この2024-2025年シーズンも11月23日、ついに幕開けとなりました。例年、スノーアクティビティーは1、2月をピークに4月頃まで楽しめます。周辺には温泉も点在し、日本人にはうれしい穴場!わが家のスキー&スノーボード、温泉旅を全3回にわたりレポートします。
【コロラド州の絶景ゲレンデと知られざる温泉を巡る旅 VOL.1】スキーのあとは、ウエスタンな雰囲気漂う街をぶらり
アメリカながら車要らずの楽ちんスキー旅
「スチームボート・リゾート」のスキー場は、「シャンパンパウダー」と呼ばれる良質なパウダースノーと深雪で知られています。しかも、約1200ヘクタールの広大なゲレンデに181のコースと23のリフトがそろい、中級者向けが半分、初心者と上級者向けが半分とバランスの良い構成でファミリー層から人気を集めます。
実際に足を運んでみると、雄大な自然に囲まれる街中に、スキー場、レンタル店、宿泊施設、レストラン、ショップがコンパクトにまとまっていて、とても便利。ほとんどの宿から巡回シャトルバスを利用できるため、車がない旅行者も移動手段に困らないし、レンタカー派であっても駐車場探しにいちいち時間を取られないので助かります。地元のバーで提供されるクラフトビールやウイスキーは、大人のアフタースキーにぴったり。
ギアのレンタルやリフトパスはオンラインで予約購入でき、タイミング、日数などによっては大人の人数分だけ子どもが無料になる特典も。わが家もこれで子どもの費用が全額浮いて、節約に成功しました! 宿によってはお得なリフト券付きパッケージもあるので、こちらも狙い目です。
広々としたゲレンデの雪質は抜群!
前日に街のショップでレンタルしておいたギアを手に、宿の前から巡回シャトルバスでいよいよスキー場へ。ギアはバスのおしりにあるラックに差し、手ぶらで中に乗り込みます。10分ほどで入り口に到着するので、オンラインで予約購入していたリフトパスを窓口で受け取り、リフトの自動改札を通ります。
スキー場はとにかく広く、最初はどこへ進めば良いものかと多少混乱しますが、スマートフォンに専用アプリをダウンロードしておけば、最適なコースやリフトをその場で確認できます。
うちの子は地元でスノーボード教室に通うものの、親のほうはかなりのブランクがあるため、まずは肩慣らし。麓に近いコースからスタートしました。
入り口そばから出発する立派な「ワイルドブルー」ゴンドラは、板を足から外し、専用ラックに差してから乗車するタイプ。向かい合わせに席が設けられており、家族そろってゆっくりと景色を眺めつつ、スマートフォンの撮影や操作ができます。息子は普段、地元でシンプルなリフトにしか乗っていなかったので、
「ゴンドラ大好き!」
と、その乗り心地の良さに感動していました。
途中地点でゴンドラを降り、「スウィンガー」から「ライトオーウェイ」のコースへ。ゆるやかな傾斜は良いのですが、ゴール直前は平坦すぎてスキーのポールで漕いでいく羽目に。私の前を滑っていた若い男性は、勢い余ってポールが地面に刺さったまま通り過ぎてしまい、大ピンチに青ざめていました。お気の毒…。
勘を取り戻してきたら、同じゴンドラで今度は山頂へと向かいます。山頂からの初心者向けコースが充実し、子どもと一緒にさまざまなコースを回れるのはめずらしく、ありがたいことですね。
いくつかのリフトを使い、「サンダイアル」、「トマホーク」、「ブロードウェイ」、「ホワイナット」などのコースを滑り切りました。これらすべてが初心者向けコースです!
その中でもお気に入りは、眼下に展望が開けて気分がアガるホワイナットのコース。前述した麓のライトオーウェイにつながるまで、ノンストップのロングコースとなるものの、移り変わる景色の素晴らしさに飽きることはありません。
100年以上の歴史を持つ薬湯
極寒のゲレンデで冷え切った体はスキーやスノーボードでくたくた。そこで次に出かけたのが、「オールドタウン・ホットスプリングス」です。地元会員に向けたフィットネスセンターで、旅行者にも開放されています。天然温泉があるらしいと聞きつけたものの、
「本当にここ?」
と疑ってしまう外観で、知らないと天然温泉が湧くとは想像もつきません。
フロントで受け付けを済ませ、ロッカールームで水着に着替えて屋外エリアに出ると、ウォータースライダーやクライミングウォールの遊具、ジャクジー、そしてプール群がうっすら湯煙の中に見えます。実は、このプールが「温泉」! スキー帰りの旅行者らしき客で大いににぎわっています。
その温泉プールは彼らに任せて、最奥へと急ぎます。なぜなら、天然温泉とはいえ、塩素消毒されてしまっているから。そうなれば、塩素臭が充満して、日本人にはいただけません。ここは施設唯一の塩素なし天然温泉プール「ハートスプリング」一択です。
やや小さめのプールはその名のとおり、ハート形をしているのですぐにわかりました。無消毒ということもあり、入湯は18歳以上に限られます。
コロラドの外気の中ではちょうどいい、やや熱めの湯加減。足の下から新鮮な温泉が絶えず湧き、湯面の水泡の間にところどころ湯の花も浮かんでいます。湯煙で周りの景色は何も見えませんが、懐かしい硫黄独特の香りがして癒やされる至極の時間…。ミネラル成分が豊富で、泉質も申し分なしです。
ただし、ハイシーズンとあってアフタースキーの時間は人でギュウギュウ。若いパリピのグループのおしゃべりも止まらず、静寂どころではありませんのでご注意を。
この温泉地の歴史は古く、「山の民」という由来を持つ先住民、ユート族により薬泉として大切に守られてきたと伝わります。「スチームボート」の地名は、立ち上る湯気が蒸気船のようだったことから付けられたそう。
コミュニティー施設のリノベーション後も、ウォーターパークの片隅に奇跡的に残されている「秘湯」。スキーやスノーボードとあわせてぜひお試しください。
■スチームボート・リゾート
2305 Mt. Werner Circle, Steamboat Springs, CO 80487, USA
https://www.steamboat.com
■オールドタウン・ホットスプリングス
136 Lincoln Avenue, Steamboat Springs, CO 80477, USA
https://oldtownhotsprings.org
アメリカ・シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。日米のメディアでライフスタイル、カルチャー、旅、海外移住、バイリンガル育児など、多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。