形を長方形から台形にした。これによって重量のかさむボトム生地が減り、さらにフレームやフライ生地も少なくて済む。その結果フルフライ付きのダブルウォールテントでありながら1400gという重量を達成している。ミニマムな装備で行動したい人にはぴったりのモデルだろう。

     

    インナーテントはオーソド ックスな吊り下げ式。設営 が簡単で雨天の際にはイン ナーを先に撤収して濡らさ ないようにすることも可能。

     

     一方、床面積はそのままで広さを追い求めたのがMSRだ。

    居住性を追求したサブフレーム追加型
    MSR/エリクサー1
     ¥28,000
    問 
    モチヅキ ユーザーサポートダイヤル 0256(32)0860
    https://www.e-mot.co.jp/msr/

    2018年の新作モデル。2本のフレームを魚型に交差させ、そこにサブフレームを追加することで上部空間を広げた意欲作。メッシュパネルを多用していて開放感にも溢れる。

    MSRエリクサー1

    サブフレームのおかげでフ ライシートが大きく張り出 し、広い前室が出現した。 荒天によって停滞を余儀な くされたときでも快適だ。

     

     居住空間を広げるにはサイドウォールの立ち上がりを直角に近づけるのが王道。そのために過去いろいろな試行錯誤がされたが、中でも有名なのがフレームを天井の2か所で交差させるヴェシカパイシス型(魚の浮き袋型)だ。これは’80 年代にモステントが採用して人気を集めたが、MSRはこれにさらにサブフレームを加えてウォールの立ち上がりを直角に近づけている。

     中に入ってみるとじつにルーミー。小さなテントを広く感じさせるには目の高さ(床から80 ㎝ぐらい)を広くすることがポイントなのだが、エリクサーはそれを見事に実現している。天井のメッシュも開放感があって気持ちいい。晴れた夜は星を眺めながら眠るのもいいだろう。

    MSR横から

    真横から見るとサイドウォ ールが直角に近い角度で立 ち上がっているのがわかる だろう。これによって内部 空間が一気に広がった。

     

     

    ハブや余計な部材を追加す ることなく、最小限の構造 で天井にサブフレームを追 加している。このあたりの 合理的設計はさすがMSR。

     

     

    それぞれ魅力的な2タイプ。あなたなら「より軽く」と「より広く」のどちらを選ぶ?

    ROUND2 ウルトラライト対決!

    装備重量を極限まで削り、軽快に野山を駆け抜けるファストハイキングやバイクパッキングが大流行中。ここではそんな旅に使われる超軽量級の最新モデルを比較してみよう。

    極限まで重量を削りなんと本体485g
    テラノヴァ/レーサーパルス1
     ¥59,800
    問 
    ケンコー社 06(6374)2788
    http://www.kenkosya.com/

    シンプルな1本ポールのトンネル型テントで重量を最小限に抑えながら最大限のスペースを提供。本体重量は485g、総重量は545g。パックサイズはペットボトルほどしかない。

     ウルトラライトブームやファストハイキングの隆盛を受け、ソロテントも劇的に軽量化が進んでいる。今年はついにダブルウォールでありながら本体重量500gを切るモデルが登場し、業界をざわつかせている。
     といっても軽ければすべてを許すワケじゃない。そこでここでは今年デビューした最新モデルを徹底検証してみよう。
     まず世界最軽量のダブルウォールテントであるテラノヴァのレーサーパルス1。これはフライに7Dという極薄素材を採用し軽量化を突き詰めたモデル。
     フォルムは「モスラ型」ともいうべきミニマルデザインで居住性は決して良くないが、寝るだけならなんの問題もない。タープやシェルターに比べれば風雨にも強く、いやな虫も避けられて至極快適に過ごせる。

     ただし設営にはかなり手間がかかる。きちんとペグダウンしないとしっかり張れないし設営手順も独特で、雨や強風下で立てるにはかなりの熟練が必要だ。485gという圧倒的数値は使い手にそれなりの覚悟を求める。

     

    インナー

    本体生地には極薄の 7Dナイロンを採用。こ のように向こう側が透 けて見える。生地だけ でなく張り綱やジッパ ー類も徹底的に軽量化。

    ペグ

    付属のペグ。最初はな にかの冗談だと思った。 チタン製で重さは1本 1g。8本付属で8g。軽 量化のためには涙ぐま しい努力が必要なのだ。

    何もかもが 極薄で極細!

    いっぽうニーモの新作はそういった「ツラさ」をとことん排除した設計。ビギナーに優しいULといってもいい。

    ハブを使ったY字型フレーム構造
    ニーモ/ホーネット1P
     ¥36,000
    問 
    イワタニ・プリムス 03(3555)5605
    http://www.iwatani-primus.co.jp/

     ハブを使ったY字型フレームで軽さと設営の容易さを両立。フライは10D、本体とフロアは15Dとすることで本体重量765g、総重量855gを達成。

     ポイントはハブを使ったY字型フレームで、最終的にペグダウンは必要なものの、フレームに本体を吊り下げればとりあえず自立する。この「半自立構造」のおかげでロケーションや天候にかかわらず素早い設営が可能なのだ。

