マイ・プライベート・カツウラ
どうもどうも。記録的猛暑となったこの夏もその鞘に収まり、近頃はすっかり秋めいてまいりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
僕はといえばあいも変わらず、ライブと旅、そして波乗りに明け暮れる日々を過ごしています。
九州に住みながら、ありがたいことに月に一度は関東方面でのライブがいくつかあります。サーフボードと楽器を積んだ車を毎日のようにあちらこちらに走らせておりますが、自分でもよくこんなにも遠くまで頻繁に旅に出られるものだと感心するほどです、マジに。
しかしながら東京、あるいは湘南まで来ておいて、平日ぽっかりと三日あるいは四日間ほどスケジュールが空いちゃうこともあります。何せライブやイベントは週末に偏りがちなものでね。そんな時僕は千葉の「勝浦」へと向かうことがあるのです、はい。それは、ちょっとした静けさと気持ちのいい海を求めてね。
千葉のサーフスポットといえば真っ先にあげられるのはやはり 「一宮タウン」ではないでしょうか。ポイントの豊富さや波のバリエーションとクオリティの高さはもちろんのこと、さまざまな環境面においてサーフタウンとしてのエレメントが確立されていて、週末ともなれば、今や湘南と肩を並べるほどの賑わいを見せていますからね。
東京からのアクセスが良好なことに加えて、東ウネリに敏感な各ポイントは比較的コンスタントに波があります。それはそれは盛り上がる条件が概ね揃っていますもの。
パタゴニアの直営店ができたあたりからの勢いは目を見張るものがありました。昔からお住まいの方の中には、その変貌ぶりに驚いていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
僕もこのエリアには好きなポイントがありますし、サーフショップや飲食店を営んでいる友人もいます。一宮界隈でライブをさせてもらったり、イベントに出演したりしたことも数え切れないほどです。さらに波乗りについても、いい波をキャッチした思い出がたくさん残っています。
しかしながら、このような賑やかな場所ももちろん大好きなのですが、時に静けさを求めるのもまた人間の性です。ある時から僕は、特にプライベートタイムにおいては一宮から南へさらに車で40分ほどの、勝浦に通うようになりました。
愛すべき勝浦エリアとは
勝浦市へはアクアラインを走り抜けて、都心から車で約1時間40分。所要時間としては一宮町へのアクセスとさほど変わりはないかもしれません。
波のサイズはざっくり一宮のワンサイズダウンと思っていただいていいでしょう。しかし混雑っぷりもまた一宮よりグッとサイズダウンしますので、僕のようにどちらかというと人の少ないポイントを好む者にとってはピタリとはまるエリアなのです。
そして意外に思われるかもしれませんが、クラシカルなリーフのポイントが点在するのも特徴の一つです。
日常的にビジターも多いメインとされる「部原」のポイントや、歴史と伝統を誇る「マリブ」と呼ばれているポイントなどは、インサイドがビーチで形成されているリーフブレイクです。そのほかにもローカルサーファーが昔から大切にしてきたポイントがいくつもありますが、ここではあえてその名前は伏せておきます。
リーフブレイクの安定感のある波は、全国各地どこのポイントにおいてもその土地のローカルサーファーによって守られて来ました。従って僕らのような立場のビジターは、いかなる場合においても謙虚さを忘れるわけにはいきません。
僕は勝浦の海を訪れるたびに、サーファーとしての心得と言いますか、基本姿勢というものを学ばせてもらっています。
湘南がシネコンなら、ここはさながらミニシアター
さて、僕がこのエリアに通うようになったきっかけは、東京の友人たち数名がシェアスタイルで借りているサーファーズハウスが勝浦のとあるビーチの目の前にあったからです。そのメンバーのほとんどが平日は都内で仕事をしているので、使われているのはたいがい週末。そこで僕は平日に時々お邪魔して滞在させてもらっているというわけです、はい。
青々と茂る芝生の庭の向こうには、無垢で美しい太平洋が広がっています。ハウスの眼前のポイントは低気圧が過ぎた後などに地形がうまいこと決まれば、チュービーなビーチブレイクが現れます。そして何よりそのポイントにはほとんど人がいることがありません。タイミングによっては貸切のようにサーフィンを楽しむこともできます。
そしてハウスから少し歩けば、比較的空いているリーフのポイントもあり、ローカルサーファーの方々への配慮さえ怠らなければ、僕のような立ち位置のサーファーも十分楽しむことができるのです。
このような環境に巡り会えたことは、僕の人生においてとても貴重でありますし、ある意味宝物のようなものです。まさに友人との良き出会いがもたらしてくれたギフトですね、ほんと。
