世界には様々な種類の渡り鳥がいますが、ハクチョウほど大きく、そして壮大な旅を行う例は多くありません。
シベリアに生息する彼らがはるばると日本までやってくる理由は、かの地の厳しい寒さを避けるためです。シベリアで湖や川が凍り始めると、ハクチョウたちは食べ物と越冬の地を求めて南下するというわけです。
そして春になると、ハクチョウたちは故郷のシベリアへと帰っていきます。北帰行です。小林旭はカッコよかったですね、という話をし始めると長くなりますので本題に戻ります。
ということで、ハクチョウにまつわるクイズ4問です!
【第1問】ハクチョウの平均寿命は?
a) 1年未満
b) 1年~5年
c) 5年~10年
d) 10年~20年
日本にやってくるハクチョウにはオオハクチョウとコハクチョウという種類があります。名前の通り、後者の方が体は比較的小さいのですが、それでも体長1m以上、羽を伸ばした長さは2m以上にもなることも珍しくありません。
そんな大きな鳥でも、生まれるときは卵の中に入っています。彼らの人生(鳥生?)はどれくらいの長さなのでしょうか?
正解は「d)10年~20年」です。かなり長生きするみたいですね。そして毎年、シベリアと日本を往復する旅を続けるわけですから、一生でどれだけの距離を飛ぶのでしょうか。
第2問 ハクチョウは一度にどれくらい飛べる?
a) 10km~100km
b) 100km~500km
c) 1,000km~1,500km
d) 10,000km以上
ハクチョウたちが日本へやってくるルートはいくつかあるそうです。シベリアから北海道へ一直線に向かう最短ルート、あるいは中国や朝鮮半島を経由して日本の本州や九州を目指すルートなどです。
どのルートを選ぶにしても、その合計距離は数千㎞以上に及びますが、彼らは一度にどれくらいの長さを飛ぶことができるのでしょうか?
正解は「c) 1,000km~1,500km」です。それも時速50㎞以上のスピードで飛ぶそうです。つまり、ハクチョウたちがその気になれば、シベリアから日本までたった数日で移動することもできるわけです。ただ、あまり無理はしない性格らしく、複数の中継地を滞在しながら渡って来るようではあります。
第3問 ハクチョウの群れは最多で何羽?
a) 10羽以内
b) 10羽~30羽
c) 30羽 ~ 100羽
d) 100羽 以上
「烏合の衆」とはあまり良い響きの言葉ではありませんが、多くの鳥類の例に違わず、ハクチョウも群れをなして日本にやってきます。彼らの社会は最多では何羽くらいで構成されているのでしょうか?
正解は「d)100羽以上」です。もっとも常にその大集団で一緒に行動するわけではなく、普段は家族単位や10羽程度の小さなグループで生活し、長い旅をするときには大きな群れを作るそうです。
第4問 ハクチョウは仲間とどのような方法でコミュニケーションを取る?
a) 鳴き声
b) ボディ・ランゲージ
c) 触覚
d) 上のすべて
ハクチョウの群れには明確なリーダーは存在しないようです。長距離を飛行するときは先頭を行く個体が群れを率いているように見えますが、その役も数羽で交代しながら旅をするということです。
マラソンレースと同じで、先頭は空気抵抗をもっとも強く受けるので、体力を消耗するからかもしれません。それは分かりますが、「そろそろ疲れてきたから、先頭を代われよ」とか「いや、俺もさっきやったばかりだよ」なんて複雑なやり取りを、ハクチョウたちはどうやってしているのでしょうか?
正解は「d)上のすべて 」です。 越冬地を選ぶ、北へ帰る時期を決める、などなど、ハクチョウに限った話ではありませんが、集団で旅をする彼らには合意を取らなくてはならないことは多いはず。きっと高いコミュニケーション能力が備わっているのでしょう。
ハクチョウの保護活動への賛否両論
シベリアと比較すれば、の話にはなりますが、日本列島の気候は冬でも温暖です。ハクチョウたちが食べる水草や小魚なども豊富で、彼らが越冬をするには条件が良いのでしょう。
それだけではなく、人がハクチョウを積極的に保護する地域もあります。エサをあげることや、水田や人工の池に排水ポンプを設置して水質良化を図るなど、多くはボランティア精神に支えられた奉仕活動です。
私自身もそのような活動のおかげでハクチョウに興味を持ちました。それまでハクチョウを見たことがなかったわけではありませんが、彼らがどこから来てどこへ帰るのかと考えたことはありませんでした。感謝しかありません。
ハクチョウたちにしても、まったくの自然の中を自分で苦労してエサを探すよりは、餌付けをされた地域の居心地は良いみたいではあります。そうした地域にはたくさんのハクチョウたちが群れをなしてやってきて、人々の目を喜ばせてくれます。
ならば人にとっても鳥にとってもウィンウィンのようなのですが、必ずしもそうとは言えないとする意見もあります。自然な姿ではないというのは確かに頷けます。ある地域で後継者不在が理由で保護活動が中止された途端に、その周辺で多くのハクチョウたちがエサを見つけられずに衰弱した事例などもあるそうです。
どこまでがハクチョウたちに適正な保護で、どこからが過保護なのか。その線を引くのはなかなか難しいようです。