ジュズダマの学名はCoix lacryma-jobi
イネ科の多年草。インドシナ半島・インドネシア原産。高さ約1m。7〜10月に、ふさ状の花をつける。苞鞘(ほうしょう)は長さ1㎝程度で灰白色で光沢がある。平安中期の『延喜式』(927年完成)に薬物として載る。英名はJob’s-tears(ヨブの涙)。苞鞘が濃褐色のハトムギは栽培種で、健康食品や漢方薬に利用される。
ジュズダマの硬い実を細かく砕いて煎ったあと、茶にしてみたら、なんとハトムギ茶と同じ味でびっくりした
ジュズダマはイネ科の多年草で、熱帯アジア原産の帰化植物だ。池や川岸などの水辺に群生する1~2mほどの野草で、トウモロコシのような幅広い葉を付け、たくさんの枝を分けて大きな株になる。
8~9月ころにつく花には花弁がなくて、雄花は壺型の玉のような「苞鞘」からのびた柄の先に数個付く。雌花は苞鞘の中にあって、白い柱頭だけが外に出る。
硬く育った秋の実は、糸を通して数珠(ジュズ)にしたり、ネックレスにしたりして遊ぶほか、お手玉の詰め物などにも利用される。
ジュズダマを栽培用に品種改良したのがハトムギだ。ハトムギは一年草で、じつはジュズダマのようには硬くならない。実を煎ったものがハトムギ茶で、果皮を除いたものをヨクイニン(薏苡仁)と呼び、消炎鎮痛の生薬として利用されてきた。また、余分な水分・老廃物を排泄する利尿の働きがあり、むくみやシミ・ソバカスなどの肌のトラブルの改善にも利用できる。ハトムギ茶にほんのすこし塩をふると、まろやかな味になる。
郊外の水辺で採取したジュズダマの実を、ハンマーでこまかく砕いて煎り、茶にしてみたら、ハトムギ茶と同じ味がした。
「もしかしたらさ、これでポップコーン作れないかなぁ……」と友人。ん、それはどうかなぁ。
花の形も個性的
苞鞘から飛び出す雄花。
雌花は柱頭だけが苞鞘の外に出る。
ジュズダマの改良種のハトムギ。
硬い実は、いろんな遊びに利用される。
イラスト・写真・文 おくやまひさし
おくやまひさし プロフィール
画家・写真家・ナチュラリスト。
1937年、秋田県横手市生まれ。自然や植物に親しむ幼少期を過ごす。写真技術を独学で学んだのち、日本各地で撮影や自然の観察を開始。以降、イラストレーター、写真家として図鑑や写真集、書籍を数多く出版。
(BE-PAL 2024年12月号より)