勝浦は一宮や湘南のような華やかさこそないかもしれませんが、人工物の少ない自然豊かな海岸の風景と、昔ながらの漁師町が醸し出すシックな雰囲気が、時々訪れる僕に極上の癒しを与えてくれます。
人々もなんとなくシャイといいますか無骨な印象を受けますが、懐に入ってしまえばとても温かいように思います。どことなく物静かでなんとなく凛とした街全体の佇まいは、僕の感性にピッタっと寄り添ってくれる。従ってとても居心地がいいのです。
映画に例えるならばスピルバーグ作品って言うよりもジム・ジャームッシュのモノクロの世界といったところでしょうか、『Down by law』的なね。車で言うとトヨタ日産っていうよりスバル的なね。ロレックスのサブマリーナーっていうよりオメガのスピードマスター的な。
アフターサーフには得意なスパイスカレーを
そして波ですが、ひとたび台風のスウェルが入ってくれば、勝浦のそのポテンシャルの高さは他のエリアに決して引けを取らないものがあります。安定したリーフの地形が、想像以上のロングライドを約束してくれることも少なくありません。
僕もメインやその他のポイントでたくさんいい波を味わわせてもらいましたよ、これまでに何度もね。さらに言うとライトの波がブレイクするポイントが多いのでね、僕のようなレギュラーフッターにはたまりません。おかげさまでレフトの波、いわゆるバックサイドは一向に上手くなりませんが。
ところで勝浦滞在中、僕はほとんどの場合自炊をします。熊本から持参した自家製のお米を炊いて、近所のマーケット(主にベイシア)で買い出しをして、適当な料理を作る。勝浦は海産物ばかりでなく農産品も質の高いものが安価に手に入りますから、外食ばかりではもったいない。
ハウスには立派なキッチンもありますしね。僭越ながら僕がこのサーファーズハウスを訪れるようになって、料理を作ると言う習慣がこのハウスの仲間達にもかなり定着したようです。人と人ってコミュニケーションを通して共鳴しながら、徐々にライフスタイルを変化させていくものなんだなと実感しています。
今回海上がりに僕が作った夕食のメニューは、「ほうれん草ともやしのナムル」、そして「スパイスチキンカレー」です。ナムルは初挑戦でしたが、なんとなくこれまでの経験からくる引き出しによるノリと雰囲気で作ってみましたが、予想以上にうまくいきました。すり下ろしたニンニクの風味がサーフィン後のビールにマッチします。
その日はサーフィンしかしていませんが、何かを、あるいは一日を無事に生き抜いた後のビールってなんて美味しいのでしょう。噛み締めるようにハートランドを飲みながら、こんなことを思いました。好きなことしかやってこなかったわがままな人生だけど、何一つ後悔することはないな、とね。
カレーはこれまでに数え切れないほど作ってきたのでね、スパイスやその他塩などの調味料含め、勘を頼りにだいたい上手く作れます。下手すると目を瞑っても作れるかもしれません。でも本当に目を瞑って作ると、おそらく指を切ったり火傷したりするでしょうね。
平日の僕の滞在に合わせて来てくれた、ハウスのオーナーである友人二人も喜んで食べてくれました。飲みながら食べながら語るのは、今日の波について、そして明日の波の僕らなりの予想など。
「〇〇くんのあの一本はヤバかったね!」
「いや、東田くんこそいい波いってたじゃないすか〜」的なお互いの賞賛から始まり、
「明日サイズアップするかも。風が南よりだから、あの〇〇ポイントがいいかもね」
「いや、意外と今回の波、早く終わっちゃうかもだから朝イチにエントリーした方がいいかもよ」
って具合にね。
時々そこから昨今の世界情勢や、政治経済の話へと中途半端に発展することもありますが、気の合う仲間同士だと何を話してても楽しいものです。打ち寄せる波の音を窓の向こうに聴きながら、こうして静かで安らかな勝浦の夜は更けていくのです、うん。
勝浦サーフシーンに欠かせない2大スポット
さてここで勝浦サーフシーンに欠かせないホットスポットを二箇所ご紹介したいと思います。
「マイ・ガール」はノスタルジーにどっぷりと浸れる老舗の喫茶店。マリブポイント黎明期からその海を見つめてきたマスターが、クラシックな喫茶店メニューでハングリーなサーファーのお腹を満たしてくれます。
落ち着いたお店の雰囲気は、まさに勝浦の町の空気感を象徴しているかのようでした。
商店街の路地の一角の2階にあります。勝浦観光がてら是非立ち寄ってみてください。僕が注文したのは、ボリューミーな「クリームチキン」というチキンライスにホワイトソースがたっぷりとかけられたオリジナルメニュー。
このお店の歴史がぎゅっと詰まったような濃厚さに圧倒されつつも、アフターサーフにはベストチョイスでした。友人が食後に注文したアイスコーヒーのカップのカッコよさがとても印象的でしたね。
