以前ご紹介した場所は、未舗装のガタゴト道をレーザー(RZR)というポラリス社が製造している四輪駆動の乗り物で走り抜ける大冒険でしたが、今回は同じレーザーに乗って亀さんのようにゆっくりと、タイヤの着面地を確認しながら走るロッククローリングのお話です。
モアブのミニバージョン「リトル・モアブ」大冒険
ロッククローリングとは?
ロッククローリングとは、ジープやランドクルーザーのようなオフロード対応の頑丈な四輪駆動車で、自然の岩場やゴツゴツした地形をゆっくり走る外遊び!車を巧みに操って、岩や段差などの障害物を慎重に乗り越えることが目的なので、スピードよりもドライバーのテクニックと冷静さが求められます。
泥や砂にまみれながらの、オフロード遊び大好き夫婦が今回行った場所は「リトル・モアブ」。アウトドアに詳しいBE-PALの読者なら「モアブ」という街の名前を聞いたことがあるのでは?アーチーズ国立公園の拠点としても知られるモアブの街へ行くには、ユタ州の州都ソルトレイク市から車で5時間以上かかります。でも、ソルトレイク市から2時間以内で行ける、もうひとつのモアブがあるのです!
ユタ州最大の淡水湖・ユタ湖を眺めながらドライブ
ソルトレイク市から日帰りでも十分楽しめる「リトル・モアブ」は、ユタ湖の下側にあります。
ユタ州といえば、前掲のオフロードトレイルを紹介した記事でも取り上げましたが、雄大な眺めの北米最大の塩湖「グレートソルト湖(大塩湖)」を思い浮かべる人が多いと思います。
実はユタ州には大小合わせると、およそ1000以上の湖や貯水池があると言われていて、その中でも有名な湖のひとつがこのユタ湖。州内で最大の淡水湖なんですよ!
アーチーズ国立公園の拠点として有名なモアブとは違い、観光ブックにも載ってない手つかずの場所がこの「リトル・モアブ」。オフロード好きにとってはまさに隠れた宝石です。モアブと比べ、ロッククローリングできる場所の規模が小さいということ以外は、モアブと殆ど変わりません。
ちなみに日本にも同じような遊びがあるのかな?とふと疑問に思ってググってみたら、奈良県の津田レーシングが「W.E.ROCK」と呼ばれる本場アメリカのロッククローリングレースの日本版を開催していました!筆者の住むユタ州でも4月に開催されたとか!来年はぜひ行って観ようと早速夫婦で計画中。
話はそれますが…ヘルメットをかぶらずに高速道路を走るバイカーたちをよく目撃します。彼らは、この黄色い虫たちを顔全体でキャッチしているのかと思うと…絶対に口と鼻の穴の中にも、すごい勢いで虫が飛び込んではグシャッっと破裂しているのは確実です。だって、窓の閉まった車内でも、虫の破裂音が聞こえるのですから…ワイパーで落とそうとすれば、逆にもっとグシャッとなるので、アメリカで長距離のドライブ旅行をされるみなさん!黄色い虫にはワイパーはNGですよ(笑)
自由に選べるステージングエリア
この日選んだステージングエリアはここ。ステージングエリアとは、アウトドア活動で出発の準備を行うための集合・待機場所のことです。日本でいうと駐車場みたいな感じです。前回の記事「ザ・ビー」のように、指定された場所があるわけではなく、基本どこに停めてもOK!もちろん他のライダーやキャンパーたちの迷惑にならないように。トレーラーからオフロード車のレーザーを降ろして、リトル・モアブへ出発です!
ロッククローリングで大切なスポッターとは?
リトル・モアブもモアブと同じように岩場や砂漠の地形が特徴です。未舗装道路を砂ぼこりを立ち上げて走る爽快感とは違い、険しい岩場を亀さんのようにゆっくり走るので、運転技術は上級者向けです!もちろんプロが行う競技大会のような技術は必要ありませんが…。
そしてここでの筆者の役目はスポッター。ちなみにスポッターとは、難しい地形を走行するときに、運転手の死角をカバーして、障害物や岩場を乗り越えるときの指示をだす人のこと。大役ですよね!正直なところ、筆者は「なんちゃってスポッター」なのです…。
大自然で遊ぶのが大好きと周りへ言うと、オフロード車も乗りこなしてスポッターもカッコよくこなす女性ライダーのような印象を与えてしまうみたいで…でも実は筆者自身が上級者ではないのです。というか、運転はほとんどしません(笑)。
我が家の息子のように適格な指示をだすことができないので、夫は息子や友人たちとワイルドなキャンプに行くとき以外は、極端に険しい岩場は選ばないようにしています。
ユタ州の手つかずの雄大な大自然を目の前にすると、良い意味で自分が蟻んこのように思えて、モヤモヤがあってもいっきに吹っ飛ぶ単純な筆者です。「挑戦したいことは何でもドンっといけー!」みたいな感覚になりますよ。大自然の力ってスゴイですね!
ユタ州の「隠れた宝石」のままであって欲しいと願いつつも、ここにも少しずつ、変化の波が押し寄せているのを感じる旅でした。
2001年渡米、沖縄県出身。ユタ州ウチナー民間大使。アメリカでスーパーの棚入れ係やウェイトレス、保育士などの様々な職種を経験した後、アメリカ国防総省空軍省の仕事に就く。政府職員として17年間務めた後、パンデミックをきっかけに「いつ死んでも後悔しない人生」を強く意識するようになり2023年辞職。夫婦でRVキャンプやオフローディング、ロードトリップを楽しむのが最高の癒しじかん。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員