起きて半畳、寝て一畳。ひとりに必要なスペースとは一畳ほど・・・そう、ソロテントのような大きさだ。登山やバックパッキング、キャンプインフェス、バイクツーリング、あらゆるアクティビティの基本となる大きさ。自分だけの部屋、自分だけが使うものだからこそ、とことん選び抜きたい。2018年最新モデルを中心に合計8張を、テーマ別に対決形式にしてホーボージュンがテストした!
全天候型フリーライター
ホーボージュンさん
テントを背負い世界中をさすらうアウトドアライター。自らのオリジナルテントをプロデュースするほどのテントマニアでもある。
ROUND1 自立式ドーム対決!
ソロテントの基本形ともいえる自立式ドーム。登山から自転車ツーリングまで幅広く使われている。ここではドームの基本構造を踏襲しつつ独自進化を遂げた2モデルを検証しよう。
軽量化を追求した足元トリム型
ザ・ノース・フェイス/ストームブレイク1
¥23,000
問 ゴールドウインカスタマーサービスセンター 0120-307-560
https://www.goldwin.co.jp/tnf/
軽さとシンプルさを極めたドームテント。ベーシックなドーム形状を台形に細く絞ることで軽量化を達成。耐久性を犠牲にしなくてもここまで軽量化できるという良い見本だ。
ソロテントの大定番がクロスフレームのドームテント。2本のフレームを天井で交差させることでペグダウンしなくても自立するようにしたものだ。この構造はどの方向からの風に対しても耐風性が強く、重量も軽いため登山用テントのスタンダードともなっている。
その自立式ドームテントの可能性をさらに推し進めたのが、ザ・ノース・フェイスのストームブレイク1とMSRのエリクサー1この2張だ。どちらも今年の新作で、ザ・ノース・フェイスのストームブレイク1はドームテントを「より軽くする」ことに、MSRのエリクサー1は「より広くする」ことに注力している。
まずザ・ノース・フェイスは、足元の部分を大胆にトリミングし、床の形を長方形から台形にした。これによって重量のかさむボトム生地が減り、さらにフレームやフライ生地も少なくて済む。その結果フルフライ付きのダブルウォールテントでありながら1400gという重量を達成している。ミニマムな装備で行動したい人にはぴったりのモデルだろう。
一方、床面積はそのままで広さを追い求めたのがMSRだ。
居住性を追求したサブフレーム追加型
MSR/エリクサー1
¥28,000
問 モチヅキ ユーザーサポートダイヤル 0256(32)0860
https://www.e-mot.co.jp/msr/
2018年の新作モデル。2本のフレームを魚型に交差させ、そこにサブフレームを追加することで上部空間を広げた意欲作。メッシュパネルを多用していて開放感にも溢れる。
居住空間を広げるにはサイドウォールの立ち上がりを直角に近づけるのが王道。そのために過去いろいろな試行錯誤がされたが、中でも有名なのがフレームを天井の2か所で交差させるヴェシカパイシス型(魚の浮き袋型)だ。これは’80 年代にモステントが採用して人気を集めたが、MSRはこれにさらにサブフレームを加えてウォールの立ち上がりを直角に近づけている。
中に入ってみるとじつにルーミー。小さなテントを広く感じさせるには目の高さ(床から80 ㎝ぐらい)を広くすることがポイントなのだが、エリクサーはそれを見事に実現している。天井のメッシュも開放感があって気持ちいい。晴れた夜は星を眺めながら眠るのもいいだろう。
それぞれ魅力的な2タイプ。あなたなら「より軽く」と「より広く」のどちらを選ぶ?
ROUND2 ウルトラライト対決!
