ガスカートリッジの種類を解説
CB缶の特徴
CB缶は「Cassette Bombe」の事で、いわゆる家庭用カセットコンロで使えるガス缶のこと。優秀なのは、このタイプのガスは誰もが使ったことがあるので使用に対して恐怖感が少ないこと。
また、いざとなったらどこでも手に入るのが大きなメリットだ。そのかわり、寒冷地仕様のガスもあるもののどうしても寒さに弱いデメリットがある。手軽さという視点ではCB缶タイプが優秀。
OD缶の特徴
OD缶は「OUTDOOR缶」の略で、もともと山岳などアウトドアでの使用にデザインされたガス缶。大中小様々なサイズがあるのと、過酷なアウトドア環境でも安定的に使用できるのがポイント。
ただし、アウトドアショップなどでしか入手できないというデメリットもある。OD缶タイプは、僕自身が標高7000mの山でも使っていたこともありアウトドアでの使用にはCB缶より断然強いと感じている。
▼参考記事
CB缶とOD缶を比較!ランニングコストや耐寒性は?
CB缶とOD缶の具体的な違いについて解説していこう。
耐寒性
耐寒性は言い換えると「どのくらい寒い場所で使えるか?」ということ。 こちらに関しては、アウトドアユースを前提としているOD缶の方が優秀だ。具体的にどのくらい違うかはどのメーカーのガスを使うかにもよる。下の表は、CB缶とOD缶の実際の製品を比較したもの。
製品名 | 缶のタイプ | 使用可能温度 |
イワタニ カセットガス |
CB缶 | 10度C〜 |
イワタニ カセットガスパワーゴールド |
CB缶 | 5度C〜 |
IWATANI PRIMUS ノーマルガス |
OD缶 | 5度C〜 |
IWATANI PRIMUS ハイパワーガス |
OD缶 | 0度C〜 |
使用温度を下回ると、ガス缶の中の燃料が液体から気化できず、火が弱くなったり着火できなくなる。つまり「ガス缶の耐寒性が高い」というのは「より低い温度でも気化できる燃料が充填されている」ということ。
春夏秋はさほど問題にならないが、晩秋〜冬にキャンプをするならおさえておくべきポイントだ。
ランニングコスト
OD缶の方がCB缶より価格は高い。理由の1つとして、耐寒性の高いガスの方が高価であることが挙げられる。メーカーによっては、中身を耐寒性の低いガスにして価格をおさえた春夏秋用のOD缶も販売している(ノーマルガス、レギュラーガスなどの名称で販売)。
しかし、基本的にはノーマルガスのOD缶でもCB缶より価格は高い。下表のように、基本的にCB缶とOD缶を比較するとCB缶の方が安価。よって、燃料のランニングコストはCB缶の方が優れている。
商品名 | 種類 | 内容量 | 価格/1本 |
イワタニカセットガス | CB缶 | 250g | 440円 |
イワタニカセットガスパワーゴールド | CB缶 | 250g | 568円 |
IWATANI PRIMUS ノーマルガス | OD缶 | 230g | 550円 |
IWATANI PRIMUS ハイパワーガス | OD缶 | 225g | 715円 |
※メーカー小売希望価格。店頭価格ではCB缶とOD缶の価格差はさらに大きい傾向がある。
コンパクト性
形状的に、縦長のCB缶よりOD缶の方がバックパックへの収納性は高い。また、OD缶は丸型の鍋などのクッカーにも収納(スタッキング)できるため、その意味でも携帯性に優れている。CB缶にはコンパクト性に長けたショートタイプもあるが、容量はその分少なくなる。
バーナー自体のコンパクトさも、OD缶用は登山などで持ち運びしやすいようコンパクトなものが多い。ただ、五徳が小さくなり、大きめのクッカーを置いたときの安定性に欠けるので注意が必要だ。
燃料の入手し易さ
CB缶はホームセンターやアウトドアショップはもちろん、コンビニで買える事もある。 対してOD缶はコンビニにはまずない。ホームセンターに置いている事もあるが、品揃えはそこまで期待できない。主な入手ルートはアウトドアショップ、あるいはネットになる。
ネットで何でも手に入る時代なので、通常のキャンプを楽しむ分には“入手のし易さ”はそこまで問題にならない。しかし、以下のようなケースでは、キャンプ場に着いた後にガス缶を入手する必要がでてくる。
- ガス缶を忘れた、紛失した
- ガス缶の不具合で火が着かない
- 連泊でガスを大量に使う