それから、おそらくどなたかのお手製のものだと思いますが、勝浦のサーフシーンの歴史を貴重な写真と一緒にまとめた小冊子が、本棚にひっそりと置いてあります。その中に収められている、‘70年代のマリブポイントの写真には実に驚かされました。バイパスが無かった時代の海岸線、オールドローカルの皆さんが集まっていたクラブハウスとされていた小屋、初めて行われたコンテストの様子などなど。
それにしてもページを捲るごとに、ローカルサーファーの皆さんへの尊敬の念のようなものが自然と胸中に立ち上がってきます。いつの時代も何処においても、サーフシーンにおける「ローカリズム」はやはり最も尊重されるべき文化だと言うことを改めて痛感したものです。
それから僕もとても親しくさせてもらっている、今の勝浦サーフシーンを牽引する存在の江澤俊介氏が新設したサーフショップ「KOA LOCALS」。
シンプルかつモダンな外観と、緑豊かなローケーションがめちゃくちゃイケてます。そして取り扱っているボード、ギア、アパレル全てがハイクオリティーかつワールドスタンダードなのです。
とあるポイントの近くにあり、駐車場としても利用できますし、ビジターや初心者も歓迎してくれることでしょう。
勝浦のサーフシーンの現在点や、各ポイントにおける注意事項など、きっと懇切丁寧に教えてくれるはずです。頼りになる兄貴的な存在の江澤シュンくん。僕も時々彼と海に入る機会に恵まれるのですが、こと勝浦の海の上においては彼ほど頼りになる存在はいないかもしれません。暗い夜道を優しく照らしてくれる街灯のようにね。
オープンしたばかりの初々しくも落ち着きのある「KOA LOCALS」は、これから勝浦の最重要スポットとなることは間違い無いでしょうね、マジで。
さてこのようにね、少しだけ男臭くて、ちょっぴりシャイで、それでいて温かい質実剛健とも言うべき勝浦サーフカルチャーシーン。僕は一人の名もなきビジターとして最大限のリスペクトを胸に秘めつつ、これからも楽しくその海で自分自身を磨いていけたらと思います。
今週のアウトドアにおすすめの曲
ジェイムス・テイラー「Something in the way she moves」
この曲のイケてる渋さは勝浦のイケてる感じとイコールです。
東田トモヒロNEWS
Tomohiro Higashida Live in BALI 2024 2024.12.7(SAT)
〜 LIVE Packages プラン詳細 〜
【ライブ日時】
2024年12月7日(土)18:00~ 開場18:30~ LIVE Start
☆ブッフェスタイルディナー付き☆ドリンクはキャッシュオンスタイルとなります。
【ライブ会場】
スミニャックエリアのレストランにて(滞在ヴィラ内)
【滞在先ヴィラ】
ライブ会場となるスミニャックのヴィラに12/7~9 の2泊3日ご滞在となります。☆朝食付き☆専用バスルーム/トイレ、キッチン付き☆キングサイズまたはクイーンサイズベッド×1台
【参加費】
US$ 350-含まれるものは以下となります。
・東田トモヒロ LIVE in Bali 参加費・ライブ時のディナー(ブッフェスタイル)・12月7日8日 2泊宿泊費(1名1室ご利用)・朝食2回分(ご滞在先のヴィラにて)
【ご留意事項】
US$となるため、1US$=150円換算での52,500円にてお振込頂きます。・ライブ会場となる現地ヴィラ集合・解散のパッケージプランとなります。原則ヴィラまではご自身にてお越し頂きますが、送迎アレンジ等ご希望の場合は別途ご相談ください。・2名1室またはご家族で宿泊ご希望の方は別途アレンジ可能ですのでご相談ください。(価格変動有り)
・ライブ会場、滞在先はスミニャク地区を予定しております。ヴィラ詳細につきましては、ご予約後に改めてご案内させて頂きます。
【お問合せ先】PLAY THE EARTH事務局
info@play-the-earth.com
03-5367-9343
Tomohiro Higashida LIVE in BALI 2024
【2024.12.20(FRI) 東田トモヒロ&SLOW JAM 「 Year End Live 」@ 横浜THUMBS UP】
2023/12/20(FRI)@横浜THUMBS UP
OPEN 18:00/START 19:00
ADV¥3500/DOOR¥4000
※小学生以下無料、学割2000円
1ドリンク+1フードのオーダーをお願いします。
■LIVE
東田トモヒロ&SLOW JAM
小山善章(Bass)
三好正晃(Gt)
山口大輔(Drums)
Opening Act
AKILA / 81FARM ORGANIC
■DJ
EZZY
■SHOP
フタバフルーツ
■TICKET&INFO
横浜THUMBS UP
横浜市西区南幸2-1-22 相鉄Movil3F
TEL:045-314-8705
https://www.stovesyokohama.com/