東京の梅の名所【都心・副都心エリア】
日本の政治・経済の中心地ともいえるのが、都心・副都心エリアです。大きなビルや商業施設ばかりがあるイメージですが、美しい梅を堪能できる名所も多くあります。まずは、都心・副都心エリアの梅の名所を見ていきましょう。
湯島天満宮
湯島天満宮は、東京都文京区にある天満宮です。歌川広重の『名所江戸百景』の画題にも選ばれており、江戸時代には町人憩いの場として多くの人に親しまれました。
御祭神は、梅を好んだといわれる菅原道真公です。梅は神社の神紋にも採用されており、御祭神に縁の深い花として大切にされています。
湯島天満宮で梅を楽しむなら、『文京花の五大まつり』の一つである『文京梅まつり』の時期に足を運んでみましょう。梅まつりは、梅の見頃に合わせ、毎年2月上旬〜3月上旬に開催されます。
期間中は、さまざまなイベントが開催され、梅の花以外の見どころも豊富です。
小石川後楽園
小石川後楽園は、東京都文京区にある都立庭園です。江戸時代初期に水戸徳川家の屋敷内に作られたものが、現代に引き継がれました。江戸時代の大名庭園の多くはすでに失われてしまったため、現存する大名庭園としては最古のものとなります。
小石川台地の自然地形を生かした『回遊式築山泉水庭園』で、日本各地の景観や中国的な趣向が取り入れられているのが特徴です。庭園内には、四季折々の植物が植えられており、梅・桜・フジ・ショウブ・スイレンなどが美しく咲き誇ります。
小石川後楽園には早咲きの梅もあり、早いものは12月ごろから咲き始めます。見頃を迎え、梅まつりが開催されるのは2月ごろです。
新宿御苑
新宿御苑は、国が管理を行う国民公園の一つです。もともとは、徳川家康の家臣・内藤清成(ないとうきよなり)の屋敷の一部でしたが、農場試験場や皇室の庭園として使われていた歴史を持ちます。
四季折々の美しい花を観賞できる場所として有名で、梅林は紅白合わせて約350本あります。梅が見頃を迎える2月中旬〜3月中旬になると、開花に合わせてヒヨドリやメジロといった野鳥も訪れるのが特徴です。
東京の梅の名所【城北・城東エリア】
城北・城東エリアは、主にかつての江戸城の北側・東側に位置するエリアです。ここでは、東京都の城北・城東エリアの梅の名所を3カ所紹介します。
向島百花園
向島百花園は、東京都墨田区の都立庭園です。もともとは、江戸時代の骨董商・佐原鞠塢(さはらきくう)が開園した民間庭園でしたが、後に公立の庭園として一般公開されるようになりました。
園内には、季節ごとの美しい花が植えられており、梅の品種も豊富です。2〜3月の梅の時期には、月影(つきかげ)・初雁(はつかり)・白加賀をはじめとする、約20種類の梅が美しく開花します。咲き誇る梅の見事さは、『新梅屋敷』などと呼ばれた江戸時代から変わっていません。
梅が見頃になると、梅の花と江戸の文化を楽しむ『梅まつり』が開催されます。江戸商人の感性で作られた庭園は、雅な大名庭園とは一味違う庶民的な趣を感じられるのが魅力です。
亀戸天神社
亀戸天神社は、東京都江東区亀戸にあります。1662年に創建され、学問の神様として江戸庶民の信仰を集めました。葛飾北斎や歌川広重の浮世絵にも、亀戸天神社を題材としたものが数多く残っています。
御祭神として菅原道真公を祭っており、昔は『太宰府天満宮』にちなんで『東宰府天満宮』『亀戸宰府天満宮』などと呼ばれることもあったそうです。
太宰府天満宮と同様に、境内には菅原道真公が愛した梅が植えられており、2月上旬〜3月上旬には300本以上もの紅白の梅が咲き誇ります。
赤塚溜池公園
赤塚溜池公園は、東京都板橋区の区立公園です。赤塚公園に隣接していることや、中央に農業用水として使われたため池があることから、『赤塚溜池』という名称になりました。周辺には、赤塚諏訪神社や東京大仏、区立美術館などがあり、気軽な散策スポットとして人気です。