- 飛行機を使う(ガス缶は預け入れも持ち込みもNG)
キャンプ場の周辺にコンビニやホームセンターがある事は多いので、CB缶は比較的手に入る。一方、アウトドアショップがあるケースは決して多いとはいえないため、OD缶は入手困難だといえる。
▼参考記事
安全なガスカートリッジの使い方
キャンプ初心者の方はもちろんのこと、ガス缶の扱いになれている方も、この機会に安全にガス缶を使うためのポイントを確認しておこう。
ガス缶を使うべきではない場所
バーナーなどを使用して火を起こすためには、空気中にある酸素を使う。したがって、換気のない場所でのガス缶の使用は、酸欠や一酸化炭素中毒になる恐れがある。
そのため、車内や閉め切ったテント内でのガス缶の使用は厳禁。雨天などで、やむを得ずにテント内で使用する場合は、ベンチレーションを全開にして、空気の通り道をつくろう。
また、化繊系のテントは非常に燃えやすいため、使用中に倒れたり、周囲に燃えやすいものを置かないよう注意。
危険な使いかたを避ける
バーナーの炎からガス缶へ伝わる熱を輻射熱(ふくしゃねつ)と呼ぶ。ガス缶を誤って使用すると、この輻射熱でガス缶があたたまり、爆発する恐れがある。以下のような例は誤った使いかただ。
- バーナーを2台以上並べて使用する
- バーナーの径よりも大きな調理器具を使った長時間の調理
- バーナーの四方を覆って使用する
- バーナーを使用して炭おこしをする
道具と同じメーカーのものを使用する
ガス缶はメーカーごとに、微妙にノズルのサイズや大きさが異なる。使用するバーナーやランタンなどの道具とガス缶は同じメーカーのものを使用するようにしよう。
安全な保管方法
気温が40度Cを超える場所にガス缶を放置すると、ガス缶の内部で急速にガスが気化するので、爆発の恐れがある。車内や夏場のアスファルトの上、砂浜の上などに放置するのは絶対にやめよう。ガス缶は直射日光があたらない、風通しの良い場所に保管しよう。
また、ガス缶に穴があいてしまうと、ガスが噴き出すので大変危険。ガス缶の保管は落下のリスクがない場所にしよう。ガス缶が錆びて腐食した場合も、ガス缶に穴があく恐れがある。湿気がある場所にガス缶を保管しないように注意。
安全な捨て方
ガス缶の捨て方は自治体によって異なる。使い切ってから燃えないゴミとして捨てる、使い切ったガス缶に穴をあけてから捨てるなど、ご自身が住んでいる自治体に確認してからゴミに出そう。
▼参考記事
ガスカートリッジにはカバーもおすすめ!
日本全国どこでも手に入り、様々な器具に使用できるCB缶だが、外環境の影響を受けやすいという課題がある。そこで、アウトドアでその性能を存分に発揮するために作られたのがCB缶カバー。CB缶の可能性を広げてくれる頼りになるアイテムだ。
ガス缶カバーの役割
傷・汚れ防止
CB缶対応のガスバーナーやトーチなどは、CB缶が露出していることがほとんど。
そのため、バーナーなどを地面に置くと露出したCB缶が汚れたり水分が付着したりする。これが錆の元となり、劣化や破裂の原因になる。CB缶が露出していることで、落下は変形の恐れにもなる。
こうした外部の要因から保護してくれるのが、CB缶カバーの大きな役割だ。
保温効果
CB缶は近年、低温下でも対応できるモデルも増えてきた。しかし、大半のCB缶は低温下に弱く、器具の性能を十分に発揮できないことが多々ある。
そこで晩秋や冬期でも使用できるよう保温性を付与してくれるのがCB缶カバー。季節によっては必需品となる。また、気温が下がる夜や明け方にも有効だ。
輻射熱を防ぐ
CB缶対応でバーナー本体に直結するタイプのガスバーナーは、調理中に発生する輻射熱を浴び、CB缶の温度が上昇することがある。輻射熱で高温になるとガス缶が破裂する危険性が高まるが、CB缶カバーがあればこのリスクを低減してくれる。
おすすめのCB缶カバー
THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス) CBカンカバー250
ZEN Camps (ゼンキャンプス) CB缶カバー(ネオプレン製)
▼参考記事
おすすめのOD缶カバー
TOKYO CRAFTS(トウキョウクラフト) ダブラップOD缶カバー250/500 キャップ付き
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