装備重量を極限まで削り、軽快に野山を駆け抜けるファストハイキングやバイクパッキングが大流行中。ここではそんな旅に使われる超軽量級の最新モデルを比較してみよう。
極限まで重量を削りなんと本体485g
テラノヴァ/レーサーパルス1
¥59,800
問 ケンコー社 06(6374)2788
http://www.kenkosya.com/
シンプルな1本ポールのトンネル型テントで重量を最小限に抑えながら最大限のスペースを提供。本体重量は485g、総重量は545g。パックサイズはペットボトルほどしかない。
ウルトラライトブームやファストハイキングの隆盛を受け、ソロテントも劇的に軽量化が進んでいる。今年はついにダブルウォールでありながら本体重量500gを切るモデルが登場し、業界をざわつかせている。
といっても軽ければすべてを許すワケじゃない。そこでここでは今年デビューした最新モデルを徹底検証してみよう。
まず世界最軽量のダブルウォールテントであるテラノヴァのレーサーパルス1。これはフライに7Dという極薄素材を採用し軽量化を突き詰めたモデル。
フォルムは「モスラ型」ともいうべきミニマルデザインで居住性は決して良くないが、寝るだけならなんの問題もない。タープやシェルターに比べれば風雨にも強く、いやな虫も避けられて至極快適に過ごせる。
ただし設営にはかなり手間がかかる。きちんとペグダウンしないとしっかり張れないし設営手順も独特で、雨や強風下で立てるにはかなりの熟練が必要だ。485gという圧倒的数値は使い手にそれなりの覚悟を求める。
いっぽうニーモの新作はそういった「ツラさ」をとことん排除した設計。ビギナーに優しいULといってもいい。
ハブを使ったY字型フレーム構造
ニーモ/ホーネット1P
¥36,000
問 イワタニ・プリムス 03(3555)5605
http://www.iwatani-primus.co.jp/
ハブを使ったY字型フレームで軽さと設営の容易さを両立。フライは10D、本体とフロアは15Dとすることで本体重量765g、総重量855gを達成。
ポイントはハブを使ったY字型フレームで、最終的にペグダウンは必要なものの、フレームに本体を吊り下げればとりあえず自立する。この「半自立構造」のおかげでロケーションや天候にかかわらず素早い設営が可能なのだ。
Y型フレームはクロスフレームに比べると内部空間が窮屈だが、本作はインナーテントをフライに連結して広げるなど工夫があり、とても快適に過ごせた。
人力移動の旅では「軽さは正義」だ。しかしそれも程度問題。軽さを極めたモスラ型か、ハブを使った半自立型か、自分のスタイルとよく照らし合わせたい。
ROUND3 設営の早さ対決!
長時間行動して疲れたときや、悪天候のときにはなるべく素早くテントを設営したい。そこでここでは数あるソロテントの中でも設営の早さに定評のあるモンベルのステラリッジ1とヒルバーグのウナ、2モデルを比較してみた。
袋とじになったポールスリーブ式
モンベル/ステラリッジ1
¥36,500
問 モンベル・カスタマー・サービス 06(6536)5740
https://www.montbell.jp/
まずモンベルはポールスリーブの片方を袋状にし、片方からポールを差し込むだけで設営が完了するようにしている。この方法は比較的オーソドックスなのだが同社の面白いところは、袋状の先端に金属グロメットを付け、ポールエンドのチップが露出するようにした。これによって地面にスリーブが擦れて破損するのを防いでいるのだ。
いっぽうヒルバーグは最初からインナーテントとフライを連結した「インナー一体型」とし、ポールを差し込むだけですべての作業が完了するようにしている。このタイプはポールが長くなるので重量的には不利だが、悪天候下でもインナーを濡らさずに設営できるメリットがある。
インナーテント一体方式
ヒルバーグ/ウナ
¥89,000
問 エイアンドエフ 03(3209)7575
http://www.aandf.co.jp/
ROUND4 前室の広さ対決!
長期に渡るキャンプ生活や悪天候による停滞に嬉しいのが広い前室スペース。ここで調理ができるし、濡れたカッパや泥だらけの靴が置けるからだ。前室自慢の2張り、ライペンのドマドームライト1とテンマクデザインのパンダを比較する。
日本家屋の伝統的な「土間」をコンセプトに作られたドームテントがドマドーム。フロアがないので荷物置き場や調理スペースとして自在に使える。また3本の等長フレームを半円球に組み合わせているので設営が簡単で、風雨にもめっぽう強い。さすがは老舗山岳テント専門ブランドの製品である。
いっぽう三角錐のワンポールテントの半分を居住空間、半分を前室にしたのが「パンダ」だ。見た目のかわいさから女子のゆるキャンプで一大ブームを巻き起こしているが、じつはとても合理的な作り。ユーザーの使いこなし次第でさまざまな環境に対応する。価格も安いのでトライしてみる価値は充分だ。
半分が前室のワンポールテント
テンマクデザイン/パンダ
¥19,800
問 ワイルドワン 028(651)0570
https://www.wild1.co.jp/