園内には、樹齢30~40年の梅が約150本植えられており、早春に見頃を迎えます。観梅を楽しみたい人は、例年3月に行われる『赤塚梅まつり』にタイミングを合わせるのがおすすめです。梅まつりでは、子どもたちによる出し物や甘酒のふるまいなどがあります。
東京の梅の名所【城南・城西エリア】
城南・城西エリアは、港区・目黒区・中野区などを含むエリアです。東京都の城南・城西エリアの梅の名所を、2カ所紹介します。
池上梅園
池上梅園は、東京都大田区に位置する区立公園です。公園の場所には、近代日本画家の伊東深水(いとうしんすい)が、自邸兼アトリエとして使用していた『月白山荘』がありました。現在は斜面を生かした庭園に、ツツジや梅など、約50種類の樹木が植えられています。
園内に植えられている梅は、約30種類です。その数は約370本に上り、2月中旬〜3月中旬まで可憐な花と心地よい芳香を楽しめます。休園日は、年末年始と毎週月曜日ですが、2月と3月だけは無休です。
羽根木公園
羽根木公園は、東京都世田谷区にある区立公園です。テニスコートなどのスポーツ施設や、子ども向けのプレーパークが充実しており、個人から家族連れまで楽しめます。
園内には、桜やイチョウなどが植えられており、季節によって異なる表情を見られると人気です。梅は約60種類・約650本植えられており、その中には太宰府から贈られた飛梅や、見事なしだれ梅なども含まれています。
梅関連のイベントを楽しみたいなら、世田谷の春の風物詩として親しまれる『せたがや梅まつり』の開催に合わせて足を運びましょう。園内は、イベント・出店で盛り上がり、区内外からやってきた多くの人で賑わいます。
東京の梅の名所【多摩エリア】
東京都の西側に位置する多磨エリアは、自然豊かな場所がたくさん残っています。最後に、東京都・多磨エリアで人気の梅の名所を見ていきましょう。
谷保天満宮
谷保天満宮は、東京都国立市にある天満宮です。湯島天神・亀戸天神とともに、関東三大天神の一つに数えられています。
創健者は菅原道真の三男・道武で、東日本では最も古い天満宮だといわれています。江戸時代には、参勤交代の休憩場所として使用されていました。
梅を愛した菅原道真公を御祭神とすることから、谷保天満宮の境内には約350本の梅林が植えられています。梅は、1月中旬ごろから咲き始め、3月にかけて見頃を迎えるでしょう。梅まつりも例年開催されており、天神太鼓・野点・琴演奏・お囃子などのイベントが行われます。
府中市郷土の森博物館
府中市郷土の森博物館は、東京都府中市にある博物館です。約14万m2の広大な敷地には、博物館・プラネタリウム・復元建築物・公園などが含まれています。公園内には梅林があり、約120種類・約1,300本もの梅を見ることが可能です。
梅の中には、大宰府天満宮から寄贈を受けた紅梅・白梅のほか、『呉羽(くれは)しだれ』という大きなしだれ梅、龍が伏せているような『臥龍梅(がりょうばい・がりゅうばい)』といった、見応えのある梅が多くあります。
梅シーズンには梅まつりが開催されるので、観梅を計画する人は訪れてみましょう。
高尾梅郷
東京都八王子市にある、都内屈指の梅の名所です。旧甲州街道沿いの約4.5kmに、八つの梅林が点在しています。梅林のそばには遊歩道があり、ゆっくりと散策を楽しむことが可能です。
梅は、例年2月中旬〜3月中旬に見頃を迎え、小仏川沿いの遊歩道梅林を中心に約1万本もの梅が咲き誇ります。周辺は自然豊かな場所なので、のどかな田園風景と見事な梅を併せて満喫できるのが魅力です。
梅まつりは、例年3月に開催されます。スタンプハイクに参加すれば、観梅を楽しみながら賞品を手に入れるチャンスを得られます。
まとめ
東京には、歴史ある神社や公園がさまざまあり、梅の名所と呼ばれる場所が豊富です。梅林の規模や雰囲気、見られる梅は場所によって異なるので、どの名所でも楽しいひとときを過ごせるでしょう。
なお、早咲きの梅は12月ごろから咲き始める上、2〜3月は各地で梅まつりが開催されます。見たい梅を見逃さないよう、事前にしっかりと観梅計画を立てておくのがおすすめです。