鶏肉はなるべく手でさばくこと
師匠 水郷のとりやさん代表 須田健久さん
1921年創業、水郷のとりやさん4代目。学生時代は旅好きで(ペルーのマチュピチュがいちばんの思い出)、添乗員になりたかったが、「バードランド銀座」と出会い、焼き鳥に開眼。
弟子 編集 オガチン
BBQには塩が最高!
「キャンプだと豪快な塊肉が脚光を浴びますが、僕はビール片手にワンハンドで食べられる焼き鳥こそがBBQの王者だと!!」
と、ねじり鉢巻でやる気満々の編集・オガチン。それならば、丸鶏をさばくところから教わろうと、100年続く老舗、“水郷のとりやさん”の門を叩いた。
「鶏肉をさばくコツは、なるべく手を使うこと」
と、代表の須田健久さん。
「えっ、手ですか!?」
「包丁を入れれば入れるほど肉汁が流れてしまいます。肉の繊維を極力傷つけたくないので、切ってさばくというよりは、手で丁寧に剝がすイメージです。手バラシとも呼ばれています」
その言葉どおり、皮や筋などの切れにくいところだけ包丁を使い、あとは手で剝がしていく。
「解体したら、なるべく同じ大きさにカットし、串に刺します。ここまで家でやれば、あとはグリルで焼くだけだから簡単」
下ごしらえした鶏肉を携え、さっそくキャンプ場へGO!
「タレだと下に垂れて火力が弱まるので、BBQには塩が最適」
火をおこし、塩と酒をふりかけて網の上に並べる。
「これこれ〜!!」
串を持ってクルクル回す。
「本当はあんまりひっくり返したくないんだけど(笑)、BBQだからこまめに回して両面をよく焼くといいですよ!」
丸鶏のさばき方
●モモを剝がす
両モモの付け根に包丁を入れる。皮だけ薄く切るイメージ。
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切り込み部に親指を当て、背中側に脚を倒し股関節をはずす。
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骨盤の外側に沿って包丁で切れ目を入れる。反対側も同様に。
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筋や皮に切れ目を入れながら、脚を引っ張ってモモを剝がす。
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焼き鳥の場合、骨に沿って包丁を入れ、骨をはぎ取る。
●ボンボチを取る
お尻部分。骨と肉の隙間に包丁を入れて切り取る。希少な部位。
コラーゲンたっぷり。下側はペタという皮。
●ムネを剝がす
肩の関節の隙間に包丁を入れ、背中の中心に沿って切り込む。
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モモ同様、筋や皮に切り込みを入れながら後ろに引っ張る。
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高タンパク低カロリーのムネ肉。手羽ははずして別で焼く。
●背中と胸を剝がし、ササミを剝がす
鎖骨部分に包丁で切れ目を入れ、背中側と胸側に分ける。
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胸側についたササミに沿って上下に切り込みを入れ、剝がす。
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残った胴体はササミ2本とガラ、軟骨(中央)に分けられる。
串の刺し方
焼き鳥用の小肉にするときは、筋、脂を取り、大きさ&厚みを同じに切り分ける。
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筋肉の塊ソリを切り取る
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肉をつまんでテンションをかけながら串を刺す。焼けにくい根元には小さめの肉を刺すといい。
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肉の厚さが上下左右均等になるように刺すこと。串が斜めに刺さっていると焼きムラができる。
丸鶏から11本の串が完成。余った肉は食べやすい大きさに切り、タンドリーチキンに。
美味しい焼き方
均一に塩をふったあと、霧吹きでお酒を吹きかける。塩がなじみ、肉が柔らかくなる。
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串の持ち手側をアルミホイルで包む。じっくり焼いている間に焦げてなくなるのを防止。
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全体を同じ火力で焼くのが大切。回しながら両面をよく焼くこと。触って硬くなってきたらOK。
そのまま食べるもよし、タレをつけたり、バルサミコ酢やトリュフ塩をふればワインにも合う。串からはずして丼にも!
余ったガラで鶏ガラスープの作り方
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水と一緒に鍋に入れ、グツグツ沸騰してきたら弱火にして3時間ほどじっくり煮込む。
鶏雑炊
浅めの鍋に鶏ガラスープを沸かし、沸騰したら余った鶏の小肉、ごはんの順に入れる。
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鶏肉に火が通ったら卵を流し入れ、半熟状態になったらしょうゆを回しかける。塩を足してもOK。
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三つ葉を飾って完成。鶏の出汁が濃厚なひと皿。スープやカレーを作るのにも使える。
余った小肉でタンドリーチキン
タンドリーチキンのタレをよくもみ込み、1時間ほどおく。
オリジナルのタンドリーチキン用タレ¥540。
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フライパンやスキレットを中火にかけ、蓋をしながらこんがり焼き上げる。スパイシーな味わい。
創業1921年、老舗鶏肉専門店
水郷のとりやさん 須田本店
朝引きの鶏肉のほか、焼き鳥や唐揚げなどの加工品も扱う。イートインコーナーもあり、12種類の部位が味わえる「水郷どりまるごと一本」や親子丼が人気。
住所:千葉県香取市小見川270
電話:0478(82)2346
営業時間:9:00〜19:00(イートインのラストオーダー18:00)
定休日:水曜
※構成/大石裕美 撮影/西山輝彦
(BE-PAL 2024年11月号より)