    ニーモ

    本体には大胆にメッシ ュ素材を使い真夏や平 地でも快適に過ごせる。 小さいテントだが閉塞 感を感じにくい。

    フライシートは必要最低限 のサイズにトリミングして あり、しっかりと雨を防ぎ ながらもできるだけ軽くな るようなデザイン。エライ。

    内部空間を広げるために、本体の真 ん中部分をフックでつまみ、フライ シートと連結している。細かな工夫 だがかなり効果的だった。

     Y型フレームはクロスフレームに比べると内部空間が窮屈だが、本作はインナーテントをフライに連結して広げるなど工夫があり、とても快適に過ごせた。
     人力移動の旅では「軽さは正義」だ。しかしそれも程度問題。軽さを極めたモスラ型か、ハブを使った半自立型か、自分のスタイルとよく照らし合わせたい。

    ULテントだけど 居住性もいいね

    ROUND3 設営の早さ対決!

    長時間行動して疲れたときや、悪天候のときにはなるべく素早くテントを設営したい。そこでここでは数あるソロテントの中でも設営の早さに定評のあるモンベルのステラリッジ1とヒルバーグのウナ、2モデルを比較してみた。

    袋とじになったポールスリーブ式
    モンベル/ステラリッジ1
     ¥36,500
    問 
    モンベル・カスタマー・サービス 06(6536)5740
    https://www.montbell.jp/

    世界トップクラスの軽量性と剛性を実現した 本格的山岳テント。フライシートと本体は個 別でも買え、使用環境や山行スタイルによっ てカラーを変えられるようになっている。

     

     まずモンベルはポールスリーブの片方を袋状にし、片方からポールを差し込むだけで設営が完了するようにしている。この方法は比較的オーソドックスなのだが同社の面白いところは、袋状の先端に金属グロメットを付け、ポールエンドのチップが露出するようにした。これによって地面にスリーブが擦れて破損するのを防いでいるのだ。

    スリーブの差し込み口 は斜めになっていて入 れやすい。ポール両端 には滑り止め加工がさ れ、しっかり握れる。

    独自の「オートセットア ップスリーブエンド」 を搭載。ポールエンド が露出し、擦れや摩耗 からテント本体を守る。

     

     いっぽうヒルバーグは最初からインナーテントとフライを連結した「インナー一体型」とし、ポールを差し込むだけですべての作業が完了するようにしている。このタイプはポールが長くなるので重量的には不利だが、悪天候下でもインナーを濡らさずに設営できるメリットがある。

    インナーテント一体方式
    ヒルバーグ/ウナ
     ¥89,000
    問 
    エイアンドエフ 03(3209)7575
    http://www.aandf.co.jp/

    ペグダウンできない岩稜帯や硬い路 面でも即座に設営できる自立式。風 雪を分散させる構造のため悪天候に 強い。日本の気候に合ったメッシュ のインナーテントも別売りされる。

    インナーテントは平ゴムとト グルで連結されている。強風 でフレームがしなっても上手 く応力を拡散させる構造だ。

    インナーテントをはずせばシ ンプルなドーム型シェルター として利用することもできる。

    雪中泊を前提としたフルフラ イ構造。北欧の厳しい環境で 生まれただけに寒さに強い。

     

    ROUND4 前室の広さ対決!

    長期に渡るキャンプ生活や悪天候による停滞に嬉しいのが広い前室スペース。ここで調理ができるし、濡れたカッパや泥だらけの靴が置けるからだ。前室自慢の2張り、ライペンのドマドームライト1とテンマクデザインのパンダを比較する。

    立体的で大きな前室空間「土間」を持つドー ム型山岳テント。素材や縫製には山岳テント 「トレックライズ」で培ったノウハウが込め られているので重量も軽く、悪天候にも強い。

     日本家屋の伝統的な「土間」をコンセプトに作られたドームテントがドマドーム。フロアがないので荷物置き場や調理スペースとして自在に使える。また3本の等長フレームを半円球に組み合わせているので設営が簡単で、風雨にもめっぽう強い。さすがは老舗山岳テント専門ブランドの製品である。

    土間はこんなに大 きい。しかし本体 スペースは幅 75 ㎝ なので、横になる のがやっと

    フルフライを備え、 ドアを閉じると土 間スペースも完全 な個室になる。悪 天候でも安心だ。

     いっぽう三角錐のワンポールテントの半分を居住空間、半分を前室にしたのが「パンダ」だ。見た目のかわいさから女子のゆるキャンプで一大ブームを巻き起こしているが、じつはとても合理的な作り。ユーザーの使いこなし次第でさまざまな環境に対応する。価格も安いのでトライしてみる価値は充分だ。

    半分が前室のワンポールテント
    テンマクデザイン/パンダ
     ¥19,800
    問 
    ワイルドワン  028(651)0570
    https://www.wild1.co.jp/

    イラストレーターで女子キャンパー のこいしゆうかさんが考案した三角 テント。風通しの良いメッシュイン ナーを標準装備するが、別売りで用 途の広いナイロンインナーもある。

     

    インナーテントの反対側にも 出入り口があり、使い勝手が とてもよい。通気性も抜群だ。

    アウター単体で使うこ ともできる。開放感に 溢れ、ピクニックや海 水浴にも便利なのだ。

     
     
     
    ◎構成/ホーボージュン
    ◎撮影/中村文隆

     

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